家を売るか貸すか悩んだときの判断基準は?それぞれのメリット・デメリットや、シミュレーションなどを紹介
賃貸経営
2025.11.13
更新日 2025.11.17
持ち家を売りに出すか貸すかで悩んでいるとき、後悔しない選択をするためには、いくつかのポイントを知っておくことが大切です。本記事では、家を売るか貸すかで迷ったときの判断基準やそれぞれのメリット・デメリット、収益シミュレーションなどをご紹介します。
転勤や相続などの事情で住まない家ができたとき、売却するか賃貸にするかで迷う人は多いのではないでしょうか。家は大切な資産だからこそ、一長一短を把握した上で慎重に決めることが大切です。
本記事では、家を売るか貸すかの判断基準を中心に、適切な選び方を分かりやすく解説します。それぞれのメリットやデメリット、収益シミュレーションなどの情報もご紹介するため、迷ったときの参考にしてみてください。
目次
家を売るか貸すかの判断基準
家を売るか貸すかの判断基準は個人の状況によって異なりますが、以下の5つを目安にするのがおすすめです。
● 今後住む可能性
● 住宅ローンの残債
● 築年数とリフォームの有無
● 立地と将来性
● 管理の手間とコスト
それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。
1. 今後住む可能性
家を売るか貸すか迷ったときの判断基準となるのが、今後住む可能性です。住む予定がないなら売却を、少しでも住む可能性があるなら賃貸を検討しましょう。
例えば、既に持ち家がある状態で実家を相続し、誰も住む予定の人がいない場合などは売却がおすすめです。
一方、子どもが大きくなったら譲りたい、定年後に故郷に帰りたいなどと考えている場合は、賃貸にして残しておくとよいかもしれません。また転勤や家庭の事情で一時的に住まなくなる場合も、売却ではなく、賃貸が向いています。
2. 住宅ローンの残債
住宅ローンの残債も、重要な判断材料の1つです。
大前提として、住宅ローンは居住する家に対する融資であるため、残債がある状況では貸し出しできないというルールがあります。
ただし、転勤や親の介護などやむを得ない事情がある場合は別です。金融機関に申請して許可を取れば、住宅ローンが残ったまま貸し出しできるケースもあります。許可が下りない場合も、住宅ローンから不動産投資ローンに切り替えることで、貸し出しが可能になります。
しかし、金利が低く設定されている住宅ローンと比べると、不動産投資ローンは金利が高い傾向です。返済額の増加が負担となる場合は、売却する方がよいでしょう。
いずれにしても、住宅ローンの残債がある状態で家の売却や賃貸を検討するなら、金融機関への相談が必須です。
3. 築年数とリフォームの有無
家の築年数や劣化状況によっては、売るか貸すかを選べない場合もあります。
築年数が古い家や老朽化が目立つ家は、賃貸に出しても借主が見つかりにくいのが現状です。空き家のまま長期間放置される可能性があり、その間に維持費が発生することを考えると、早めに売り出す方がよいでしょう。
また古い家を賃貸に出すときは、リフォームが欠かせません。劣化が激しい家はリフォームが必要な箇所が多く、莫大な費用が発生することもあります。リフォームにかかる費用と毎月入ってくる家賃収入を比較し、現実的でない場合は売却するのがおすすめです。
一方、築年数が浅い家の場合は借主が見つかりやすく、好条件で貸し出せる可能性があります。手入れが行き届いた状態であれば、クリーニングのみ、もしくは少しリフォームするだけで貸し出すことが可能です。
ただし、一般的には築年数が浅い家ほど高く売れる傾向があります。賃貸に出している間に不動産価値が下がることや、借主の使い方が悪く劣化するリスクを考えると、一概に貸し出しがおすすめとはいえません。新しい家の場合は、資産価値が高いうちに売却することも検討しましょう。
4. 立地と将来性
家の立地条件や将来性も、売るか貸すかの選択に大きな影響を与えます。都市部にあり、利便性や周辺環境に恵まれている場所に建っている家であれば、賃貸にすれば高い需要が見込めるでしょう。借主が見つかりやすく、長期的かつ継続的な賃貸収入が見込めます。
反対に、過疎化が進む地域や利便性が悪い地域など、立地条件が劣る物件は賃貸にしても需要が低いです。借主がいなければ賃貸経営が成り立たないため、価値が下がる前に手放す方が賢明でしょう。
なお、今は立地条件が悪くても、再開発計画や交通インフラ整備などが予定されている地域は価値の上昇が見込めます。地域の情報収集をしながら、将来性も併せて検討しましょう。
5. 管理の手間とコスト
家を貸し出す場合に発生するのが、家賃の集金や設備修繕、トラブル対応などの賃貸業務です。さらに入居者の募集や契約などの業務もあるため、仕事や家庭で忙しく、手間をかけられない人には向いていません。管理会社に全てを委託する選択肢もありますが、その際は毎月の委託料が発生します。
また家を賃貸に出した場合、経年劣化による修繕・設備交換の費用は貸主が負担するのが基本です。退去時にはクリーニング費用が発生することも考慮すると、管理コストが大き過ぎて採算が合わないケースも出てきます。
家を売る場合のメリットとデメリット
家を売るべきか貸すべきか悩んでいるなら、それぞれのメリットとデメリットを比較して総合的に判断するのも1つの方法です。
まずは、家を売る場合に考えられるメリットとデメリットを紹介します。
メリット1. 一括でまとまった現金が手に入る
家を売る大きなメリットの1つが、まとまった現金が一括で手に入ることです。
新居の購入や家具・家電の購入、引っ越し代に充てられるのはもちろん、教育費、相続税の納付など、大きな出費があるときにも対応しやすくなります。
メリット2. 管理の手間やコストから解放される
家を売却した後に、管理の必要がないこともメリットです。
家を売ると、掃除や修繕にかかる手間や維持費がかからなくなり、時間的にも経済的にも余裕が生まれます。住む予定のない実家を売却した場合は、空き家問題から解放されることで精神的な負担も軽減できるでしょう。
メリット3. 売却益を得られる可能性がある
家を売却する場合、売却益を得られる可能性があります。
住宅ローンが残っているのであれば、売却代金の返済に充てることも可能です。ローンの残債よりも売却金額の方が高くなり、売却益を得られる可能性もあるでしょう。
デメリット1. 持ち家を手放す場合は心理的な負担が生まれる
続いて、持ち家を手放す場合のデメリットを紹介します。1つ目は、心理的な負担が生まれる可能性がある点です。
家を売ると、資産を失ったという感覚を持つ人がいます。特につい最近まで住んでいた家の場合は、他人の手に渡ることに対して、強い喪失感や抵抗感を持つ可能性があるでしょう。
また持ち家を売却して賃貸住宅で暮らすのであれば、家賃を払い続けることに対して心理的な負担を感じる場合もあるかもしれません。
デメリット2. 住宅ローンの返済が必須になる
住宅ローンの残債がある場合は、返済のための資金と手続きが必要になることもデメリットです。ローンの残債よりも売却金額が低いと、返済のための資金を準備する必要があるので、売却のハードルが高くなります。
家を貸す場合のメリットとデメリット
家を売るときはもちろん、家を貸すときにもメリットとデメリットがあります。以下で詳しくご紹介します。
メリット1. 家の所有権を失わずに済む
家を賃貸に出すメリットの1つが、所有権を持ったまま家賃収入を得られることです。家を売却した際に懸念される心理的負担を回避できるだけではなく、将来住める家を残すことで安心感も生まれるでしょう。
メリット2. 家賃収入を得られる
家を賃貸に出す場合は、家賃収入を得られます。入居者がいる間は安定した収入が見込まれ、生活費の補填や老後の貯蓄に生かせます。事業や投資と異なり、収益の見通しが立てやすい点もメリットです。
メリット3. 借主が住むことで建物を維持できる
借主が住むことで、家の状態を維持しやすくなる点もメリットです。
人が住まなくなった家は傷みやすいため、空き家になった場合は定期的な換気や通水、掃除が必要です。入居者がいれば自然に空き家の管理ができ、建物の資産価値が下落するのを防げます。
デメリット1. 管理コストがかかる
続いて、家を貸すデメリットを紹介します。大きなデメリットとなるのが、管理コストがかかる点です。
修繕費や固定資産税、業者に管理をお願いしている場合は管理委託料がかかります。場合によっては、賃貸収入があったとしても、出費が多過ぎて予想以上に収益が少ないと感じるかもしれません。
デメリット2. 入居者が見つからない場合がある
入居者が見つからない場合がある点も、デメリットの1つに挙げられます。
管理コストをかけても、借主が見つからなければ家賃収入はゼロです。賃貸需要が低い地域や築年数が古い家では、空き家の状態が長く続き、赤字になるリスクもあります。
デメリット3. 好きなタイミングで戻れない可能性がある
家を人に貸した場合、好きなタイミングで戻れない可能性があります。
一般的な不動産の貸し出しには「普通借家契約」が用いられるケースが多く、貸主からの一方的な都合で借主を退去させることはできません。例えば、転勤が終わってまた住みたいときや、途中で売却したくなったときなども、借主が拒否すれば家を空けてもらえず、トラブルに発展するかもしれません。
このようなトラブルは、契約期間があらかじめ決められている「定期借家契約」を結ぶことで回避が可能です。ただし、短期間の入居者募集は借主が見つかりにくくなる点も留意しておきましょう。
家を売った方が良い場合
判断基準やメリット・デメリットを踏まえた上で、家を売った方が良いのは、以下のようなケースです。それぞれの理由を詳しく解説します。
● 該当物件に今後住む予定がない
● まとまった現金が欲しい
● 維持管理の手間とコストをかけたくない
1. 該当物件に今後住む予定がない
売るか貸すかで迷っている物件に今後住む予定がないときは、売却をおすすめします。築年数が経過するにつれて価値が下がるため、できるだけ早い売却を検討しましょう。
思い入れのある家を手放すのに抵抗がある場合は「売却した資金を今後の人生に生かせる」と前向きに捉えてみると、気持ちを切り替えられるかもしれません。
2. まとまった資金が欲しい
家を売却すれば、多額の現金が一度に手に入ります。子どもの教育費や新規事業、投資などでまとまった資金が必要な人には、売却がおすすめです。
家の売却で得た資金を住宅ローンの返済に充てたり、新しい住居の買い替え費用に活用したりすることもできます。
なお、売却を検討する家の住宅ローンが残っている場合は、残債額をチェックしておきましょう。売却金額に対して、残債額が高いか低いかを見て、その後の対応を決めるのがおすすめです。残債額は、金融機関が発行する返済予定表や残高証明書、金融機関のWebサイトで確認できます。
3. 維持管理の手間とコストをかけたくない
先述の通り、家を貸し出す場合はさまざまな賃貸業務や管理コストが発生します。たとえ賃貸に出したとしても、維持管理費や管理会社への委託料などを差し引けば、毎月得られる収入は思ったよりも少ないこともあります。
また家を賃貸に出さずに放置している間も、固定資産税や維持管理費が発生します。家が遠方にある場合は、庭木の手入れや草むしりなどの管理を造園会社に委託することもあるでしょう。
家を売却すると、これらの手間や出費が一切なくなります。時間的・経済的に維持管理する余裕がない人や、手間をかけたくない人は、売却を優先に検討するのがおすすめです。
家を貸した方が良い場合
個人の状況や心情によっては、家を売らない方が良いケースもあります。具体的には、以下のケースに当てはまるときは、家を売るのではなく、貸した方がよいでしょう。
● 該当物件に将来住む予定がある
● 立地条件が良く賃貸需要が高い
● 愛着のある家を手放したくない
それぞれの理由と併せて説明します。
ケース1. 該当物件に将来住む可能性がある
将来その家に住む可能性がある場合は、賃貸に出す方が適しています。例えば転勤が決まったものの、戻れるかどうか分からない、もしくは戻る時期が確定していないケースでは、売却を避けることをおすすめします。
家を親や親族から相続した場合も同様です。老後に移り住みたい、子どもに譲りたいと考えているのであれば、それまでの期間は賃貸収入を得ながら資産を残しておきましょう。
ただし、賃貸経営は借主があってこそ成り立ちます。貸し出しを検討できるのは、賃貸需要が高い地域に限られるでしょう。そのため、需要が低い地域では借主が見つかりにくく、結果的に空き家のままになる可能性がある点に留意する必要があります。
ケース2. 立地条件が良く賃貸需要が高い
家の立地条件が良く賃貸需要が高い場合は、家を売るのではなく、貸すのがおすすめです。
一般的に、交通の便が良く生活環境が充実している地域は、不動産価値が高い傾向にあります。売却して手放すのが惜しい場合は、貸し出す方向で検討するとよいでしょう。都市部の人気エリアであれば、空き家になっても借主が見つかりやすく、安定した家賃収入が見込めます。
また賃貸需要が高い地域は将来性があり、さらなる価値上昇が期待できます。賃貸収入を得ながら値上がりするのを待ち、適切なタイミングで売却するのも1つの選択肢です。
ケース3. 愛着のある家を手放したくない
愛着のある家を手放したくない場合も、家を売るのは避け、貸し出した方がよいでしょう。
売却した家に再び住むことは、まずできません。子どもの頃に過ごした家や家族との思い出が詰まった家の場合、売った後に後悔することもあるでしょう。
家に愛着があり、経済的にも余裕があるのであれば、無理に売却することはありません。まずは賃貸に出し、収入を得ながら売り時を模索しましょう。
家を売る場合と貸す場合の収益シミュレーション
ここからは、以下の中古戸建てを例として、売却・賃貸それぞれの収益シミュレーションを行います。
● 所在地:さいたま市緑区
● 購入時の価格:4,000万円(仮定)
● 築年数:23年
● 間取り:4LDK
● 売却金額:1,980万円
【家を売る場合】収益シミュレーション例
家を売る場合の収益シミュレーション例は、以下の通りです。
● 売却金額:1,980万円
● 仲介手数料:71万9,400円
● 印紙税・諸経費:数万円(仮定)
● 収支=約1,900万円
物件の売却価格は1,980万円です。ここから仲介手数料が差し引かれます。
仲介手数料の上限額は「(売却価格 × 3% + 6万円) + 消費税(10%)」で算出します。本物件の場合は(1,980万円 × 3% + 6万円) + 10% = 71万9,400円です。なお、一般的に仲介手数料は上限額を請求されます。
この物件を1,980万円で売った場合の収支は、1,980万円 - 71万9,400円 = 1,908万円です。実際にはここから印紙税や諸経費として数万円程度が引かれるとして、約1,900万円が手元に残る計算になります。
購入金額よりも高く売った場合は、利益に対して譲渡所得税がかかります。今回のケースでは購入時よりも安く売ったため、譲渡所得税は発生しません。
【家を貸す場合】収益シミュレーション例
続いて、家を賃貸に出すときの収益をシミュレーションしてみましょう。
同じ区内で間取りや築年数が近い賃貸住宅の家賃相場は、2025年9月の時点で月に約18万円です。よって、ここでも家賃収入を月18万円と仮定し、修繕費などの支出は相場を参考にして進めていきます。
● 家賃収入:年間216万円(月18万円)
● 管理修繕費:年間36万円(月3万円)
● 火災・地震保険料:年間13万円
● 固定資産税・都市計画税:年間12万円
● 管理委託料:年間10万8,000円(家賃の5%を想定)
家賃収入216万円から想定した支出を差し引くと、年間収支は約144万円です。実際にはここから所得税や住民税が引かれるためさらに減りますが、今回は省略します。
空室期間がなく毎月家賃収入を得られたと仮定すると、その後の収益は以下の通りとなります。
● 1年目:約144万円
● 5年目:約720万円
● 10年目:約1,440万円
● 13年目:約1,872万円
● 20年目:約2,880万円
売却時の1,900万円と同じ収益を得るまでに、最短で13年~14年かかる計算です。空室期間が出る可能性も高く、築年数が経過すると家賃が下がっていくケースも多いため、実際はもう少しかかるでしょう。
15年以上貸し出すのであれば、売却時に比べて、より多くの収入を得られます。さらに、賃貸に出した後に売却することも可能です。
家を売るか貸すかで悩んだときのポイント
家を売るか貸すか迷ったときに、お金の流れが決め手になる人も多いでしょう。ここでは、悩んだときに役立つポイントをご紹介します。
1. リアルな売却と賃貸の相場を確認する
まずは現時点での具体的な相場を知っておくことが先決です。売却時の市場価格や家賃の相場を調べ、目安となる金額が見えてくれば、スムーズに方向性が決まるかもしれません。
売却や賃貸の相場は、不動産のポータルサイトで調べられます。条件が類似した物件を複数検索すれば、大まかな相場が把握できます。正確な相場を知りたいのであれば、不動産会社に査定してもらうのがおすすめです。
2. 期待できる収支をシミュレーションする
売却と賃貸それぞれの相場を確認できたら、具体的な収支を割り出しましょう。
なお、所得税や住民税については、インターネットである程度調べられます。さらに詳しく知りたいときは、最寄りの税務署に相談するとよいでしょう。
実際に割り出した収支を比較し、利益が高い方を選ぶのも1つの手段です。売却と賃貸で悩んだときの最終的な判断材料として、参考にしてみてください。
家を売るか貸すかで迷ったら、地域情報に詳しい専門家に相談しよう
持ち家を売るか貸すかは、個人の事情や物件の立地など、さまざまな判断基準を考慮した上で決めることが重要です。まずは売る場合と貸す場合のメリット・デメリットを理解し、収益シミュレーションも実践するとよいでしょう。
また家を売るにしても貸すにしても、手続きを一人で全て行う場合はかなりの時間と手間が発生します。悔いのない選択をし、スムーズに手続きを進めるためにも、地域情報に詳しい専門家に相談するのがおすすめです。
株式会社中央ビル管理は、2024年度時点で管理戸数2万5,000戸超、賃貸仲介契約数4,570件超の豊富な実績を持つ賃貸住宅専門の管理会社です。埼玉・東京・千葉エリアで「家を売るか貸すかで迷っている」「地域の特性やニーズに詳しい管理会社に相談したい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
監修
(株)中央ビル管理 取締役 江本 昌央氏
所属/(株)中央ビル管理取締役 業務管理部部長
保有資格/ 宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
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