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賃貸管理コラム

不動産投資の収支マイナスとは?「良い赤字」と「悪い赤字」の違いや対処法などを解説

相続・不動産投資

2025.11.26

更新日 2025.11.27

不動産投資の収支マイナスとは?「良い赤字」と「悪い赤字」の違いや対処法などを解説

不動産投資における収支マイナス(赤字)には「良い赤字」と「悪い赤字」があります。悪い赤字が続くと、家計を圧迫し資産形成が大きく崩れるリスクがあるため、注意が必要です。本記事では不動産投資の赤字について解説するとともに、悪い赤字となった場合の対策を分かりやすく説明します。


不動産投資を始めたものの「毎月赤字で不安」「このまま続けて大丈夫?」と悩む方は多いでしょう。不動産投資で収支マイナスとなった場合は、それが「良い赤字」と「悪い赤字」のどちらなのかを正確に把握することが大切です。

本記事では、不動産投資における赤字の状態について、詳しく解説します。また「良い赤字」と「悪い赤字」の違いや、悪い赤字となったときの対処法なども紹介します。確実な資産形成を目指すためにも、不動産投資で赤字になるケースをしっかり把握しましょう。

不動産投資における赤字とは?

不動産投資における赤字とは、得られる家賃収入よりも支出が多くなる、収支マイナスの状態です。

支出には、固定資産税や修繕費、ローン金利の他、会計上の費用である「減価償却費」などがあります。これらの経費が家賃収入を上回ると、赤字になります。

赤字は、大きく以下の2つに分けられます。

● 帳簿上の赤字
● キャッシュフロー赤字


帳簿上の赤字とは、主に減価償却費を計上することによって、会計上の利益がマイナスになる状態です。減価償却費は実際にお金が出ていく費用ではないため、帳簿上は赤字でも手元に現金が残っているケースがあります。このため「帳簿上の赤字」は必ずしも悪いものではありません。

一方、キャッシュフロー赤字とは、家賃収入からローンを返済し、諸経費などを支払った結果、手元のお金がマイナスになり、自己資金で補填する必要がある状態を指します。

このように、赤字には「良い赤字」と「悪い赤字」が存在するのです。

不動産投資における「良い赤字」

不動産投資における良い赤字とは、以下の状態を指します。

● 減価償却費を活用した帳簿上の赤字
● 一時的なキャッシュフロー赤字


これらの赤字は節税につながったり、将来の収益性を高めたりする可能性があるため、失敗とはいい切れません。以下、それぞれがどのような状態なのか、詳しく解説します。

減価償却費を活用した帳簿上の赤字

減価償却費を活用した帳簿上の赤字は、良い赤字の一つです。

減価償却とは、建物や設備の購入費用を一度に経費にせず、使用できる期間に分割して経費として計上する仕組みです。

建物は時間の経過とともに価値が減るものと見なされ、税務上は減価償却費として経費計上できます。そのため、帳簿上は赤字でも、実際のキャッシュフローは黒字というケースがあります。ただし、減価償却の金額は、建物の構造(木造か鉄筋コンクリートか)や、耐用年数によっても異なるため、注意しましょう。

なお、不動産所得で生じた帳簿上の赤字は、給与所得などの他の所得と合算することが可能です。これを「損益通算」といい、全体の課税所得を圧縮することで所得税や住民税の負担を軽減できます。特に所得税率が高い高所得者ほど、節税効果は大きくなります。

一時的なキャッシュフロー赤字

一時的なキャッシュフロー赤字の場合も、良い赤字に該当します。短期的なキャッシュフローはマイナスでも、将来物件を売却した際の利益によって投資全体でプラスのリターンを目指す戦略です。

ただし、不動産の価格は市場の状況によって変動します。そのため、購入時より高く売れる保証はなく、逆に値下がりして損失を被るリスクもある点には十分な注意が必要です。

不動産投資における「悪い赤字」

以下のような赤字は「悪い赤字」であるため注意が必要です。

● 長期的に改善の見込みが立たない赤字
● 購入時の計画ミスが原因の赤字


このような赤字は家計を直接圧迫し、将来の収益にもつながらないため「良い赤字」と混同しないように注意しましょう。以下で詳しく解説します。

長期的に改善の見込みが立たない赤字

長期的なキャッシュフロー赤字は「悪い赤字」です。先述の通り、キャッシュフロー赤字は放置すると、投資そのものを危険にさらす可能性があります。

長期的に改善の見込みが立たない赤字の原因となるのが、空室や家賃の下落などです。

その要因として挙げられるのが、以下の3つです。

● 郊外で人口が減少しているエリアの物件
● 周辺に新築物件が増え、競争力を失った物件
● 設備や築年数の古さが理由で、リフォームしても入居者が集まりにくい物件


毎月の家賃収入よりも支出が上回れば、その差額はオーナーが負担することになります。数年間続くと負担が数百万円まで膨らむ可能性もあり、最悪の場合、物件を維持できなくなるかもしれません。

空室対策をしても入居が決まらなかったり、家賃が大きく下がったりする状況に陥ると、改善するのが非常に難しくなります。短期的に解消できる見込みがない場合、早めの対処が必要となります。

購入時の計画ミスが原因の赤字

購入時の計画ミスが原因の赤字も、悪い赤字の一つです。ローンの返済額が家賃収入に対して高過ぎる場合や、物件の立地などに問題がある場合は「避けられない赤字」になる可能性があります。

例えば、返済額が毎月9万円なのに対して、家賃収入が8万円しか入らない物件を購入した場合、最初から毎月1万円の赤字となります。これは「努力しても改善できない赤字」であり、投資の前提が崩れている状態です。

立地が悪く賃貸需要が乏しい物件も同様です。長期的に空室の状態が続けば、想定以上の赤字となる可能性があります。

不動産投資における赤字の主な原因

不動産のオーナーが直面しやすい赤字の原因は、以下の4つです。

● 空室や家賃下落による収入減少
● 金利上昇や借入条件の影響
● 修繕費・管理費などのランニングコスト
● 固定資産税・都市計画税など税負担


次でそれぞれ詳しく解説します。

1. 空室や家賃下落による収入減少

家賃は収入の柱ですが、入居者がいなければゼロになります。しかし、その間もローンや管理費の支払いは続きます。

すぐに改善できればよいですが、長期的に続くと大きな赤字になるでしょう。以下は、入居者がいた場合といなかった場合の収入の差額を、一覧にしたものです。

■通常(満室)
家賃収入:8万円
支出(ローン+管理費):7万円
差額:+1万円

■1ヶ月空室
家賃収入:0円
支出(ローン+管理費):7万円
差額:-7万円


このように、たった1カ月の空室でも大きな負担となります。仮に空室の状態が1年間続けば、差額は84万円まで膨らみます。

また築年数が経過すると家賃を下げざるを得ないこともあるでしょう。例えば、8万円で貸せていた部屋が6.5万円まで下がれば、年間で18万円の収入減少となります。


2. 金利上昇や借入条件の影響

ローンの返済額は金利に大きく左右されるため注意が必要です。

特に変動金利を選んでいる場合、金利が上がると一気に返済額が増え、赤字の原因になる恐れがあります。変動金利とは、市場の金利情勢に応じて借入時の利率が定期的に見直される金利の種類です。金利の見直しは半年に一度などのペースで行われます。

以下は、借入額を2,000万円とした例です。

●金利:1.0% ●月返済額:約5.3万円

●金利:2.0% ●月返済額:約6.1万円 ⇒差額+8,000円(年間約10万円の負担増)


1%の金利上昇でも、月の返済額は約8,000円、年間で約10万円増えることになります。

小さな数字の差に見えても、ローンは長期にわたるため、将来的には数百万円単位で家計を圧迫する可能性があるのです。

3. 修繕費・管理費などのランニングコスト

不動産は「持っているだけ」で費用が発生します。

特に修繕や設備交換は高額になりやすく、予算に組み込んでいないと大きな赤字要因になります。以下は代表的な例です。

● 給湯器の交換
● エアコンの交換
● 水回り設備(トイレや浴室)の入れ替え


上記の他、築年数がたつと外壁の塗装や防水工事が必要になるケースもあります。さらに、管理委託料や共用部の清掃費などもかかるため「ローンさえ返せば大丈夫」という考え方は危険です。

4. 固定資産税・都市計画税などの税負担

赤字を防ぐために注意したいのが、固定資産税や都市計画税などの税負担です。

税額は、市区町村が3年ごとに評価する「固定資産税評価額」を基に算出されます。一般的に、土地の評価額は約70%、物件の評価額は建築費の50〜70%です。

固定資産税は、評価額に対して原則1.4%で、市街化区域内にある場合は都市計画税が最大0.3%が上乗せされます(※1)(※2)。仮に物件の評価額が1,500万円の場合、年間に支払う税額は以下の通りです。

●固定資産税率・・・1.4%(21万円/年)
●都市計画税率・・・0.3%(4.5万円/年)
⇒年間税額25.5万円/年(月額2.1万円)


納税額によっては、想定以上に負担が大きくなることもあります。そのため、物件の購入前の収支計算では、税率や税額をしっかり把握しておくことが大切です。

※1 参考:総務省.「説明資料〔資産課税(固定資産税等)〕」.”固定資産税の概要”(参照2025-09-30)


※2 参考:総務省.「都市計画税」.”都市計画税の納税額の計算方法”(参照2025-09-30)



悪い赤字の際の対処法

悪い赤字が発生しても、すぐに投資を諦める必要はありません。原因を分析して対処すれば、改善できるケースもあります。

ここからは、悪い赤字の際の代表的な対処法を紹介します。

1. 家賃や入居条件を見直す

特に空室の状態が続く場合、まずは家賃などの料金が相場に合っているかを確認しましょう。家賃や敷金・礼金、更新料などが相場よりも高い場合は、値下げするのも一つの方法です。

高齢者や外国人、ペットなどに関する入居条件を見直すのもおすすめです。入居者の条件を広げることで、入居を検討する人が増える可能性があります。

2. リフォームや設備の導入を行う

2つ目が、リフォームや設備の導入を行うことです。具体的には、以下のような対応を検討するとよいでしょう。

● 壁紙や床をリフォームし、物件の内装を一新する
● 無料Wi-Fiや宅配ボックスなど、利便性の高い設備を充実させる
● オートロックや防犯カメラを設置し、セキュリティ対策を強化する


コストをかけて物件の利便性と快適性を向上することで、入居者の確保にもつながると考えられます。

3. 金利の交渉や借り換えによって返済の負担を軽減する

3つ目は、金利の交渉や借り換えによって、返済の負担を軽減することです。

ローンの返済が収支を圧迫している場合は、金融機関と交渉して金利を下げたり、他行への借り換えを検討したりするとよいでしょう。

金利が1%下がるだけでも、毎月の返済額が数千〜1万円以上減る可能性があります。例えば、2,000万円を金利2%で借りている場合、返済額は月約6.1万円です。1.5%に下がれば返済額は約5.7万円となり、毎月4,000円、年間5万円近く減ります。

このように、金利の交渉や借り換えは赤字改善の有効な手段です。ただし、借り換えには登記費用や手数料などの諸費用がかかる他、金融機関による再度の審査も必要です。

まずは現在取引している金融機関に金利引き下げの交渉ができないか相談してみることから始めるとよいでしょう。

4. 修繕・管理コストを見直す

4つ目は、修繕・管理コストを見直すことです。

業者によって見積もりが大きく異なることから、修繕費や管理費は比較的見直しやすいです。定期的に見積もりを取るようにしておけば、不要な出費を抑えられる可能性があります。

以下は、高額化しやすいコスト、見直しやすいコストの例です。

■高額化しやすいコスト

①大規模修繕(外壁塗装、防水工事、屋根工事など)
 数百万円規模になることもあるため、計画的な積み立て必要となる。

②設備交換(給湯器、エアコン、給排水設備など)
 突発的に発生しやすく、緊急工事だと割高になりやすい

■見直しやすいコスト

①管理委託料
相場は家賃の5%程度だが、会社ごとに差がある

②清掃費、点検費用
管理委託料に含まれることが多いが、別途実費で請求されるケースもある

③保険料(火災保険、地震保険)
補償内容を精査し、過剰な補償を避けることで年間数万円削減できる場合もある

このように、高額化しやすいコストは「計画的に備える」、見直しやすいコストは「比較、調整して削減する」と考えるとよいでしょう。


5. 売却や任意売却を検討する

赤字の負担が大きい場合は、売却や任意売却を検討するのも一つの方法です。

売却すれば、市場価格が購入時より下がっていたとしても、長期間の赤字を続けるよりは損失を抑えられるかもしれません。一方で、ローン残債が物件価格を上回って売却できない場合に検討されるのが「任意売却」です。

以下で、通常の売却と任意売却の違いをまとめました。

【通常の売却】
●売却条件:売却額がローン残債以上
●手続き:不動産会社を通じて市場で売却
●債務の扱い:売却代金でローンを完済し、債務なし

【任意売却】
●売却条件:売却額がローン残債未満
●手続き:金融機関の同意が必要
●債務の扱い:売却後も残債が残り、金融機関と返済計画を再調整

任意売却は、金融機関の同意を得て市場価格に近い金額で売却する方法です。競売に比べて条件を柔軟に決められるため、より高値で売れる可能性があり、売却後の生活設計も立てやすいという特徴があります。

なお、任意売却は信用情報に影響する可能性があるため、あくまでも最終手段として慎重に検討する必要があります。

まずは不動産会社に査定を依頼して、通常の売却が可能かを確認しましょう。もし売却価格がローン残債を下回るオーバーローンの状況であれば、次の手段として任意売却を検討することになります。

赤字でも投資を続けるべきか? 撤退を検討すべきか?

不動産投資で赤字が出たとき、オーナーとして悩むのが「このまま不動産を持ち続けるべきか、それとも売却すべきか」という判断でしょう。

ここからは、判断基準の目安となる考え方を紹介します。

「続ける」「撤退する」の判断基準となる視点

赤字の原因が一時的なものであり、改善の手立てがある場合は、投資の継続を検討できます。判断の目安として、以下の視点で考えてみましょう。

1. 原因が明確で、具体的な対策を実行できるか?

1つ目は「原因が明確で、具体的な対策を実行できるか?」という視点です。

赤字であっても不動産投資を続ける場合は「なぜ空室なのか」「なぜ収支が合わないのか」という原因を特定できていることが重要です。その上で、先述したリフォームや金利交渉などの対策が実行できるかを判断しましょう。

逆に赤字の原因を追及しても特定できない場合や、対策の実行が難しい場合は、撤退を検討した方がよいかもしれません。

2. 対策にかかるコストと効果が見合っているか?

2つ目は「対策にかかるコストと効果が見合っているか?」という視点です。

例えば、リフォームに50万円投資して家賃を月5,000円上げる場合、投資を回収するまでには8年以上かかります。その投資が現実的かどうか、費用対効果を冷静に分析することが重要です。

明らかにコストが大き過ぎる場合などは、撤退も一つの選択肢となります。

3. 自分の資金に余力があるか?

最後が「自分の資金に余力があるか?」という視点です。

赤字に対して改善策を取ったとしても、効果が上がるまでには時間がかかることがあります。対策が実を結ぶまでの間、赤字を補填できるだけの自己資金があるかどうかも、重要な判断基準です。

1つ目と2つ目の視点とも関わりますが、資金に余力がないと判断するのであれば、撤退を選択した方がよいでしょう。

不動産投資で収支マイナスを避けるための対策

不動産投資を始めるときに収支マイナスを避けるためには、購入する物件を吟味する、シミュレーションをしっかり行うなどの対策が必要です。

可能な限り築浅で駅からアクセスしやすい物件を選べば、空室になるリスクを下げられます。また不動産を購入する前にローンの返済額に加えて納税額や修繕・管理コスト、空室リスクによる家賃の変動なども考慮してシミュレーションしておけば、想定外の収支マイナスに陥りにくくなるでしょう。

さらに、不動産投資のパートナーとなる不動産のプロに相談するのも対策の一つです。長期的な赤字のリスクを避けるためにも、物件選びやシミュレーションの段階から、信頼できる不動産会社にアドバイスを求めることをおすすめします。

【まとめ】不動産投資の収支マイナスは失敗とは限らない

不動産投資の赤字は、必ずしも失敗とは限りません。減価償却による帳簿上の赤字や将来の売却益を見込んだ一時的な赤字は「良い赤字」です。一方で、長期的に改善の見込みが立たない赤字や、購入時の計画ミスが原因である赤字の場合は、早めの対応が必要となります。

大切なのは、良い赤字と悪い赤字のどちらなのかを適切に判断することと、万が一、悪い赤字に陥ったときはスピーディーに対処することです。場合によっては、投資を続けるか、撤退するかを判断すべきかもしれません。また不動産のプロに相談するのもおすすめです。

株式会社中央ビル管理は、埼玉・千葉・東京エリアの賃貸住宅専門の管理会社です。アパート・マンション・戸建てを問わず、入居者の募集やリフォーム、トラブル発生時の対応など、オーナーさまのお悩み一つひとつに向き合い、対応いたします。

「不動産投資における赤字対策について相談したい」「相場を把握した上で不動産の家賃を評価したい」など、不動産に関する悩みをお持ちの方は、ぜひ気軽にお問い合わせください。

監修

(株)中央ビル管理 取締役 江本 昌央氏

所属/(株)中央ビル管理取締役 業務管理部部長 
保有資格/ 宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士

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