賃貸マンションの価値向上は共用部分から見直そう!入居率を高める具体策とポイントを解説
賃貸経営
2026.03.11
更新日 2026.03.12
賃貸経営で「空室がなかなか埋まらない」「築年数が経過して競合物件に勝てない」と悩むオーナーさまは少なくありません。
入居希望者に選ばれる物件にするには、マンションの顔ともいえる共用部分の内装や設備を見直すことが大切です。
本記事では、賃貸マンションの価値を高める共用部分の具体的な改善策と、入居率を高めるポイントを紹介します。
目次
賃貸マンションの価値向上で共用部分を整備する3つの理由
賃貸マンションの価値を高める際、部屋の内装整備に意識が向きやすいですが、共用部分の整備も同様に重要です。まずは、賃貸経営で共用部分の整備が重要視されている3つの理由を見ていきましょう。
1. 共用部分は競合物件との差別化ポイントになるため
マンションの共用部分は、競合物件との差別化を図る上で重要なポイントです。築年数や間取りが近い物件が並ぶエリアでは、内装だけでは明確な違いを打ち出しにくい場合があります。そのような中で空室リスクを減らすには、マンションの顔ともいえる共用部分の整備が必要です。
内見時に最初に目に入る共用部分の印象が良ければ、入居希望者に管理が行き届いた物件だと感じてもらいやすくなるため、入居率の向上につながります。
2. 既存入居者の早期退去を防ぐため
共用部分の整備は、既存入居者の早期退去の防止につながります。
引っ越しのきっかけは、転職や退職、ライフスタイルや家族構成の変化など、人によってさまざまです。中には「共用部分の管理が不十分で快適に暮らせない」などの理由で退去するケースもあります。
新規入居者が増えても、退去者が多ければ安定した経営にはつながりません。共用部分の整備は、既存入居者の満足度を高め、長期入居を促すための施策にもなります。
3. 共用部分の清潔さが将来の売却に影響するため
共用部分の清潔さや管理状態は、将来物件を売却する際の評価に影響します。
賃貸物件の売却査定では築年数や耐震性能、立地条件だけでなく、エントランスや廊下など共用部分の管理状態も確認されます。共用部分が汚れていると、管理が行き届いていない物件と判断され、資産価値の低下につながるケースも少なくありません。結果として売却価格が下がり、想定していた条件での売却が難しくなる場合があります。
日頃から物件の掃除や点検を徹底し、共用空間を良好な状態に保つことが、将来の出口戦略を見据えた対策になります。
賃貸マンションの価値向上につながる共用部分改善の具体策
賃貸マンションの価値を高めるには、以下の3つの視点で共用部分を整備する必要があります。
● エントランスの第一印象を高める
● 暮らしの利便性を高める設備を導入する
● 共用部分のセキュリティ対策を強化する
1. エントランスの第一印象を高める
まずは、マンションの第一印象を決めるエントランスを整備しましょう。以下で、具体的な対策を紹介します。
■床材・壁紙をリフォームする
内見時の印象アップのために、エントランスの床材、壁紙のリフォームを検討しましょう。経年劣化による色あせや汚れが目立つ部分を張り替えるだけでも、空間の見え方が大きく変わります。
例えば既存の内装が暗く古びた印象であれば、明るい色の床材・壁紙に張り替えると良いでしょう。天井や壁面をホワイトやベージュ系に統一すると、空間がすっきりとした印象になり、開放感が生まれます。
エントランスは入居者が毎日通る場所であり、マンションの顔ともいえる場所です。内見時に好印象を持ってもらえるよう、清潔感や明るさを意識した空間づくりを心掛けましょう。
■エレベーターの内装を変更する
築年数の経過したマンションでは、エレベーター内の壁紙や床材が劣化し、古びて見えることがあります。エントランスや室内の印象が良くても、エレベーターが古いままだと、内見時に建物が老朽化していると受け取られる可能性があります。
大きな費用をかけずに実施できる対策としては、壁面に高級感のある化粧シートを貼る、床マットを交換するなどです。化粧シートは、既存の壁紙を剥がす必要がなく、そのままシールのように貼れる上、デザインの種類も豊富です。そのためエレベーターの内装工事で多く選ばれています。
入居者の満足度向上と物件のイメージアップのためにも、リフォーム業者と相談しながらエレベーターの内装を整えましょう。
■蛍光灯からLED照明に変更する
エントランスの印象アップにつなげる対策として、蛍光灯からLED照明への変更が挙げられます。近年のLED照明はデザイン性に優れており、エントランスの内装に合わせて色味や明るさの調整ができます。明るいエントランスは内見時の印象を高め、成約率の向上につながるでしょう。
また大幅な省エネ効果が期待できる点もメリットです。日本照明工業会の調査では、従来の蛍光灯(FCL30形)をLEDに交換すると、年間で約56%の省エネ効果が得られることが確認されています(※)。
資産価値の向上とランニングコストの削減を同時に実現できるため、ぜひ試してみてください。
※参考:一般社団法人日本照明工業会 LED照明ナビ.「マンション共用部の照明をLEDに交換 省エネ性や管理費用削減のポイントをご紹介」(参照2026-02-21)
■集合ポストを新しくする
目立った劣化がなくても、古いデザインのステンレス製ポストや南京錠式タイプのポストは、物件の古さを強く印象付けます。ダイヤル式やカードキー対応のポスト、デザイン性の高いポストに変更すれば、現代的な印象を与えられます。
ポスト変更がコストの問題で難しければ、扉の歪みや故障を修理したり、不要なチラシがたまらないよう「チラシ投函お断り」と表示したステッカーを掲示したりすると良いでしょう。
■日々の掃除を徹底する
マンションの共用部分は、定期的に掃除して清潔な状態を保ちましょう。エントランスに限らず、廊下や階段なども物件のイメージを決める要素となるため、しっかり掃除する必要があります。
特に意識したい掃除箇所と目安となる頻度、掃除方法を紹介します。
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【エントランス・廊下】
①清掃方法
● 掃除機・ほうきで床のごみを取り除く
● モップで掃き掃除をする
● 必要に応じて玄関マットを洗濯・交換する
②清掃の頻度
●エントランス:できれば毎日
●廊下:週1~2回
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【エレベーター】
①清掃方法
● 扉・壁面・操作パネルを消毒する
● 掃除機・ほうき・モップで掃き掃除をする
②清掃の頻度
●週1回~2回
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【階段】
①清掃方法
● 掃除機・ほうき・モップで掃き掃除をする
● 手すりを消毒する
②清掃の頻度
●週1~2回
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共用部分の掃除を管理人が全て実施するのは労力と手間がかかるため、管理会社や清掃業者への依頼をおすすめします。
2. 暮らしの利便性を高める設備を導入する
賃貸物件の入居の決め手は、エントランスの第一印象だけではありません。実際にその物件で快適に過ごせるかどうかも、重要な判断材料になります。
毎日の暮らしの快適性・利便性を上げ、物件の価値向上を図る対策として、宅配ボックスやごみボックスの設置を検討してみてください。
■宅配ボックス
宅配ボックスは、新築の戸建て住宅や新築マンションを中心に導入が進んでいる設備です。不在時でも配達員がボックスに荷物を預けてくれるため、入居者は時間を気にせず自分のタイミングで荷物を受け取れます。
参考までに、茨城県笠間市が行った置き配バッグのモニター調査では、再配達削減率が68.24%に達したとの結果も出ています(※)。
宅配ボックスの導入は、入居者の生活利便性を高めるだけでなく、物件の競争力向上にもつながる施策です。
※参考:笠間市.「置き配バッグ利用による再配達削減効果はいかに・・・。」 (2025-04-25)
■ごみボックス
専用のごみボックスを設置すれば、マンションの美観性を向上させられます。さらに24時間ごみ出し可能のルールを設ければ、決まった時間にごみを処分するのが難しい入居者にも、利便性の高い物件として評価されやすくなります。
ごみボックスのタイプは、メッシュタイプや密閉タイプなどさまざまです。ふた付きのボックスであれば、臭いの拡散や害虫の発生、カラス被害のリスクを抑えられます。
3. 共用部分のセキュリティ対策を強化する
賃貸物件を選ぶ際、共用部分の防犯対策を重視する入居希望者は少なくありません。不審者の侵入防止のために設置しておきたい設備を紹介します。
■防犯カメラ
エントランスやエレベーター、各階の共用廊下に防犯カメラを設置すれば、防犯対策に力を入れている物件だと評価されやすくなります。
防犯カメラの存在は、不審者が侵入をためらう要因にもなります。万が一トラブルが発生した場合でも、映像を証拠として残せる点は大きなメリットです。
ごみ置き場や駐輪場、駐車場などにも設置すれば、物件の防犯性がさらに高まるでしょう。
■モニター付きインターホン
物件のセキュリティを高めるなら、モニター付きインターホンの導入を検討しましょう。モニター付きインターホンは、部屋にいながら訪問者の顔を確認できるため、不審な訪問者の侵入リスクを抑えられます。特に単身者や小さな子どもがいるファミリー世帯に人気の設備です。
録画機能付きのタイプであれば、訪問時の映像を保存できます。万が一トラブルが発生した場合の確認にも活用でき、防犯意識の高い物件として評価されるでしょう。
■オートロック
オートロックの導入は、防犯性の向上だけでなく、入居率の向上にもつながります。
オートロックの玄関は、専用の鍵や暗証番号がなければ開かない仕組みになっています。不審者や不要なセールスの立ち入りを未然に防げる点は、セキュリティ性を重視して物件を選ぶ人にとって魅力的なポイントとなるでしょう。
ただし、オートロックの後付けは、一定の施工費用や工期を要します。導入時はあらかじめ資金計画を立て、どの程度の予算を確保できるのか整理しておきましょう。
共用部分の改善で賃貸マンションの価値向上を図る際のポイント
賃貸マンションの価値向上のために、共用部分を改善する際に意識したい3つのポイントを紹介します。
1. 入居者ニーズを徹底的に分析する
共用部分の改善で物件の価値向上を図るなら、最初に入居者ニーズを徹底的に分析しましょう。
物件に求められる設備やその優先順位は、エリア特性や入居者層によって大きく異なります。地域の賃貸市場をしっかり理解し、入居者ニーズを踏まえた上で共用部分を整備すれば、他の物件との差別化ができます。
入居者ニーズを調査する際は、総務省統計局が運営する「jSTAT MAP」を活用してみてください(※)。jSTAT MAPでは、該当エリアに住む人の年齢層や世帯などを調査できます。
専門的な視点でニーズを分析したい場合は、不動産会社や管理会社に相談してみるのもおすすめです。
※参考:公益社団法人 全国賃貸住宅経営者協会連合会.「「jSTAT MAP」を活用した誰でもできる賃貸需要の分析方法」.(参照2026-02-21)
2. サービス面での価値向上も視野に入れる
物件の価値をさらに高めるなら、入居者向けのサービスを展開して差別化を図ると良いでしょう。例えば以下のようなサービスを導入すると入居率の向上が期待でき、安定した賃貸経営につながりやすくなります。
● 住宅設備のトラブルに関する24時間対応窓口
● 宅配物の一時預かり
● 備品の貸し出しサービス(掃除機・シュレッダー・空気入れなど)
● カーシェア・自転車シェアサービス
● 託児所サービス
● ワークスペース・フィットネスジムの導入
24時間対応の窓口を設置すると、夜間に設備トラブルが発生したときに迅速な対応が可能になります。備品の貸し出しサービスは、比較的コストをかけずに導入しやすいサービスです。
共用部分の価値向上を図ると同時に、このようなサービスの充実にも取り組むと、さらに物件の魅力が高まります。
3. 賃貸経営のプロに相談する
共用部分で物件の価値向上を図るなら、賃貸経営のプロに相談すると良いでしょう。日頃から多くの物件を扱っている管理会社は、地域の賃貸ニーズに基づいて共用部分の改善アイデアを出してくれるため、施策の導入効果をより実感しやすくなります。
また共用部分の清掃サービスを提供している管理会社に依頼すれば、建物の美観を維持でき、物件の価値向上につながる点もメリットです。
さらに、物件管理には家賃回収や口座管理、建物巡回など多くの業務が発生します。これらの業務を管理会社に委託すれば、賃貸経営にかかる時間と労力を削減できるでしょう。
【まとめ】共用部分にこだわって賃貸マンションの価値向上を図ろう
マンションの共用部分は、入居希望者が物件を訪れた際に最初に目にする場所です。エントランスの見栄えはもちろん、宅配ボックスやごみボックスの設置、セキュリティ設備を充実させることで、物件の魅力を高められます。まずは現状の共用部分を客観的に見つめ直し、入居者ニーズに合わせて具体策を検討しましょう。
賃貸マンションの共用部分の管理にお悩みなら、ポラスの賃貸経営パートナーズにご相談ください。
ポラスの賃貸経営パートナーズでは、物件規模やオーナーさまのご要望に合わせた清掃サービスを展開しています。実際に、共用部分のイメージアップを図ったことで反響数増加や空室撲滅につながった事例もあります。物件の競争力を高め、安定した経営につなげたいオーナーさまは、ぜひ一度ご相談ください。
監修
(株)中央ビル管理 取締役 江本 昌央氏
所属/(株)中央ビル管理取締役 業務管理部部長
保有資格/ 宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
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