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賃貸管理コラム

アパート経営は減価償却を知らないと損! 法定耐用年数や出口戦略を解説

賃貸経営

2026.09.03

更新日 2026.09.03

アパート経営は減価償却を知らないと損! 法定耐用年数や出口戦略を解説

安定したアパート経営を行うには、減価償却への理解が欠かせません。減価償却とは、建物や設備の価値減少を経費として計上できる仕組みで、節税やキャッシュフローの改善に大きく影響します。

しかし、不動産投資初心者の方の中には「減価償却が何か分からない」という方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、減価償却の基本や重要な理由、法定耐用年数、計算方法、終了後の出口戦略を解説します。減価償却の仕組みを正しく理解し、アパート経営に役立てていきましょう。

アパート経営で押さえておくべき減価償却とは?

減価償却とは、建物や設備などの固定資産について、使用できる期間に応じて費用を分割して計上し、徐々に償却していく仕組みです。

アパート経営では、物件を取得した年に費用を一度に計上するのではなく、法定耐用年数に基づいて分割しながら経費として計上していきます。

まずは、減価償却の対象となるものや、その種類について見ていきましょう。

※参考:国税庁.「No.2100 減価償却のあらまし」 (2025-04-01).

減価償却の対象となるもの

減価償却の対象となる資産は「減価償却資産」と呼ばれ、大きく「有形固定資産」と「無形固定資産」に分けられます。主な有形固定資産は、以下の通りです。

● 建物
● 建物附属設備
● 器具備品
● 車両運搬具


一方、無形固定資産には次のようなものがあります。

● ソフトウェア
● 商標権
● 特許権


有形・無形にかかわらず固定資産の中には減価償却の対象となるものがあります。ただし、取得価額が一定額未満の資産については、取得した年に全額を必要経費として計上できる場合があります(※)。

アパート経営で主な対象となるのは、建物や建物附属設備、器具備品といった有形固定資産です。建物附属設備とは、電気設備・空調設備・給排水設備などで、器具備品は冷暖房機器や冷蔵庫、インターホンなどが該当します。

なお、土地は時間の経過によって価値が減少しないとされているため、減価償却の対象には含まれません。

減価償却の種類

減価償却には、主に3つの種類があります。それぞれどのようなものか見ていきましょう。

通常の減価償却

通常の減価償却は、固定資産ごとに定められている法定耐用年数などに基づいて、取得価額を各年の必要経費として分けて計上する方法です(※)。

一括減価償却

一括減価償却は、法定耐用年数に関係なく、取得価額が10万円以上20万円未満の資産について、取得価額の3分の1に相当する金額を3年間にわたって必要経費に計上する方法です。

なお、通常の減価償却を選択した場合は固定資産税の対象ですが、一括減価償却を選択した場合は対象外となるため、固定資産税の負担を抑えられます。

少額減価償却資産の特例

少額減価償却資産の特例は、一定の要件を満たした青色申告を行う中小企業者などが利用できる制度です。取得価額が10万円以上30万円未満の資産が対象であり、その年に取得した対象資産について、合計額が300万円以下であることなど、一定の要件があります(※)。


なお、この特例を適用した資産は、償却資産税の対象です。

減価償却で押さえるべき「法定耐用年数」とは

減価償却を理解する上では、法定耐用年数の理解も欠かせません。

法定耐用年数とは、建物や設備などについて、減価償却費を計算する際の基準として定められている年数のことです。減価償却資産ごとにそれぞれ年数が定められています。

アパート経営で押さえておくべき主な資産の法定耐用年数は、次の通りです(※1)

耐用年数

なお、法定耐用年数はあくまで法律上の目安となるものです。この年数を超えたからといって、建物に住めなくなったり、設備が使えなくなったりするわけではありません。そのため、把握しておけば、メンテナンスや修繕のタイミングを考える際の目安としても役立ちます。

※ 1参考:国税庁.「主な減価償却資産の耐用年数表」 (参照 2026-04-12).

※ 2参考:国税庁.「減価償却資産の償却率等表」(参照 2026-04-12).

アパート経営で減価償却が重要な理由

それでは、なぜアパート経営で減価償却が重要なのでしょうか。以下で、2つの理由を見ていきましょう。

所得税・住民税・法人税の負担を軽減できる

アパート経営で減価償却が重要なのは、所得税・住民税・法人税の負担を軽減できるからです。

前述の通り、減価償却費は建物の購入費用を法定耐用年数に応じて分け、その年の分を経費として計上できます。経費が増えることで利益が圧縮されるため、その分だけ所得税や住民税を抑えることが可能です。

また不動産所得で赤字が生じた場合、一定の条件のもとで給与所得などの他の所得と損益通算できる場合があります。これにより、全体の所得を抑えられるため、税金の負担軽減につながるでしょう。

法人としてアパート経営を行っている場合も、減価償却によって利益を抑えることで、法人税の負担軽減が期待できます。

キャッシュフローの改善が見込める

翌年以降のキャッシュフローの改善が見込めることも、アパート経営で減価償却が重要な理由の一つです。

減価償却の対象となる資産は、購入した翌年以降、実際に現金の支出がなくても減価償却費として経費にできます。アパート経営が順調に進み家賃収入が増えると税負担が増大しますが、設備の更新や改修などによって資産を取得した場合には、その資産について減価償却費を計上できることがあります。

その結果、利益を抑えられるため、税負担の軽減につながります。実際の収支よりも納税額を抑えられ、減価償却がない場合と比べて手元に残せるお金を増やせるでしょう。

減価償却費の計算方法

減価償却の計算方法には、以下の2種類があります。

● 定額法:取得金額に定額法の償却率をかけて、毎年同じ金額を償却する方法
● 定率法:未償却残高(まだ償却されていない金額)に一定の償却率をかけて、毎年償却していく方法


なお、2026年4月時点でアパートの建物や設備を取得した場合、原則として定額法のみが適用されます(※)。そのため、基本的には定額法を理解しておくとよいでしょう。

ここからは、新築物件と中古物件それぞれの計算方法を見ていきましょう。

※参考:国税庁.「No.2100 減価償却のあらまし」 (2025-04-01).

新築アパートの場合

新築アパートの場合、以下の計算式で減価償却費を算出します。

「アパートの取得費用 × 定額法償却率」

一例として、以下の条件でシミュレーションしてみましょう。

● 構造:木造
● 取得費用:7,000万円(土地部分を除いた建物の取得費用)
● 法定耐用年数:22年(※1)
● 定額法償却率:0.046(※2)


この場合、一般的な税制度の仕組みに基づく一例として、減価償却費は「7,000万円 × 0.046」で計算でき、322万円です。

※ 1参考:国税庁.「主な減価償却資産の耐用年数表」(参照 2026-04-12).

※ 2参考:国税庁.「減価償却資産の償却率等表」 (参照 2026-04-12).

中古アパートの場合

中古アパートの場合、築年数が法定耐用年数を超えているかどうかによって、耐用年数の計算方法が異なります。従って減価償却費もそれぞれの場合で異なります。




<築年数が法定耐用年数以内の場合>

築年数が法定耐用年数以内の場合(法定耐用年数の一部を経過している場合)は、以下の簡便法で耐用年数を計算します。

(法定耐用年数 − 経過年数) + 経過年数 × 20%(※1)

※小数点以下切り捨て

例えば、経過年数15年の鉄筋コンクリート造りのアパートを取得した場合の耐用年数は、以下の通りです。

(47年(※2) − 15年) + 15年 × 20% = 35年

上記を踏まえて、以下の条件でシミュレーションしてみましょう。

● 構造:鉄筋コンクリート造り
● 取得費用:3,000万円 (土地部分を除いた建物の取得費用)
● 耐用年数:35年
● 定額法償却率:0.029(※3)


この場合、建物の取得価額が3,000万円であるとすると、減価償却費は「3,000万円 × 0.029」で計算でき、87万円です。

※ 1参考:国税庁.「No.5404 中古資産の耐用年数」 (2025-04-01).

※ 2参考:国税庁.「主な減価償却資産の耐用年数表」 (参照 2026-04-12).

※ 3参考:国税庁.「減価償却資産の償却率等表」 (参照 2026-04-12).

<築年数が法定耐用年数を超えている場合>

築年数が法定耐用年数を超えている場合(法定耐用年数の全部を経過している場合)は、以下の方法で耐用年数を計算します。

法定耐用年数 × 20%(※1)
※小数点以下切り捨て

47年(※2) × 20% = 9年

上記を踏まえて、以下の条件でシミュレーションしてみましょう。

● 構造:鉄筋コンクリート造り
● 取得費用:3,000万円(土地部分を除いた建物の取得費用)
● 耐用年数:9年
● 定額法償却率:0.112(※3)


この場合、減価償却費は「3,000万円 × 0.112」で計算でき、336万円です。

※ 1参考:国税庁.「No.5404 中古資産の耐用年数」 (2025-04-01).

※ 2参考:国税庁.「主な減価償却資産の耐用年数表」(参照2026-04-12).

※ 3参考:国税庁.「減価償却資産の償却率等表」 (参照2026-04-12).

アパート経営で減価償却費を大きくするには?

減価償却費が大きくなれば、その分利益を抑えられるため、節税効果が高くなります。アパート経営で多く減価償却するためのポイントを見ていきましょう。

築年数がたった中古物件を選ぶ

アパート経営で減価償却費を大きく計上したい場合は、築年数が経過した中古物件を選ぶのも一つの方法です。

前述の通り、新築の場合、耐用年数が短い木造住宅でも法定耐用年数は22年と定められています(※1)。

しかし、法定耐用年数が残っている中古物件の耐用年数は「(法定耐用年数 − 築年数) + 築年数 × 20%」、法定耐用年数が残っていない場合は「法定耐用年数 × 20%」で計算します(※2)。

例えば、築20年の木造アパートなら、残りの耐用年数は6年、築30年なら残りの耐用年数は4年となる計算です。

築年数がたった中古物件を選べば、耐用年数が短くなる分、1年当たりに計上できる減価償却費を大きくできます。

※ 1参考:国税庁.「主な減価償却資産の耐用年数表」 (参照 2026-04-12).

※ 2参考:国税庁.「No.5404 中古資産の耐用年数」 (2025-04-01).

対象となる減価償却資産を分けて減価償却する

建物や建物附属設備、器具備品を分けて減価償却することによっても、減価償却費を大きくすることが可能です。

アパートの減価償却は、建物全体でまとめて行われるケースが一般的ですが、前述の通り、資産ごとに法定耐用年数は異なります。

そのため、建物本体と建物附属設備・器具備品を分け、それぞれに適した法定耐用年数を適用することで、購入後数年から十数年にかけての減価償却費を大きくできる場合があります。なお、本手法を適用するための要件として、取得時の売買契約書や内訳明細書等において、建物と設備等の金額が客観的かつ明確に区分されている必要があります。


ただし、この方法を取る場合、工事明細を基に各資産の耐用年数を確認する必要があります。計算が複雑になり、手間もかかるため、まずは専門家への相談をおすすめします。

減価償却が終わった後のアパート経営戦略は?

前述の通り、減価償却が終了したからといって、そのアパートに住めなくなったり、設備が使えなくなったりするわけではありません。

しかし、減価償却が終わると経費として計上できなくなるため、これまでのような節税効果は得られなくなります。その結果、他の条件が変わらなければ所得が増え、税負担が大きくなる可能性があります。まだ借入金を完済していない場合、税負担が大きくなることで、キャッシュフローが悪化する恐れがあります。

ここからは、このような点を踏まえた上で、減価償却終了後のアパート経営における主な選択肢を見ていきましょう。

そのまま売却する

計上できる減価償却費がなくなったタイミングで、アパートをそのまま売却するのは、有効な方法の一つです。

空室率が低い、立地がよいといった条件を満たし、融資を受けられる可能性がある物件であれば、買い手が見つかる可能性があります。特に、借入金が残っている場合は、売却によってキャッシュフローの悪化を防げるでしょう。

ただし、金融機関によって融資条件は異なりますが、耐用年数を超えた物件では融資期間などの条件が厳しくなるケースがあります。仮に融資が可能であっても、金利などの条件が不利になるケースが多いでしょう。土地を担保に融資を受けられる可能性はありますが、築年数が古い物件は修繕費がかさみやすいです。

こういった理由から「売却したい」と思っても、思うように買い手が見つからないケースもあります。

更地にして売却する

建物が耐用年数を超えており、そのままでは売却が難しい場合は、更地にして土地として売却する方法もあります。

アパートを建て替える余裕がない場合や、アパート以外の用途で活用できる土地であれば、有効な選択肢といえるでしょう。

ただし、入居者がいる場合は、更地にするために退去の交渉が必要になります。また建物の解体には高額な費用がかかるため、まとまった資金を準備しなければなりません。このような点も踏まえて、実行可能かどうかを判断しましょう。

アパートをリノベーションする

減価償却が終わったら、アパートをリノベーションするのも一つの方法です。老朽化によって空室が増えている場合でも、リノベーションを行うことで入居者が集まりやすくなります。

リノベーションの内容が、使用可能期間の延長や資産価値の向上を目的とした「資本的支出」と判断されれば、減価償却の対象となるため、ある程度の節税効果が見込めるでしょう。例えば、和室を洋室に変更し設備を一新することで、物件の魅力を高めることも期待できます。

ただし、リノベーションにかかった費用が「資本的支出」ではなく「修繕」と判断された場合は、修繕費として一括で計上する必要があります。資本的支出と修繕費の明確な区分は定義されていないため、事前に専門家へ相談しましょう。

なお、リノベーションが難しい場合は、ペット飼育可物件にしたり、入居条件を緩めたりといった空室対策を取ることで、状況を改善できる可能性もあります。物件によって適した対策は異なるため、不動産管理会社やマンション管理会社に相談の上、検討するとよいでしょう。

アパートを建て替える

立地条件がよく、今後も安定した経営が見込める場合は、アパートの建て替えも有効な選択肢です。

老朽化によって空室が増えている場合や、既に借入金を完済している場合は、建て替えを検討する価値があります。建て替えを行えば減価償却が再び適用されるため、改めて節税効果を得ることが可能です。

ただし、建て替えを行う際には、既存の入居者に退去してもらう必要があります。場合によっては立ち退き料が発生するケースもあるため、その点も踏まえて慎重に判断しましょう。

運用を続ける

減価償却が終わった後も、そのまま運用を続けるのも一つの方法です。

減価償却がなくなることで税負担は増えますが、借入金を完済していれば、比較的安定した経営を維持できる可能性があります。

繰り返しになりますが、法定耐用年数はあくまで法律上の目安であり、すぐに住めなくなるわけではありません。入居者がいれば、引き続き家賃収入を得ることもできます。


【まとめ】減価償却を理解してアパート経営の収益を最大化しよう

減価償却は、アパート経営における節税やキャッシュフローの安定に直結する要素の一つです。これからアパート経営をはじめる方はもちろん、既に運用している方も、その仕組みを正しく理解し、メリットを生かしていきましょう。

解説した通り、減価償却に欠かせない法定耐用年数は、建物の構造や資産の種類によって異なります。耐用年数を超えるとその資産について減価償却費を計上できなくなり、税負担が増える可能性があるため、アパート経営を行う際は、事前に出口戦略も視野に入れておくことも重要です。

老朽化による空室リスクに悩んでいる方や、運用の負担を軽減したい方は、不動産管理会社やマンション管理会社の活用も検討するとよいでしょう。

2万5,000戸以上の管理実績のある株式会社中央ビル管理では、賃貸管理から建物管理、リフォームなど、さまざまな面でアパート経営のサポートを行っています。アパート経営に課題を抱えている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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