マンションを自主管理する際にやることは?管理会社に委託するのとどっちがよい?
分譲マンション管理
2025.07.17
更新日 2025.07.17
マンション管理には、管理組合が管理する方法と管理会社に委託する方法があります。自主管理はコストを抑えられる反面、組合員の負担が大きいです。一方、管理業務の委託は組合員の負担を軽減するだけではなく、管理の質の向上も期待できます。管理方法の違いやメリット、注意点を知っておきましょう。
マンションの管理方法には、マンションの管理組合が管理する方法と管理会社に委託する方法があります。自主管理はコストを抑えられるものの、住民の負担が大きくなりやすく、管理業務に関する知識が必要です。一方、管理会社への委託はコストがかかりますが、管理にかかる組合員の手間を軽減できます。
記事では、自主管理と委託の違いや、自主管理するメリット・デメリット、委託する際の注意点などについて解説します。記事の後半では、委託する管理会社の選び方もご紹介するため、マンションの規模や居住者の状況に適した管理方法を見つけるヒントにしてみてください。
目次
マンション管理における管理のやり方について
マンションの管理方法には、管理組合が管理する自主管理方式と管理会社に管理を委託する委託方式があります。
さらに、委託方式は、全ての管理業務を委託する全部委託方式と、一部の管理のみを委託する一部委託方式に分けられます。管理方法によって、マンションの管理コストやオーナー自身の負担が大きく変わるため、それぞれの違いを理解しておくことが重要です。ここからは、3つの管理方法の特徴と管理のやり方を解説します。
自主管理方式
自主管理方式とは、マンションの管理組合自体が管理業務を行う方法です。具体的な業務内容としては、組合管理費・修繕積立費の集金や所有者・居住者の名簿管理、設備の点検・修理の手配などがあります。
そもそも管理組合とは、マンションを購入した区分所有者で構成され、マンションの共用部分や敷地を維持管理する組織です。自主管理方式では業務の範囲が非常に広く、組合員間でのコミュニケーションや意思疎通が欠かせません。
全部委託方式
全部委託方式は、管理業務を外部の管理会社に全て委託する方法です。組合員の負担が減るだけではなく、管理業務を専門にしている業者に適切な対応をしてくれるので、マンションの管理が適切に保たれます。組合員の負担は減る分、委託費用がかかるため、コストパフォーマンスを考慮して決めることが大切です。
なお、全部委託方式を選んだ場合でも、マンション運営の意思決定を行う理事会や総会の運営は管理組合の役割であることを認識しておきましょう。
一部委託方式
一部委託方式は、一部の管理業務を管理会社に依頼し、残りの管理は管理組合が行う方法です。会計業務や事務など組合員にとって負担が大きい業務は管理会社に任せ、負担の少ないものだけを管理組合が担うことで、コストを抑えて負担軽減を実現できます。
ただし、業務によって委託費用が異なるため、依頼する内容には十分な検討が必要です。マンションの規模や予算によって、柔軟に対応してくれる管理会社を選定しましょう。
マンションを自主管理する際にやるべきこと
自主管理方式でマンションを管理する場合、全ての業務に管理組合が対応する必要があります。具体的に、自主管理でやるべきことは主に以下の通りです。
【区分所有者・居住者の管理】
転入・転出などに伴う名簿作成や更新、駐車場・駐輪場などの共用設備の利用者の管理、連絡体制の整備など
【会計事務】
組合管理費・修繕積立費・駐車場料金などの集金、出納管理、決算報告の作成、未納者への督促など
【建物・設備の維持管理】
エレベーターや消防設備、駐車場などの定期点検や修理・修繕の手配、外壁や屋上の劣化状況の確認など
【清掃業務】
エントランスや廊下、ごみ置き場など共用部分・敷地内全体の定期的な清掃の実施
【その他の対応】
防災計画の策定、掲示板や回覧板などを用いた情報共有、総会や理事会の運営、クレーム・トラブル対応
マンションの規模や設備の内容によっても必要な作業は異なりますが、共通して上記のような業務が求められます。特に中大規模のマンションでは、管理の負担も大きくなるため、組合内での役割分担や外部専門家の活用も検討するとよいでしょう。マンションの自主管理を円滑に進めるためには、スムーズな情報共有と組合員同士の協力が必要です。
自主管理マンションのメリット
マンションを自主管理する方法は、管理会社に委託する方法と比較して組合員に負担がかかりますが、一方で以下のようなメリットもあります。
● 管理費用が軽減される
● マンション管理に対する意識が高まる
● 住民同士の交流が活発になる
ここからは、自主管理方式でマンションを管理した場合の主なメリットをご紹介します。
管理費用が軽減される
マンションの自主管理は管理会社に業務を委託しない分、コストを抑えられる点が大きなメリットです。委託費用が必要ないことで金銭的な負担が減り、浮いた予算を修繕工事や防犯設備の導入など、他の目的に使えます。
特に中小規模のマンションでは、戸数に対する委託費用の割合が高くなる傾向があり、自主管理による費用削減の効果を実感しやすいでしょう。自主管理による管理業務に関して組合役員に報酬を支払う場合もありますが、一般的に委託費よりも低く抑えられます。
マンション管理に対する意識が高まる
自主管理により、組合員一人ひとりが「マンション管理に関わっている」という意識を持ちやすくなるのもメリットの一つです。
管理業務を全て管理会社に委託していると、清掃や設備点検、修理・修繕などが当たり前に行われているように感じ、誰かが作業していることに気付きにくいです。結果的に、共用部分を汚したり壊したりしても問題意識が薄れて「誰かがきれいにしてくれるだろう」と考えて、丁寧に使用する意識を持ちにくくなります。
自主管理では住民自身が日々の管理に関わるため、日常的にマンションを大切にする意識が生まれやすくなります。
住民同士の交流が活発になる
マンションを自主管理する場合、管理業務に携わる過程で自然と会話や相談の機会が増え、お互いが積極的にコミュニケーションを取ろうと働きかけるため、住民同士の交流が生まれやすくなります。円滑な管理業務を進めるには、組合員同士の協力や連携が欠かせません。
例えば、各種集金や清掃、点検対応などの場面で顔を合わせる機会が増え、日常的に挨拶を交わしたり、ちょっとした会話を楽しんだりする関係が築かれやすくなります。住民同士の交流が活発になれば、防犯やトラブル予防にもつながる点も自主管理のメリットです。
自主管理マンションのデメリット
マンションの自主管理にはメリットがある一方で、以下のようなデメリットがあることも知っておきましょう。
● 自主管理するメンバーの「なり手」が不足しがち
● 管理のための工数(時間)がかかる
● きちんと管理しないと資産価値が下がる可能性がある
● マンション管理の知識が必要となる
ここからは、自主管理を選択する前に知っておきたいデメリットについて解説します。
自主管理をするメンバーの「なり手」が不足しがち
自主管理は、管理会社に支払う委託費用を削減できるメリットがある一方で、管理を担う理事メンバーの「なり手」を確保しにくいことがデメリットです。
管理業務に携わるには、事務処理や点検・修理の手配など、一定の負担が生じます。そのため、仕事が忙しい人や高齢者など、さまざまな事情から管理業務に参加することが難しいケースも多く、結果的に自主管理を選びたくても、なり手不足に陥りやすいことがあります。
国土交通省が発表した「令和5年度マンション総合調査結果からみたマンションの居住と管理の現状」によれば、マンションに住む世帯主のうち、60歳代と70歳以上が占める割合は合計53.7%に達し、年々増加傾向です(※)。高齢化社会の進行により、今後も居住者の高齢化が加速し、それに伴って自主管理に携わる人材の確保がますます困難になることが懸念されます。
管理のための工数(時間)がかかる
マンションを自主管理する場合、やるべきことが多く、管理に時間や工数がかかることがデメリットです。
先述した通り、自主管理では所有者・居住者の情報管理や会計事務、クレーム対応など、建物の維持管理以外の業務にも幅広い対応が求められます。特に、所有者や居住者との直接的なやり取りが必要な業務では、意見の対立や感情的な衝突によりトラブルへと発展する可能性も否定できません。
さらに、管理費や修繕積立費などの集金業務も管理組合が担うため、支払いの遅延や滞納が発生した場合は、督促や回収のための対応が必要です。場合によっては、弁護士への相談や法的手続きに進むケースもあります。
仕事や家事、育児など日常生活と両立しながら、複雑で時間のかかる管理業務をこなすのは大きな負担になるでしょう。自主管理を選択する際には、想定以上の工数が発生する可能性があることの理解が重要です。
きちんと管理しないと資産価値が下がる可能性がある
マンションは、十分な管理がされていない場合、共用部分の美観や機能性が損なわれるだけではなく、建物や設備の劣化が早くなります。
自主管理では、劣化に伴う修理・修繕が適切に行われずに放置される可能性がゼロではありません。その場合、売却や賃貸時の評価が低くなり、資産としての価値が大きく損なわれるかもしれません。
定期的な点検やメンテナンスを怠ると、破損や故障の発見が遅れ、修繕費がかさんだり、居住者の利便性に支障をきたしたりする恐れもあります。さらに、管理費や修繕積立費の集金体制が不十分だと、必要なタイミングでの修繕工事に対応できず、問題が長期化する原因になるでしょう。
資産価値を維持するためには、見た目の清潔さだけではなく、長期的な維持管理計画を立て、計画的に修繕を行う体制を整えておくことが不可欠です。
マンション管理の知識が必要となる
管理組合による自主管理を行うには、マンション管理に関する一定の知識が求められます。例えば、予算の立案や長期修繕計画の策定、管理費、修繕積立費の会計処理など、会計や建物管理に関する実務的な知識が必要です。
さらに、所有者や居住者からのクレーム対応や意見調整など、人間関係を円滑に保つためのコミュニケーションスキルも必要です。組合員の中にこのような知識やスキルを持つ人がいればスムーズに対応できますが、運良く適した人材がいるとは限りません。そのため、必要に応じて外部の専門家に相談できる体制を整えておくことも、安定した自主管理を続ける上で大切です。
また、スキルを持つ組合員が転居や高齢化などで活動から離れた場合、新たな人材を確保する必要があります。将来的な運営体制も視野に入れ、自主管理を長期的に継続できるのかどうかを慎重に検討しましょう。
※参考:国土交通省.「令和5年度マンション総合調査結果からみたマンションの居住と管理の現状」.“1.マンション居住の状況(1)世帯主の年齢[区1]”.(参照2025-06-12)
管理会社に委託した方が安心?管理会社に委託する際の注意点
自主管理はコストを抑えられる管理方法ですが、前述のように管理の手間や人材確保の面でデメリットもあります。実際に、国土交通省が発表した平成30年度マンション総合調査結果によると、管理組合が全ての管理事務を行っているマンションの割合は6.8%でした。
一方で、管理事務を全てマンション管理業者に委託しているのは74.1%を占めています(※)。
多くの管理組合が管理業者に委託していますが、その際は注意点もあります。詳細について見ていきましょう。
管理会社選定は慎重に行う
マンションの管理を管理会社に委託する場合は、選定を慎重に行うことが重要です。同じように管理業務を代行する会社でも、管理の品質や対応の丁寧さには差があります。
例えば、共用部分の清掃業務一つにしても、定期的に機械で床を洗浄し、ワックスがけまで行う会社もあれば、簡易的な掃き清掃や拭き清掃で済ませる会社もあるかもしれません。
同じような費用であっても、サービスの内容や範囲に違いがあるため、過去の実績や利用者の評判をしっかりと確認した上で、信頼できる管理会社を選ぶことが大切です。
自主管理よりも管理費が上がる可能性がある
管理会社に委託する場合、自主管理と比べて管理費が高くなる傾向があることも留意しておきましょう。管理会社へ支払う委託費用には、事務管理や清掃、設備点検、修繕対応など多岐にわたる業務が含まれており、自主管理による理事報酬よりコストがかさみます。
委託費用は通常、管理組合が徴収する管理費から支払われるため、委託費用が高額になると、管理費の値上げを検討せざるを得ないケースも出てきます。特に、小規模なマンションや戸数の少ない物件では、各住戸の負担が大きくなりやすいため注意が必要です。
管理会社に委託する際は、事前に見積もり内容やサービス範囲を十分に確認し、長期的なコストとのバランスを考慮した判断が重要です。
管理組合と管理会社との間でより良い関係を築いていく
特に、元々自主管理を行ってきたマンションが新たに管理会社へ業務を委託する場合には、管理組合と管理会社が良好な関係を築くための環境づくりが重要です。
運営方針や管理内容への考え方が異なることで、双方の意見がぶつかり、トラブルに発展するケースもあるためです。あらかじめお互いの役割や責任の範囲を明確にし、定期的な意見交換の場を設ける必要があります。
管理会社は専門的な知識やノウハウを生かして業務を遂行し、管理組合は住民の声を反映させた適切な意思決定をすることで、質の高いマンション管理ができます。信頼関係を築くことが、長期的に見て大きなメリットにつながるでしょう。
※参考:国土交通省.「平成30年度マンション総合調査結果[概要編]」.”3.調査結果概要(2)マンション管理と管理事務委託の状況⑦管理事務の実施状況”(参照2025-06-12)
不動産管理会社の選び方
マンション管理の業務委託が決まったら、不動産管理会社の選定をします。管理会社を選ぶ際には、主に以下のポイントを押さえておきましょう。
● 修繕にどこまで対応してくれるか
● 滞納の対処方法が明らかになっているか
● 資金を管理する能力があるか
● 定期点検・設備点検にどの程度対応しているか
管理会社選びに失敗すると、居住者からのクレームやトラブルにつながりかねません。ここでご紹介する選び方を参考に、信頼できる管理会社を選定しましょう。
修繕にどこまで対応してくれるか
管理会社を選ぶ際には、例えば、突発的に発生した給排水や外壁、共用部などの不具合に、迅速かつ的確に対応できる会社を選ぶことが重要です。不具合を早急に解消できない場合、入居者の満足度が下がるだけではなく、マンションの劣化が進む可能性があります。どの範囲まで対応してくれるのか、緊急時の対応体制は整っているかを事前に確認しましょう。
さらに、長期修繕計画の作成や実行の実績も重要な評価ポイントです。提携する業者の質や費用の妥当性、見積書の透明性も確認しておくことが大切です。
滞納の対処方法が明らかになっているか
管理会社を選ぶ際には、滞納が発生したときの対処方法が決まっているかも確認しましょう。入居者による管理費や積立修繕費の滞納は、マンション管理で避けては通れないリスクです。滞納が発生した場合の対応方針が明確になっていると、万が一のトラブルに備えられます。
対策が不十分だと滞納が常態化しても有効な対応が取れず、他の入居者の不満が蓄積したり、必要な資金を確保できなかったりするトラブルにつながりやすいです。
滞納が発生しないような集金管理はもちろん、常態化を防ぐ対策をマニュアル化しているかどうかの確認が重要です。例えば、督促の手順や法的措置への移行基準、弁護士との連携体制などが具体的に示されていれば、任せやすいでしょう。
資金を管理する能力があるか
管理会社に資金管理を任せる際は、正確で透明性の高い会計処理体制を持っているかが重要です。マンションの管理業務には、管理費や修繕積立金、共用部の光熱費など、多様な資金の管理が伴います。
書類が適切に保管されていない、会計報告を督促する必要があるなど、ずさんな体制の管理会社は、万が一不正があった場合に発覚が遅れて被害が大きくなる可能性があります。健全な会計管理を支えてくれるか判断するためにも、正確な記録と保管、定期的な報告を業務内容として明記している管理会社の選定が大切です。
例えば、収支報告書の提出頻度や領収書・明細の保管条件、外部監査への対応実績などを確認しましょう。
定期点検・設備点検にどの程度対応しているか
管理会社の選定時には法定点検だけではなく、任意点検や予防保全への取り組み状況も確認しておきましょう。マンションの維持管理には、定期的な建物・設備の点検が欠かせません。
例えば、エレベーターや給排水設備、消防設備などの設備はどのくらいの頻度で点検を実施し、どのように結果を報告してくれるかは重要な判断材料です。不具合が見つかった際の対応スピードや、修繕提案の質も含めて評価しましょう。
点検の実施を外注している場合は、提携業者の信頼性や対応力も確認しておくことをおすすめします。点検体制がしっかりしていれば、トラブルや事故を未然に防ぎ、結果的に住民満足度の向上と修繕コストの軽減にもつながります。入居者の生活を担保するためにも、点検体制の整った会社を選びましょう。
【まとめ】マンション管理は管理会社に委託して自主管理の負担を軽減させよう
マンションの管理方法には、自主管理方式や全部委託方式、一部委託方式があります。自主管理はコスト削減や住民意識の向上、交流が活性するメリットがある一方で、管理の手間や知識の負担、なり手不足などのデメリットがあります。特に高齢化が進む中で、今後ますます自主管理の継続は難しくなるかもしれません。
そのような課題を解消するためには、組合員の負担が軽減される管理会社への委託を検討してみましょう。委託費用は発生しますが、管理業務の質が安定し、トラブル回避や資産価値の維持にもつながります。
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監修
(株)中央ビル管理 取締役 江本 昌央氏
所属/(株)中央ビル管理取締役 業務管理部部長
保有資格/ 宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士