ページタイトル背景

賃貸管理コラム

アパート修繕費の目安は? 主な修繕箇所や費用を抑えるポイントを紹介

賃貸経営

2026.09.09

更新日 2026.09.10

アパート修繕費の目安は? 主な修繕箇所や費用を抑えるポイントを紹介

外壁や屋根、ベランダや室内設備などの修繕は、アパート経営における重要な作業の一つです。メンテナンスを怠ると、外壁のひび割れや雨漏り、給水管・排水管の詰まりなど、さまざまな不具合が発生する可能性があります。

入居者からクレームを受けるケースもあるため、適切なタイミングで修繕を実施することが重要です。とはいえ「どのような箇所を修繕すれば良いか分からない」「アパート修繕費の目安を知りたい」という人も多いでしょう。

そこで本記事では、アパート修繕費の目安や主な修繕箇所、費用を抑えるポイントなどについて詳しく解説します。アパートの資産価値を守り、家賃収入を継続して得るためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。

アパート修繕費の目安

アパートの修繕にかかる費用は、構造や築年数、間取りなどによって異なります。ここでは、国土交通省の「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」を参考に、構造や築年数ごとの修繕費の目安を確認してみましょう(※)。

※ 参考:国土交通省.「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」. ,(参照 2026-04-19)

木造アパート10戸(1LDK〜2DK)の場合

木造アパート10戸(1LDK〜2DK)の場合、築年数ごとの修繕費の目安は下記の通りです(※)。

----------------------------------------------------------------------
【築年数】5〜10年目
【主な修繕内容】ベランダ・階段・廊下(塗装)・室内設備(修理)・排水管(高圧洗浄等)
【修繕費の目安(戸あたり)】約9万円
----------------------------------------------------------------------
【築年数】11~15年目
【主な修繕内容】屋根・外壁(塗装)・ベランダ・階段・廊下(塗装)・給湯器等(修理・交換)・排水管(高圧洗浄等)
【修繕費の目安(戸あたり)】約64万円
----------------------------------------------------------------------
【築年数】16~20年目
【主な修繕内容】ベランダ・階段・廊下(塗装)・室内設備(修理)・給排水管(高圧洗浄等・交換)・外構等(修繕)
【修繕費の目安(戸あたり)】約23万円
----------------------------------------------------------------------
【築年数】21~25年目
【主な修繕内容】屋根・外壁(塗装・葺替)・ベランダ・階段・廊下(塗装・防水)・浴室設備等(修理・交換)・排水管(高圧洗浄)
【修繕費の目安(戸あたり)】約98万円
----------------------------------------------------------------------
【築年数】26~30年目
【主な修繕内容】ベランダ・階段・廊下(塗装)・室内設備(修理)・給排水管(高圧洗浄等・交換)・外構等(修繕)
【修繕費の目安(戸あたり)】約23万円
----------------------------------------------------------------------


30年目までの1戸当たりの修繕費は、合計で約217万円です。つまりアパート全体で考えると、合計で約2,170万円(= 約217万円 × 10戸)の修繕費が発生します。

また修繕は30年で終わるわけではありません。その後も継続的に修繕費が発生するため、長期的な視点で資金計画を立てておく必要があります。

※ 参考:国土交通省.「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」. ,(参照 2026-04-19)

鉄筋コンクリート造アパート20戸(1LDK〜2DK)の場合

鉄筋コンクリート造アパート20戸(1LDK〜2DK)の場合、築年数ごとの修繕費の目安は下記の通りです(※)。

----------------------------------------------------------------------
【築年数】5〜10年目
【主な修繕内容】ベランダ・階段・廊下(塗装)・室内設備(修理)・排水管(高圧洗浄等)
【修繕費の目安(戸あたり)】約9万円
----------------------------------------------------------------------
【築年数】11~15年目
【主な修繕内容】屋根・外壁(塗装)・ベランダ・階段・廊下(塗装・防水)・給湯器等(修理・交換)・排水管(高圧洗浄等)
【修繕費の目安(戸あたり)】約55万円
----------------------------------------------------------------------
【築年数】16~20年目
【主な修繕内容】ベランダ・階段・廊下(塗装)・室内設備(修理)・給排水管(高圧洗浄等・交換)・外構等(修繕)
【修繕費の目安(戸あたり)】約23万円
----------------------------------------------------------------------
【築年数】21~25年目
【主な修繕内容】屋根・外壁(塗装・葺替)・ベランダ・階段・廊下(塗装・防水)・浴室設備等(修理・交換)・排水管(高圧洗浄)
【修繕費の目安(戸あたり)】約116万円
----------------------------------------------------------------------
【築年数】26~30年目
【主な修繕内容】ベランダ・階段・廊下(塗装)・室内設備(修理)・給排水管(高圧洗浄等・交換)・外構等(修繕)
【修繕費の目安(戸あたり)】約23万円
----------------------------------------------------------------------


30年目までの1戸当たりの修繕費は、合計で約226万円です。つまりアパート全体で考えると、合計で約4,520万円(= 約226万円 × 20戸)の修繕費が発生します。

木造アパートと同様、30年目以降も修繕費が発生するため、将来を見据えた資金計画が重要です。

※ 参考:国土交通省.「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」.,(参照2026-04-19)

アパートの主な修繕箇所

アパートの快適性や安全性を維持し、入居者を継続的に確保するためには、定期的な修繕が欠かせません。

ここでは、外壁・屋根・ベランダなど、アパートの主な修繕箇所を紹介します。

1. 外壁

外壁のメンテナンスを怠ると、ひび割れやタイルの浮きなどが発生し、雨水がアパート内部に侵入するかもしれません。定期的に以下のような点をチェックし、必要に応じて修繕しましょう。

● 外壁材のひび割れ
● タイルの浮き
● 塗膜の剥がれ
● シーリングの劣化
● 汚れ・色あせ
● カビ・コケの発生


特に、外壁材のひび割れやシーリングの劣化を放置すると、雨水がアパート内部に侵入しやすくなるため、早めの対応が重要です。また汚れや色あせ、カビなどは、美観の低下やアパート全体のイメージ悪化にもつながります。

入居者を継続して確保できるよう、定期的な洗浄や塗り替えなどにより、アパートの価値を維持しましょう。

2. 屋根

屋根は、アパートを風雨や雪などから守る重要な役割を担っています。屋根の塗装や防水処理が劣化すると雨漏りが発生しやすくなるため、定期的なメンテナンスを心掛けましょう。屋根に関する主なチェックポイントは、次の通りです。

● 屋根材のひび割れ・ずれ・欠け
● 塗膜の剥がれ
● 汚れ・色あせ
● さびの発生


屋根材によっても異なりますが、ひび割れや欠け、さびの発生などは、メンテナンスが必要なサインです。万が一、雨漏りが発生すると、入居者に多大な迷惑がかかるため、異変を感じた際は早めに対応しましょう。

3. ベランダ

それぞれの住戸に付いているベランダも、定期的な修繕が必要な箇所の一つです。風雨にさらされやすい箇所であるため、次のような点をチェックしておきましょう。

● 手すり・笠木などのさび
● 防水層のひび割れ・剥がれ
● シーリングの劣化
● 排水状況


手すりや笠木などの鉄部は、さびが発生したり、腐食が進んでいたりする可能性もあります。見た目が悪くなるのはもちろん、入居者の安全性にも関わるため、劣化状況に応じて修繕しましょう。

4. 階段・廊下

アパートの共用部分にある階段や廊下についても、ベランダと同様、手すりのさびや防水層のひび割れ、排水状況などを確認しておく必要があります。特に、階段や廊下が外部に面している場合は、風雨の影響で部材の劣化や腐食が進行しているかもしれません。

また階段は、段板のぐらつきなどにも注意しましょう。歩きにくい状況を放置すると、入居者が転倒したり転落したりする可能性もあります。安全性に大きく関わるため、早めの対処が重要です。

5. 雨どい

雨どいは、屋根やベランダに降った雨を集めて、地上や排水溝へ流す役割を担っています。不具合が起きると雨漏りの原因にもなるため、定期的なメンテナンスを忘れないようにしましょう。雨どいに関する主なチェックポイントは、以下の通りです。

● ジョイント部分の水漏れ
● 詰まり
● 変形・割れ
● 固定金具の破損


雨どいは高い場所にあるため見落としがちですが、気付かないうちに枯葉がたまっていたり、固定金具が外れていたりするケースもあります。放置をすると大きなトラブルにつながる可能性もあるため注意が必要です。

6. キッチン

キッチンは、故障時に修理をしたり、使用年数に応じて部分交換を行ったりするのが一般的です。ただし、以下のような場合は、新しいキッチンへの交換を検討するとよいでしょう。

● 空室が続いている
● 競争力を高めたい
● 故障や不具合の頻度が増えている


入居者がいないタイミングを狙うと、キッチンをスムーズに交換できます。なお、従来よりも大幅にグレードの高い製品へ交換した場合は、税務上で資産計上(資本的支出)となり、一括で経費処理できないことがある点に注意が必要です。

7. 浴室・トイレ・洗面台

キッチンと同様、浴室・トイレ・洗面台なども、故障したときに修理や交換を行われる傾向にあります。特に、お湯や水が出ない、水漏れが発生しているなどの不具合が発生したときは、早急な対応が必要です。

また設備が古くなり過ぎていたり、使いにくかったりすると、空室リスクが高まります。なかなか入居者が集まらない場合などは、設備の交換を検討しましょう。

8. エアコン

エアコンを備品として設置している場合は、故障時に修理や交換をする必要があります。また故障や不具合が多くなってきたら、一斉交換を検討しましょう。一般的には、11〜15年目に交換するのが目安です。

9. 給湯器

給湯器も、故障や不具合が増えてきたら一斉交換を検討しましょう。また以下のような症状がある場合は、早めの対応が必要です。

● お湯が出ない
● 温度が安定しない
● 水漏れが発生している
● 異音が続く


給湯器の不具合はクレームや退去につながりやすいため、放置をしないように注意しましょう。

10. 排水管・排水枡

排水管や排水枡は、キッチンやトイレ、洗面所などから出た汚水や雑排水を、公共の下水道まで運ぶための設備です。

生活排水に含まれる油分や汚れは少しずつ配管内に蓄積されるため、長期間メンテナンスを行わなければ、配管の詰まりや悪臭、漏水などにつながる可能性もあります。定期的な高圧洗浄などを行い、トラブルの発生を防ぎましょう。

11. 給水管

キッチンやトイレなどに水を運ぶ給水管も、定期的なメンテナンスを心掛けましょう。特に、継ぎ手やエルボー部分が劣化すると、水漏れなどが発生する可能性もあるため、26〜30年目を目安に交換することを推奨します。

また蛇口から濁った水が出る場合や悪臭がする場合などは、早急な対応が必要です。

12. 外部建具

玄関の扉や雨戸、サッシなどの外部建具もメンテナンスの対象です。メンテナンスを怠ると、鍵がかかりにくくなる、スムーズに動かなくなるなどの不具合が発生する可能性があります。

大きな不具合がない場合は交換の必要はありませんが、11〜15年目 を目安に調整を行うと良いでしょう。また以下のような対策により、アパートの資産価値向上を図れます。なお、これらのグレードアップ工事は、税務上「修繕費(その年の経費)」ではなく、資産として減価償却(資本的支出)が必要になるケースが多い点に留意しておきましょう。

● 断熱性の高い扉やサッシに交換する
● スマートキーを導入する

13. 外構

アパート周囲の通路やフェンス、駐輪場や駐車場のメンテナンスも忘れないようにしましょう。時間の経過により、アスファルトのひび割れやフェンスのさびなどが発生しているケースもあります。

入居者の快適な生活を維持するためにも、26〜30年目を目安に修理を実施しましょう。工事のために一時的に自転車や自動車を移動させてもらう場合は、早めに入居者へ連絡しておく必要があります。

アパート修繕費を抑えるための3つのポイント

アパート修繕費を抑えたい場合は、次のようなポイントを意識しましょう。

● 定期的な点検や掃除を行う
● 劣化に強い素材を選ぶ
● 入居者の審査を徹底する


それぞれのポイントの詳細は、以下の通りです。なお、税務上、工事にかかる費用は一括でその年の経費にできる「修繕費」と、複数年で減価償却する「資本的支出」に区分されます。アパート経営の収支計画を立てる際は、どちらに該当するかを事前に意識しておくことが大切です。

1. 定期的な点検や掃除を行う

アパート修繕費を抑えるためには、定期的な点検や掃除が欠かせません。普段から点検や掃除を行っておけば、不具合を早めに発見でき、部分的な修繕で済むケースもあります。

将来的に多額の修繕費が発生するのを防ぐためにも、定期的なメンテナンスを心掛けましょう。また大雨や台風、地震などの後に、屋根や外壁に不具合が出ていないかをチェックしておくことも重要です。

2. 劣化に強い素材を選ぶ

これからアパートを新築する場合は、劣化に強い素材を選定すれば、修繕費の抑制につながります。特に、外壁や屋根の塗装・葺き替えには多額の費用がかかるため、劣化に強い素材や工法を選択することが重要です。

ただし、メンテナンス性や素材にこだわると、初期費用が高くなる可能性もあります。長期的な視点で資金計画を立てた上で、適切な方法を選びましょう。

3. 入居者の審査を徹底する

アパート修繕費を抑えたい場合は、入居者の審査を徹底しましょう。入居者のマナーが悪いと、多額の修繕費が発生する可能性もあります。例えば、以下のようなケースが考えられます。

● 住戸内や共用部分の設備を雑に扱う
● 契約に違反してペットを飼う
● 壁紙や床に故意に傷を付ける


定期的なメンテナンスを実施しても、入居者のマナー不足によってアパートの劣化が早くなることも考えられます。家賃収入を確保したいからといって、審査をせずに入居させるのは避けましょう。

【まとめ】定期的なメンテナンスを実施してアパートの修繕費を抑えよう!

今回は、アパート修繕費の目安や主な修繕箇所、費用を抑えるポイントを紹介しました。アパートのメンテナンスを怠ると、さまざまな箇所で不具合が発生したり、資産価値が低下したりします。

また入居者からのクレームや退去につながる可能性もあるため、適切なタイミングで修繕を実施しましょう。長期的な視点で修繕計画を立て、修繕費を積み立てておくことも重要です。

アパートの管理やメンテナンスでお困りなら、株式会社中央ビル管理にぜひ一度ご相談ください。弊社は埼玉・千葉・東京エリアにおいて、地域密着型のきめ細かいサービスを提供しています。リフォームや空室対策、建物管理、入居者募集などの幅広いニーズに対応し、豊富な管理実績を基に、それぞれの物件に合わせたご提案を行っております。



※実際の修繕工事が税務上『修繕費』と『資本的支出』のどちらに該当するかは、工事内容や金額により個別に判断されます。詳細な計上方法や収支計画については、必ず管轄の税務署や税理士にご相談ください。


監修

(株)中央ビル管理 取締役 江本 昌央氏

所属/(株)中央ビル管理取締役 業務管理部部長 
保有資格/ 宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士

コンテンツ制作ポリシー
記事一覧に戻る