賃貸物件でも固定資産税はかかる? 土地・建物ごとの固定資産税の計算方法や軽減措置を詳しく解説
相続・不動産投資
2026.08.19
更新日 2026.08.20
これからアパート経営やマンション経営を始める方の中には「賃貸物件でも固定資産税は発生するのか?」という疑問を持っている方も多いでしょう。
固定資産税は不動産の所有者に対して毎年課せられるものであり、税額によっては不動産経営において大きな負担になります。あらかじめ賃貸物件の固定資産税について正しい知識を持ち、税負担のリスク対策を講じておきましょう。
本記事では、固定資産税の基礎知識や固定資産税の計算方法、軽減措置の仕組みをまとめました。
目次
賃貸物件に固定資産税はかかる? 基礎知識をチェック
結論から先にいうと、賃貸物件であっても固定資産税は発生します。そもそも固定資産税とは、土地や家屋、事業用の運搬具や備品などの償却資産といった固定資産に対して課税される税金のことです。
毎年1月1日 時点における固定資産の所有者は、その資産の用途にかかわらず固定資産税を納税する義務があります(※)。
※ 参考:総務省.「固定資産税」. ,(参照 2026-04-23).
固定資産税額を調べる方法と支払うタイミング
固定資産税の納税額は、市区町村役場から所有者の現住所宛に送付される「固定資産税納税通知書」に記載されています。
納税通知書の送付時期は自治体によって異なり、4〜5月 ごろに届くのが一般的ですが、中には東京23区のように6月 に送付するところもあるようです。固定資産税を納税する時期も自治体によってまちまちですが、年4回 で分納するのが基本です。
例えば、東京23区の場合は6月、9月、12月、2月 に、各納付期限までに納めるルールになっています。納付期限は前述した固定資産税納税通知書に記載されているため、期限までに忘れずに納めるようにしましょう。
固定資産税の納税方法
固定資産税の納税方法は自治体によって異なりますが、代表的な例として以下のようなものがあります。
● 納付書を使用した現金払い
● 口座振替
● ペイジー
● クレジットカード払い
● スマートフォン決済
● 電子マネー決済
納税忘れを防ぎたいのなら口座振替がおすすめです。あらかじめ振替用の口座を指定しておけば自動で納税できるため、わざわざ役場の窓口やコンビニなどに出向く必要はありません。
またスマートフォン決済や電子マネー決済の中には、ポイントが付与されるものもあるため、実質的な負担を抑えられる場合があります。クレジットカード払いもポイントは付与されますが、別途決済手数料が発生するケースが多いようです。
ただし、スマートフォン決済や電子マネー決済でも、条件によっては手数料が発生する場合があるため、個別に確認することをおすすめします。
都市計画税との違い
都市計画税とは、都市計画法に基づいて実施する都市計画事業や、土地区画整理法に基づく土地区画整理事業に要する費用を確保するために設けられた目的税のことです(※)。
地域に関係なく課税される固定資産税とは異なり、都市計画税は都市計画区域を有する市区町村が、原則として市街化区域内に土地・建物を所有する人に対して課税するところが特徴です。
都市計画税は固定資産税とまとめて納付するため、一般的に固定資産税・都市計画税納税通知書という形で通知されます。所有する土地・建物に都市計画税が課税されているかどうかは通知書をチェックすれば確認できるでしょう。
※ 参考:総務省.「都市計画税」. ,(参照 2026-04-23).
固定資産税の計算方法
固定資産税は納税通知書で確認できますが「運用予定の賃貸物件にどのくらいの税金がかかるか知りたい」という場合は、以下の計算式を用いることであらかじめ納税額をチェックできます(※)。
固定資産税 = 課税標準額 × 税率(原則1.4 %)
課税標準額とは、固定資産税の計算に用いられる固定資産税評価額に、各種特例や調整などを加えて算出するものです。基本的には「固定資産税評価額」と同じ金額になりますが、後述する住宅用地の特例などが適用される場合は、評価額よりも低い金額(課税標準額)をベースに計算することになります。
一方の税率は、ほとんどの自治体では標準税率である1.4%を採用しています。ただし、市町村は必要に応じて異なる税率を条例で定められるため、一概に1.4%とはいえません。
本記事では標準税率を適用して計算しますが、実際に計算する際は、念のため賃貸物件のある各自治体のWebサイトなどをチェックし、税率を確認しておきましょう。
※ 参考:総務省.「固定資産税」.,(参照 2026-04-23).
固定資産税評価額の調べ方
固定資産税評価額とは固定資産税の課税の基準となる土地・建物の評価額のことです。固定資産税評価額は、以下5つの方法で確認できます。
1. 固定資産税の課税明細書をチェックする
2. 役場で固定資産課税台帳を閲覧する
3. 役場で固定資産評価証明書を取得する
4. 役場で縦覧制度を利用する
5. 路線価や建築費などを基に、自分で目安を計算する
手軽な方法は1、ついで2とですが、1〜3の方法は固定資産の所有者やその関係者でなければ取得・閲覧ができません。また「これから取得する賃貸物件の固定資産税評価額が知りたい」という場合も、現在の所有者から委任状をもらうなどの条件を満たせば、2や3の方法を利用することが可能です。
4の縦覧制度とは、固定資産税納税者が、縦覧帳簿を用いて自身の所有する土地・家屋の価格が適正であるかどうか他の土地・家屋と比較できる制度のことです。この制度を利用すれば他人が所有する土地や建物の評価額を確認できますが、制度利用者が固定資産税納税者であることが前提である上、同一区内の固定資産の価額しか閲覧できないという制限があります。
また所有する固定資産が土地のみだった場合、同一区内の土地の価額しか調べることはできません。縦覧帳簿には所有者の氏名や住所が記載されないため、購入予定の特定の物件の評価額を調べる手段としては適していないといえるでしょう。ご自身で目安を知りたい場合は、5の方法を採用して計算する必要があります。
ここからは計算式を用いて土地・建物ごとに固定資産税を計算する方法を説明します。
土地の課税標準額の求め方
土地の課税標準額を求めるには、まず固定資産税評価額を計算する必要があります。
土地の固定資産税評価額の求め方
固定資産税評価額を計算する方法は複数ありますが、宅地の場合は路線価方式か標準地比準方式のいずれかによって計算します。ただし、標準地比準方式は、市街地的形態を形成するに至らない地域に適用する方法であるため、ここでは市街地的形態を形成する地域における評価方法の路線価方式を用いた計算方法を説明します。
路線価方式とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1m²当たりの価額 = 路線価が定められている地域を評価する方法です。具体的な計算方法は以下の通りです(※1)。
土地の固定資産税評価額 = 路線価 × 奥行価格補正率 × 面積
路線価は国税庁が運営している路線価図・評価倍率表というサイトで調べられます。基本的な流れは以下の通りです。
1. 地図から該当の都道府県を選択
2. 路線価図を選択
3. 該当の市区町村を選択
4. 地名ごとの路線価図ページ番号を選択
上記の通りに進めていくと路線価図ページが表示されるため、賃貸物件のある場所の路線価をチェックしてみましょう。路線価は1m²当たりの価額を千円単位 で表しています(※2)。例えば、200Cとある場合の路線価は20万円です。なお、AやCといったアルファベットは借地権割合を示していますが、固定資産税の計算には必要ありません。
路線価が分かったら、奥行価格補正率を調べます。奥行価格補正率とは、その土地の地区区分や奥行距離に応じて定められたもので、国税庁のWebサイトなどで公開されています。例えば、普通住宅地にある賃貸物件で、道路から土地の奥までの距離が10mだった場合、奥行価格補正率は1.00 です(※3)。
以上の点を踏まえ、路線価18万円、面積250m²、奥行補正率1.00の土地の固定資産税評価額を計算してみると以下のようになります。
18万円 × 1.00 × 250m² = 4,500万円
※1 参考:国税庁.「路線価方式と倍率方式」.,(参照 2026-04-23).
※2 参考:国税庁.「財産評価基準書路線価図・評価倍率表 路線価図の説明」. ,(参照 2026-04-23).
※3 参考:国税庁.「奥行価格補正率表(昭45直資3-13・平3課評2-4外・平18課評2-27外・平29課評2-46外改正)」.,(参照 2026-04-23).
土地の課税標準額の求め方
土地の固定資産税評価額を計算したら、住宅用地の特例措置や負担調整措置などを踏まえた上で課税標準額を求めます。
住宅用地の特例措置
住宅用地の特例措置とは、住宅用地の区分に応じて固定資産税評価額が減免される措置のことです。特例措置の内容は区分ごとに以下のように定められています(※)。
【小規模住宅用地】
住宅用地で住宅1戸につき200m²までの部分:固定資産税評価額 × 1/6
【一般住宅用地】
小規模住宅用地以外の住宅用地:固定資産税評価額 × 1/3
ここでいう住宅の戸数は原則1棟1戸ですが、賃貸住宅のように居住のために独立的に区画された部分が複数ある場合は、200m²にその数を乗じて計算します。
例えば、全戸数が10戸の賃貸アパートの場合、10戸 × 200m² = 2,000m²まで小規模住宅用地の特例が適用されます。
また小規模住宅用地と一般住宅用地の特例措置は併用可能です。住宅1戸につき200m²を超える部分までは小規模住宅用地の特例措置が適用され、200m²を超える部分からは一般住宅用地の特例措置が適用されます。
一例として、賃貸物件の固定資産税評価額が4,500万円で小規模住宅用地の特例措置のみが適用された場合は、課税標準額は4,500万円 × 1/6 = 750万円です。
※ 参考:e-Gov法令検索.「地方税法」.,(参照 2026-04-23)
負担調整措置
負担調整措置とは、評価替えによる税額の急激な上昇を抑えるために設けられた措置のことです。今年度の評価額に対する前年度の課税標準額の割合(負担水準)がどのくらいまで達しているかによって、今年度の課税標準額の計算方法が変化する場合があります。
調整措置の具体的な内容や計算方法は自治体ごとに異なり、地価の上昇による急な大増税を防ぐための調整が行われます(※)。
負担調整措置については各自治体のWebサイトなどに掲載されているため、条件に該当する場合は確認が必要です。
※ 参考:東京都主税局.「固定資産税(土地)の負担調整制度」. ,(参照 2026-04-23).
土地の固定資産税の計算例
ここまで説明してきた計算方法を基に、土地の固定資産税の計算をシミュレーションしてみましょう。例えば、固定資産税評価額が4,500万円で、小規模住宅用地の特例措置が適用される場合(負担調整措置は除く)の固定資産税額は以下のようになります。
課税標準額 = 4,500万円 × 1/6 = 750万円
固定資産税 = 750万円 × 1.4% = 10万5,000円
建物の課税標準額および固定資産税の求め方
2026年4月時点において、建物には課税標準額に影響を及ぼす軽減措置や特例は設けられていません。そのため、基本的には課税標準額 = 固定資産税評価額となります。
建物の固定資産税評価額は、一般的に再建築価格方式によって求められます。再建築価格方式とは、評価時点において、その建物と同一のものを同じ場所に新築する場合に必要とされる建築費(再建築価格)を用いて建物を評価する方法です。
ただし、再建築価格を求めるには専門的な知識が必要なため、一般的にはその建物の建築費の5〜7割 を固定資産税評価額の目安にして計算します。
一例として、国税庁がまとめた地域別・構造別の1m²当たりの工事費用表を基に、東京で延べ床面積200m²の木造アパートを建築した場合の想定建築費(建築費の60%)と、固定資産税評価額を計算してみました。
23万円 (※)(1m²当たりの工事費) × 200m² = 4,600万円(想定建築費)
4,600万円 × 60% = 2,760万円(固定資産税評価額の概算)
この固定資産税評価額に固定資産税の標準税率を乗じれば、固定資産税を計算できます。
2,760万円 × 1.4% = 38万6,400円
※ 参考:国税庁.「地域別・構造別の工事費用表(1m2当たり)【令和7年分用】」. ,(参照2026-04-23).
新築住宅に係る固定資産税の減額措置
取得する賃貸物件が新築マンションなどの場合、新築住宅に係る固定資産税の減額措置の対象となる可能性があります。特例が適用された場合、新築から一定期間(アパートなどの一般住宅は3年間、マンションなどの中高層耐火住宅は5年間)、固定資産税(建物分)が1/2に減額されるため、大幅な節税となります(※)。
ただし、適用を受けるには以下の要件を満たしていなければなりません。
● 床面積が40m²以上240m²以下 であること
● アパートやマンションなどの賃貸用共同住宅であること(戸数の判定基準あり)
なお、長期優良住宅認定を受けた新築マンション等の物件の場合は、適用期間が7年 に延びます。例えば減額措置が適用される前が38万6,400円だった場合、適用後は38万6,400円 × 50%(1/2) = 19万3,200円へ減免されます。
5年間適用された場合は96万6,000円、7年間の場合は135万2,400円もの減免となるため、かなり大きな節税効果といえるでしょう。
※ 参考:国税庁.「認定長期優良住宅に対する税の特例(所得税、登録免許税、不動産取得税、固定資産税)」. ,(参照 2026-04-23)
都市計画税の計算方法
都市計画税の計算方法は固定資産税と同じく、課税標準額に所定の税率を乗じて計算します。
都市計画税は自治体の条例に基づいた税金であるため、税率は各自治体が任意で決定できますが、地方税法では0.3% を超えてはならないと定めています(※1)。よって、ほとんどの自治体では上限である0.3%に設定していますが、一部地域では0.2%に設定しているところもあるため要注意です。
例えば同じ東京でも、23区は0.3% ですが、多摩市は0.2% に設定されています。課税標準額によってはわずか0.1%でも見逃せない税額になる可能性があるため、不動産の所在地である自治体のWebサイトなどであらかじめ適用される税率を確認しておきましょう。
なお、都市計画税にも住宅用地の特例措置は適用されます。東京都の住宅用地の特例措置の例は以下の通りです(※2)。
【小規模住宅用地】
住宅用地で住宅1戸につき200m²までの部分:固定資産税評価額 × 1/3
【一般住宅用地】
小規模住宅用地以外の住宅用地:固定資産税評価額 × 2/3
自治体によっては、特例の扱いが異なる場合もあるため個別に確認しましょう。
※1参考:e-Gov法令検索.「地方税法」. ,(参照2026-04-23)
※2参考:東京都.「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」. ,(参照2026-05-28)
更地での保有は固定資産税が高くなるため注意!
すでに所有している土地に賃貸物件を建てることを検討されている場合、更地に課せられる固定資産税に注意が必要です。
前述した土地の固定資産税の軽減措置は、住宅用地として活用されている場合に適用されるものです。更地の場合は軽減措置の適用対象外となるため、住宅用地に比べて固定資産税の負担が大きくなります。
固定資産税の負担を軽減したい場合、更地に賃貸物件を建てて運用するなど、特例の適用要件を満たす活用方法を検討することは一つの手段となります。
賃貸物件なら間接的に固定資産税を節税できる
賃貸物件の場合、固定資産税を含めて適正な家賃を検討することで、間接的に固定資産税の負担を軽減できる場合があります。ただし、家賃を周辺相場よりも高く設定すると入居者が集まりにくくなり、空室リスクが高くなる恐れがあります。
そのため、賃貸経営する場合は固定資産税も踏まえつつ、立地や建物の状態、設備などから総合的に判断して家賃を決めることが大切です。「適切な家賃の設定方法が分からない」という場合は不動産のプロに相談してみるとよいでしょう。
【まとめ】賃貸物件にも固定資産税は必要! どのくらいかかるか把握しておこう
固定資産税はその用途にかかわらず、毎年1月1日時点でその資産を持っている人に課せられる税金であるため、賃貸物件でも納税が必要です。なお、土地の場合は住宅用地の特例措置、新築物件の場合は新築住宅に係る固定資産税の減額措置をそれぞれ適用することで固定資産税を減免できます。
ただし、これらの特例は住宅用地や建物そのものが適用要件となっているため、更地のままでは軽減措置を受けられません。もし更地に賃貸物件を建築する予定があるのなら、早めに有効活用した方が節税になるでしょう。
株式会社中央ビル管理では、賃貸物件の仲介・管理・リフォームなどさまざまなサービスを提供しています。賃貸管理業務では管理戸数2万5,000戸以上、賃貸仲介契約数4,570件 以上の実績があり、豊富な知識とノウハウを駆使して土地・建物の有効活用をサポートいたします。
賃貸物件の購入や運用をお考えの方は、ぜひ株式会社中央ビル管理までお気軽にご相談ください。
関連記事