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賃貸管理コラム

不動産投資の確定申告における減価償却とは? 計算方法や計算例を紹介

相続・不動産投資

2026.08.05

更新日 2026.08.05

不動産投資の確定申告における減価償却とは? 計算方法や計算例を紹介

不動産投資をしているなら、確定申告における減価償却について正しく理解しておく必要があります。減価償却の対象となる資産や耐用年数の調べ方などを知らずにいると、減価償却費の計上方法を間違えたり、確定申告について税務署から指摘を受けたりするかもしれません。

また不動産投資では、同じ家賃収入を得ていても、減価償却費の計上方法によって課税所得が変わる場合があります。仕組みを理解しておくことで、より計画的な賃貸経営につなげられるでしょう。

そこで本記事では、不動産投資の確定申告における減価償却の意味や計算方法などを分かりやすく紹介します。記事の後半では節税する際のポイントも紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。

不動産投資の確定申告における減価償却とは?

減価償却とは、使用や時間の経過によって価値が減少する資産について、取得費用の全額を一度に計上するのではなく、定められた耐用年数に応じて分割し、少しずつ計上していく会計処理です。

減価償却の対象となる資産を保有している場合、不動産投資を行っているかどうかにかかわらず、確定申告の際には減価償却費を適切に算出し、計上する必要があります。

例えば、事業を進めるために500万円の機械を購入したケースを考えてみましょう。この機械は1年間で使い終わるようなものではなく、何年も継続して使用していくうちに少しずつ古くなり、価値が減少していきます。

そのため、購入した年に500万円をまとめて計上するような会計処理は行いません。仮にこの機械の耐用年数が10年とすると、10年間で分割して少しずつ計上していくのが基本です。

減価償却における耐用年数とは?

耐用年数とは、減価償却の対象となる資産を使用できる期間のことです。資産ごとに定められた耐用年数は、国税庁による「主な減価償却資産の耐用年数表」などで確認できます(※)。

ここでは、不動産投資に関連する建物の耐用年数をチェックしておきましょう。

● 木造の住宅:22年
● 金属造の住宅(骨格材の肉厚が4mmを超えるもの):34年
● 金属造の住宅(骨格材の肉厚が3mmを超え、4mm以下のもの):27年
● 金属造の住宅(骨格材の肉厚が3mm以下のもの):19年
● 鉄筋コンクリート造の住宅:47年
● 鉄骨鉄筋コンクリート造の住宅:47年


その他、アーケードや日よけ設備、電気設備や蓄電池電源設備といった建物附属設備についても耐用年数が定められています。減価償却の処理をする際は、それぞれの耐用年数を確認しておきましょう。

※参考:国税庁.「主な減価償却資産の耐用年数表」(参照 2026-04-14)

減価償却の対象となる資産・ならない資産

高額な費用を支払って取得したとしても、全ての資産が減価償却の対象となるわけではありません。減価償却の対象となるのは、基本的に国税庁の耐用年数表に定められた資産のみです。

先ほど紹介したように、建物や建物附属設備は減価償却の対象ですが、土地は減価償却の対象ではありません。土地は、使用や時間の経過によって価値が低下するものではないからです。土地と建物をまとめて購入した場合でも、建物だけの取得費用を適切に算出した上で、減価償却を進める必要があります。

不動産投資における減価償却費を計算する2つの方法

減価償却費を計算する際は、主に以下の2つの方法のいずれかを用います。

● 定額法
● 定率法


ただし、不動産投資における建物の償却方法は、取得時期によって「定額法」に制限されています。具体的には、平成10年4月1日以後に取得した建物や平成28年4月1日以後 に取得した建物附属設備や構築物については、計算方法が「定額法」のみとなっています(※)。

以下で、それぞれの計算方法について詳しく見ていきましょう。

※参考:国税庁.「減価償却のあらまし」.,(参照 2026-04-14).

1. 定額法

定額法は、原則として毎年同じ減価償却費を計上していく方法です。不動産投資における確定申告では主に定額法を使用するため、計算方法を覚えておきましょう。定額法における減価償却費は、以下の計算式で求めます。

定額法の減価償却費 = 取得価格 × 定額法の償却率

定額法の償却率は、耐用年数ごとに定められています。国税庁による「減価償却資産の償却率等表」に記載されているため、減価償却費を計算する前に確認しておきましょう(※)。

※参考:国税庁.「減価償却資産の償却率等表」(参照 2026-04-14).

2. 定率法

定率法は、未償却残高に定率法の償却率をかけて減価償却費を求める方法です。以下の式を用いて計算します。

定率法の減価償却費 = 未償却残高 × 定率法の償却率

定率法の償却率は、先ほど紹介した「減価償却資産の償却率等表」に記載されているため、事前に確認しておくとよいでしょう。また未償却残高とは、すでに計上した分を差し引いた金額であり、以下の計算式によって求めます。

未償却残高 = 取得価格 − すでに償却した金額

未償却残高は年数が経過するごとに減っていくため、定率法の減価償却費も同様に少しずつ減少していきます。ただし、定率法で計算した金額が償却保証額を下回る都市からは計算方法が変わる点に注意が必要です。

不動産投資における減価償却費の計算方法

建物の減価償却費を計算するときは、次のような手順で進めましょう。

● 建物価格を求める
● 建物附属設備の価格を把握する
● 耐用年数を確認する
● 償却率を確認する
● 減価償却費を計算する


ここでは「築10年の鉄筋コンクリート造の住宅を8,000万円(土地3,000万円・建物5,000万円)で購入したケース」を具体例に、計算方法を解説します。

1. 建物価格を求める

まずは建物価格を求める必要があります。前述の通り、減価償却の対象となるのは建物のみです。土地と建物をまとめて購入している場合は、売買契約書や譲渡対価証明書などを見て、建物価格を確認しましょう。

土地と建物の価格は、次のような方法で決められているのが一般的です。

● 当事者間の話し合いによって土地・建物の価格割合を決める
● 固定資産税評価額の比率で按分する


常識的な範囲であれば、売買における当事者間の話し合いによって、土地と建物の価格割合を自由に決められます。ただし、減価償却費を増やすために建物価格を異常に高く設定するなど、常識的な範囲を超えていると、税務署から指摘を受ける可能性もあるため注意しましょう。

今回のケースでは、購入価格8,000万円のうち建物価格は5,000万円です。そのため、減価償却の計算では5,000万円を使用します。

なお、売買契約書に土地と建物の内訳が明記されていない場合は、それぞれの固定資産税評価額の比率(按分比率)」をベースに価格を算出するのが一般的です。この方法は客観的なデータに基づいているため、税務署からも認められやすい合理的な決め方とされています。

2. 建物附属設備の価格を把握する

建物価格を確認したら、その中に含まれる建物附属設備の価格を把握する必要があります。建物と建物附属設備では耐用年数が異なり、それぞれに分けて減価償却費を計算する必要があるためです。

主な建物附属設備としては、以下のようなものが挙げられます。

● アーケード・日よけ設備
● 電気設備
● 蓄電池電源設備
● 給排水・衛生設備
● ガス設備


建物附属設備の価格は、売買契約書や譲渡対価証明書などで確認できます。しかし、中古物件の取引では、建物本体と附属設備が明確に区分されていないことがほとんどです。その場合は無理に細分化せず、建物全体(建物本体)として一括で減価償却を進めるのが実務上一般的です。

今回は建物附属設備を個別に区分しない前提とし、建物価格5,000万円の全額を建物の耐用年数に沿って減価償却する例として解説します。

3. 耐用年数を確認する

次に、減価償却の対象となる建物の耐用年数を確認します。また中古の建物を取得した場合は、簡便法によって残りの耐用年数を求める必要があります。新築の建物とは異なり、中古の建物は一定期間使用され、耐用年数が短くなっているためです。残りの耐用年数は、次の計算式で求めます。

【法定耐用年数をすべて経過している場合】耐用年数×20%
【法定耐用年数の一部を経過している場合】(法定耐用年数 − 築年数)+ 築年数 × 20%


今回のケースでは、鉄筋コンクリート造住宅を築年数10年のタイミングで取得しているため、以下のように計算します。

耐用年数
=(法定耐用年数 − 築年数)+ 築年数 × 20%
=(47年 − 10年)+ 10年 × 20%
= 37年 + 2年
= 39年


なお求めた年数に1年未満 の端数があるときは切り捨て、その年数が2年 に満たない場合は2年 となります。

4. 償却率を確認する

国税庁による「減価償却資産の償却率等表」にて、定額法や定率法の償却率を確認しましょう。償却率は、耐用年数によって異なります。先ほど求めた耐用年数を基に、正しい償却率を把握しましょう。

耐用年数39年の場合、定額法の償却率は0.026です(※)。

※参考:国税庁.「減価償却資産の償却率等表」. ,(参照 2026-05-29).

5. 減価償却費を計算する

ここまでの準備が整ったら、減価償却費を求めましょう。今回は定額法を用いて解説します。

定額法の減価償却費
= 建物価格 × 定額法の償却率
= 5,000万円 × 0.026
= 130万円


よって、毎年130万円を減価償却費として計上していきます。

減価償却費が不動産投資における節税に役立つ理由

減価償却費を求めたら、経費として計上して節税につなげましょう。ここでは、減価償却費が節税につながる理由について簡単に解説します。

1. 減価償却費は実際の支出を伴わない

減価償却費は他の経費とは異なり、実際の支出を伴いません。取得のタイミングでは大きな支出が発生しますが、その後は実際の支出がなくても、一定期間、継続的に経費として計上できます。

一方で、接待交際費や広告宣伝費、会議費などの経費は実際の支出を伴う経費です。そのため、節税効果は得られるものの、その分だけ手元資金は減少する点に注意が必要です。

このように、減価償却費は実際の支出が伴わずに経費として計上できるため、手元に資金を残しながら節税効果を得られます。

2. 損益通算によって所得を圧縮できる

損益通算とは、所得における黒字と赤字を相殺する処理のことです。不動産投資において大きな減価償却費が発生すると、会計上、赤字が大きくなるケースもあります。この赤字と給与所得を相殺できる場合があり、一般的な税制度の仕組みを理解しておくことは節税に向けた一つの手段となります

※注意点:不動産所得が赤字になった場合でも、「土地を取得するために借り入れたお金の利子」に該当する部分は損益通算の対象外(他の所得と相殺できない)となるルールがあるため、実際の適用には注意が必要です。

減価償却費を活用して節税するときのポイント

不動産投資において減価償却費を活用して節税効果を高めたい場合は、耐用年数が短い建物を取得するのがおすすめです。耐用年数が短いほど毎年経費として計上できる減価償却費が大きくなるため、その分節税効果が高くなります。

具体的には、次のような物件を取得するとよいでしょう。

1. 木造の住宅を取得する

木造の住宅を取得することも、減価償却を活用した節税につながる場合があります。前述の通り、木造の住宅の耐用年数は22年で、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の住宅の耐用年数よりも短く設定されているためです。その結果、減価償却費が大きくなり、高い節税効果を期待できるでしょう。

一方で、耐用年数が短いことが必ずしも有利とは限りません。耐用年数が短いほど減価償却期間も短くなるため、長期保有を前提とする場合は、鉄筋コンクリート造などの物件と比較検討することも重要です。

2. 築年数が古い住宅を取得する

築年数が古い住宅も高い節税効果を期待できる場合があります。築年数が古いほど残りの耐用年数が短くなり、建物価格を比較的短期間で減価償却費として計上できるからです。


特に法定耐用年数を超えた中古物件は、短い期間で集中的に大きな減価償却費を計上できるため、所得税などの税負担を一時的に大きく軽減できる可能性があります。

ただし、減価償却期間が終わると経費にできる額がガクンと減って税負担が増えること(デッドクロスと呼ばれる現象)や、将来その物件を売却するときの税金が高くなりやすい点には注意が必要です。維持管理にかかるコストはもちろん、将来の収支バランスや出口戦略(売却)までを視野に入れて総合的に検討することが大切です。

【まとめ】不動産投資をするなら減価償却費の計算方法を理解しておこう!

今回は、不動産投資の確定申告における減価償却の意味や計算方法などを紹介しました。減価償却費を正しく計算するためには、建物ごとに定められた耐用年数、定額法や定率法といった計算方法などを理解しておく必要があります。
減価償却費の仕組みを理解しておくことは、節税に向けた一つの手段となります。

また減価償却費は単なる会計処理ではなく、不動産投資における収支計画や節税対策にも関わる重要な要素です。建物の構造や築年数によって減価償却費は大きく変わるため、物件選びの段階から意識しておくとよいでしょう。

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監修

(株)中央ビル管理 取締役 江本 昌央氏

所属/(株)中央ビル管理取締役 業務管理部部長 
保有資格/ 宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士

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