ページタイトル背景

賃貸管理コラム

土地・家屋を遺産相続するときの流れや注意点を徹底解説

相続・不動産投資

2026.08.05

更新日 2026.08.06

土地・家屋を遺産相続するときの流れや注意点を徹底解説

土地や家屋などの遺産を相続するときは、さまざまな手続きを正しい手順で進める必要があります。一定のルールに従って手続きを進めていない場合、罰則を受ける可能性もあるため注意しましょう。

本記事では、土地や家屋などの遺産を相続するときの流れや納付すべき相続税、遺産相続に関する注意点などを紹介します。遺産相続の手続きをスムーズに進めるためにも、ぜひ理解を深めておきましょう。

土地や家屋などの遺産を相続するときの流れ

土地や家屋などの遺産を相続するときは、法定相続人の確定や遺言書の確認、遺産分割協議や相続登記など、さまざまな手続きを進める必要があります。

各ステップにおける主なポイントは、以下の通りです。

1. 法定相続人を確定する

遺産を相続するときは、まず相続人を確定する必要があります。相続人とは、被相続人(亡くなった人)の遺産を引き継ぐ権利を持つ人のことです。相続人は、民法によって定められた「法定相続人」と、遺言によって財産を譲り受ける人に分けられます。

まずは法定相続人について確認しましょう。民法によって法定相続人と認められているのは、次のような続柄の人です。

● 配偶者:常に相続人
● 子(すでに死亡している場合は孫):第1順位
● 父母(父母がどちらも死亡している場合は祖父母):第2順位
● 兄弟姉妹(兄弟姉妹がすでに死亡している場合は甥・姪):第3順位


法定相続人を正確に把握するためには、戸籍謄本を確認する必要があります。戸籍謄本には、被相続人の出生から死亡までの全記録が記載されており、法定相続人の確定に欠かせません。自分が知らない法定相続人の存在が明らかになる可能性もあるため、丁寧に確認しましょう。

2. 遺言書の有無や内容を確認する

次に、遺言書の有無や相続人について確認しましょう。被相続人は遺言によって、誰にどの程度の遺産を相続させるかを決められます。そのため、財産を譲り受ける人が遺言に記載されている場合は、基本的にはその内容に従う必要があります。

遺言書がある場合は家庭裁判所に提出し、検認を受けるのが一般的です。検認とは、遺言書の存在を確認し、内容の偽造などを防止するための手続きです。検認を受けないと罰則を受けたり、相続人同士のトラブルに発展したりする可能性もあるため注意しましょう。

また遺言書は自宅ではなく、公証役場や法務局で保管されている場合もあります。自宅を探しても見つからないときは、最寄りの公証役場や法務局に問い合わせてみましょう。なお、公証役場で作成された「公正証書遺言」や、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用して保管されていた遺言書の場合は、検認手続きは不要です。

3. 遺産を確認する

遺産相続を進めるためには、被相続人がどのような財産を保有していたかを正確に把握する必要があります。土地や家屋といった不動産については、固定資産税の納税通知書や登記済の権利証(登記識別情報)などを探して、地番や家屋番号を確認しましょう。なお、自宅に固定資産税の納税通知書などがないときは、不動産が所在する市町村役場で「名寄帳」を取得して、不動産の詳細を確認することも可能です。

地番や家屋番号を把握できれば、法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得できます。この登記簿謄本には、不動産の所有者は誰か、担保に入れられているかなど、さまざまな情報が記載されています。後述する相続登記をする際の参考資料にもなるため、最寄りの法務局で入手しておきましょう。

4. 遺産の評価を実施する

どのような遺産があるかを把握したら、それぞれの遺産を評価する必要があります。土地や家屋を買ったときの価格とは異なるため、注意しましょう。土地や家屋の評価方法は、後ほど詳しく紹介します。

5. 遺産を分割する方法を決める

相続人が複数いる場合や遺言書に分割方法が明記されていない場合などは、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどのように遺産を相続するか決定します。

遺産を分割するときの主な方法は、次の通りです。


● 現物分割:遺産をそのままの状態で分ける方法
● 代償分割:多くの遺産を相続した人が、他の相続人に代償金を支払う方法
● 換価分割:遺産を売却し、現金化してから分ける方法


現物分割は、遺産が複数ある場合に適しています。例えば、評価額が同じである土地A・土地Bという遺産があり、相続人1・相続人2がいるケースを考えてみましょう。この場合に現物分割を行うと、土地Aを相続人1、土地Bを相続人2が相続するなど、公平に遺産を分けられます。しかし、土地が1つしかない場合や、土地の評価額が大きく異なる場合は、現物分割では公平に分られません。

このような場合は、代償分割や換価分割を選択するのが一般的です。例えば、2,000万円の土地Aという遺産があり、相続人1・相続人2で代償分割を行うケースを考えてみましょう。仮に相続人1が土地Aを相続した場合、その代わりに相続人2に対して1,000万円の代償金を支払うと、遺産を公平に分割できます。ただし、相続人1が1,000万円の代償金を支払える状況でなければ、公平な分割を実現するのが難しくなるため、代償分割の実施が難しい場合があります。

代償分割が難しいときは、換価分割を検討しましょう。例えば、2,000万円の土地Aという遺産がある場合、売却して現金化すれば、相続人1・相続人2で1,000万円ずつ公平に相続できます。ただし、不動産を他人に貸していると、売却までに時間がかかることもある点に注意が必要です。

どの分割方法が適しているかは、遺産の内容や相続人の状況によって異なるので、協議の上で分割方法を決めましょう。

6. 相続登記を行う

土地や家屋などの不動産を相続したときは相続登記を行い、相続人名義に変更しましょう。相続登記に必要な書類は、ケースによって異なります。

例えば、遺産分割協議によって相続した場合は、下表のような書類が必要です。


【被相続人】
・戸籍謄本(戸籍事項証明書)
・除籍謄本
・改製原戸籍
→※本籍地の市区町村にて入手。

・住民票の除票または、戸籍の附票
→※住民票の除票:住所地の市区町村にて入手・※戸籍の附票:本籍地の市区町村にて入手


【法定相続人】
・戸籍謄本(抄本)(戸籍事項証明書)→※本籍地の市区町村にて入手
・印鑑証明書→※住所地の市区町村にて入手
・固定資産課税明細書→※毎年4月頃に市区町村から送付


【新しく所有者になる人】
・住民票→※住所地の市区町村にて入手


さらに、次の書類を作成する必要があります。

● 登記申請書
● 委任状(代理人が申請する場合)
● 遺産分割協議書
● 相続関係説明図


登記申請書には、不動産の登記情報を正確に記入する必要があります。前述した登記簿謄本の内容を参考にしながら、間違えないように記入しましょう。

また遺産分割協議書には、誰がどの遺産を相続するかなど、協議の中で決まった内容を記載します。相続関係説明図の提出は任意ですが、添付しておくと相続関係を示しやすくなります。

※参考:法務局.「相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等」. ,(参照2026-06-03).

7. 書類を法務局へ提出する

書類の準備が整ったら、法務局へ提出しましょう。相続登記の申請先は、相続人の住所地ではなく、対象となる不動産の所在地を管轄する法務局です。どこに申請すればよいのかは、法務局のWebサイトなどで事前に確認しておきましょう。また法務局の窓口での申請の他、郵送での申請も可能です。

土地や家屋などの遺産を相続したときの相続税

遺産を相続したときは、相続税を納付する必要があります。ただし、正味の遺産額が基礎控除額を超えていない場合は、相続税は発生しません。基礎控除額の計算式は、以下の通りです。


基礎控除額 = 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)


例えば法定相続人が2人の場合、基礎控除額は次のように計算できます。

基礎控除額 = 3,000万円 +(600万円 × 2)= 4,200万円

つまり、正味の遺産額が4,200万円を超えていなければ、一般的に相続税は課税されないとされています。

※参考:国税庁.「No.4155 相続税の税率」.
,(2025-04-01).



※参考:国税庁.「No.4152 相続税の計算」.,(2025-04-01).

土地の評価方法

相続税を計算するときは、それぞれの財産を一定の基準で評価する必要があります。土地の評価方法は、以下の2つです(※)。

● 路線価方式:道路に面する標準的な宅地の1m²当たりの価額(路線価)を基に評価する方法
● 倍率方式:固定資産税評価額に一定の倍率をかけて評価する方法


路線価方式は、以下の計算式によって評価額を求めます。
路線価は、国税庁のWebサイトで確認しましょう。

評価額 = 路線価 × 面積

※実際の評価額は、土地の形状や道路への接し方などによって補正が加えられるため、正確な計算は複雑になります。具体的な評価額については、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

一方、路線価が定められていないエリアについては、倍率方式を採用しましょう。倍率は、国税庁のWebサイトで確認できます。

※参考:国税庁.「財産を相続したとき」. ,(参照 2026-04-18).


※小規模宅地等の特例について
被相続人の自宅の敷地を同居の親族などが相続する場合、一定の面積(居住用は330㎡まで)に限り、土地の評価額が最大80%減額される特例があります。ただし、特例を適用するための相続税申告は必須となる点に注意が必要です。

家屋の評価方法

家屋については、固定資産税評価額を基に評価します。被相続人の自宅など、自分で利用していた家屋については、固定資産税評価額がそのまま評価額と見なされるのが基本です。

なお、まだ建てている途中の「建築中の家屋」を相続する場合は、固定資産税評価額がまだ決定していないため、以下の計算式を使って評価額を算出します(※)。

評価額(建築中家屋の価額) = 費用現価の額 × 70%

ここで使われる「費用現価の額」とは、亡くなった日(課税時期)までに、その家屋の建築のために実際に支払った(または支払うべき)費用の総額を、現在の価値に換算した金額のことです。

※参考:国税庁.「No.4629 建築中の家屋の評価」. ,(参照 2026-04-18).

土地や家屋を相続したときの注意点

土地や家屋を相続したときは、以下のような点に注意しましょう。

1. 早めに相続登記を進める

2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。そのため、相続によって土地や家屋を取得した人は、早めに相続登記の申請をする必要があります。

相続登記の期限は、土地や家屋の所有権の取得を知った日から3年以内、または遺産分割が成立した日から3年以内です(※)。正当な理由なくルールに違反した場合は、10万円以下の過料が適用される可能性もあるため、早めに準備を進めましょう。

また相続登記をしないことには、以下のようなリスクもあります。

● 不動産を売却できなくなる
● 不動産を担保に入れられなくなる
● 権利関係が複雑化する


相続登記をせず、名義を被相続人のままにしていると、相続した不動産を売却したり、担保に入れたりすることができません。また相続登記をしないまま不動産の所有者が変わっていった場合、権利関係が複雑になることが考えられます。後々の手続きをスムーズにするためにも、早めに相続登記を済ませておきましょう。

※参考:東京法務局.「相続登記が義務化されました」. ,(参照 2026-04-18).

2. 相続登記には費用がかかる

相続登記をする際は、登録免許税が発生します。登録免許税は、不動産の固定資産税評価額の0.4%です(※)。例えば、固定資産税評価額が2,000万円の場合、登録免許税は以下のように計算できます。

登録免許税 = 固定資産税評価額 × 0.4% = 2,000万円 × 0.4% = 8万円

また戸籍謄本や印鑑証明書などの取得には、別途費用がかかります。

※参考:国税庁.「No.7191 登録免許税の税額表」. ,(2025-04-01).

3. 相続登記後の活用方法を検討する

土地や家屋などを相続した場合、その後の活用方法を検討しましょう。自分が住む以外には、売却や賃貸などの活用方法が挙げられます。特に空き家を放置すると、以下のようなリスクが発生することがあるので注意が必要です。

● 建物の劣化による倒壊
● 景観の悪化
● 不法侵入


大切な資産を守るためにも、今後の方針を決めておくことが大切です。

【まとめ】土地や家屋を相続したときは正しい手順で手続きを進めよう!

今回は、土地や家屋といった遺産を相続するときの流れや注意点などを紹介しました。遺産を相続したときは、法定相続人の確定や遺言書の確認、相続登記など、さまざまな手続きを進める必要があります。必要な手続きを怠ると、罰則を受けたり、不動産を有効に活用できなくなったりする可能性もあるため注意しましょう。

相続したアパートやマンションの管理にお困りなら、株式会社中央ビル管理にご相談ください。空室対策はもちろん、メンテナンスやリフォームなど、あらゆるニーズにワンストップで対応、万が一の近隣トラブルや法的対応が必要な場合は専門家をご紹介する窓口として適正にサポートいたします。大切な資産を丁寧に管理しますので、お気軽にご連絡ください。

監修

(株)中央ビル管理 取締役 江本 昌央氏

所属/(株)中央ビル管理取締役 業務管理部部長 
保有資格/ 宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士

コンテンツ制作ポリシー
記事一覧に戻る