戸建てを賃貸に出すときの手順とは?メリット・デメリットや戸建てならではの注意点も解説
賃貸経営
2025.11.18
更新日 2025.11.19
戸建てを賃貸に出すときには、マンションやアパートとは異なるニーズを把握する必要があります。そのため、管理会社を選ぶときは戸建て賃貸のノウハウを持っている所を選びましょう。本記事では戸建てを賃貸に出す手順とメリット・デメリットを解説した上で、戸建て賃貸ならではの注意事項を紹介します。
自分や家族が住む予定のない戸建て(一戸建て)を「空き家にしておくのはもったいない」と考える方は多いでしょう。転勤や家族の事情で一時的に住まなくなる場合でも、賃貸に出すことは可能です。
ただし、戸建てにはマンションやアパートなどの集合住宅とは異なるニーズがあります。借主を見つけるには、戸建て賃貸特有の注意点を押さえておくことが重要です。
本記事では、戸建てを賃貸に出す手順と貸主になるメリット・デメリットを解説します。また戸建てならではの注意事項も紹介します。戸建て住宅を賃貸物件として貸し出すかどうかでお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
戸建てを賃貸に出す手順
戸建てを賃貸に出すときは、主に以下の手順で賃貸借契約の締結まで進めていきます。
1. 不動産会社(管理会社)の選定
2. 物件のリフォームや修繕
3. 入居者の募集
4. 入居希望者の審査
5. 賃貸借契約の締結
以下で工程ごとの詳細を見ていきましょう。
1. 不動産会社(管理会社)の選定
まずは、賃貸に出す戸建ての入居者募集や物件管理を依頼する不動産会社を選びましょう。
オーナーが直接入居者を探したり、物件を管理したりすることも可能ですが、初めて賃貸に出すときは不動産会社に依頼するのがおすすめです。不動産会社に委託すれば、広範囲の人に物件を紹介してもらえるだけでなく、クレーム対応や家賃の集金なども請け負ってもらえます。
なお、一戸建てを賃貸に出すときは、アパートやマンションとは異なるトラブルや対応が発生する可能性を考慮することも大切です。そのため、不動産会社を選ぶときは、戸建て賃貸管理の実績やノウハウの有無をよく調べましょう。
また対応してもらえる業務の範囲や管理体制、担当者との信頼関係などもよくチェックする必要があります。
2. 物件のリフォームや修繕
管理を依頼する不動産会社が決まったら、必要に応じて賃貸に出す戸建てのリフォームや修繕を行います。入居者の募集と同時期に行うことも可能ですが、募集開始前に済ませておくと、入居後の生活をイメージしてもらいやすくなります。
築浅物件で設備が新しく不備がない場合でも、ハウスクリーニング、庭木や芝生の手入れなど、細やかな部分まで手を入れておくのがおすすめです。内見した人への心証が良くなり「きちんと管理されている物件」と印象付けられるでしょう。
3. 入居者の募集
物件のリフォームや修繕、ハウスクリーニングと並行して、不動産会社と相談しながら家賃や賃貸借契約の種類、入居条件を決めます。決めておく項目の具体例は、以下の通りです。
● 家賃
● 共益費
● 敷金・礼金
● 賃貸借契約の種類と契約期間
● 損害保険の加入有無
● 保証人の有無
● 入居条件(人数、ペットの飼育可否、喫煙の可否など)
家賃や入居条件の設定は、その地域の家賃相場や支出と利益のバランスを見て決めます。同じエリアの類似物件よりも家賃を高く設定すると、入居者が決まりにくくなることがあります。
家賃を低く設定すると入居者は決まりやすくなりますが、その分、利益が減ります。これらのバランスをよく考慮して設定しましょう。
賃貸借契約の種類には「普通借家契約」と「定期借家契約」の2つがあります。普通借家契約は、実質契約期間の定めのない賃貸借契約です。原則として、貸主側からは更新拒否できません。
一方、定期借家契約は契約期間の満了後に終了する契約です。1年未満の期間を定めたいときや、一時的に戸建てを賃貸に出したいときに選ばれます。
4. 入居希望者の審査
入居の申し込みが入ったら、設定した入居条件に沿って審査します。審査では、特に以下の項目に注目し、入居後に家賃の支払いが遅延したり、近隣とのトラブルが起きたりしないかを判断します。
● 家賃の支払い能力(年収・職業・資産など)
● 同居者の人数や世帯構成
● 入居希望者の年齢やペット飼育の有無、人柄
審査実施の主体となるのは一般的に不動産会社や保証会社ですが、審査にオーナー自身が加わることもあるでしょう。オーナー審査では、入居希望者とオーナーが直接面談することはなく、申込書の内容から判断します。
また入居希望者の審査を不動産会社に任せ、契約まで進めてもらう「代理契約」の選択も可能です。
5. 賃貸借契約の締結
審査に問題がなければ、入居希望者と賃貸借契約を結びます。
契約内容に齟齬がないか、契約書を入居希望者に確認してもらい、宅地建物取引士による重要事項説明を行った上で、署名捺印へと進みます。不動産会社に契約の代行を依頼していれば、契約の手続きにオーナーが立ち会う必要はありません。
賃貸借契約の締結後、初月の家賃や敷金・礼金など初期費用の支払いと鍵の受け渡しが行われ、借主が物件に入居します。
戸建てを賃貸に出すメリット
戸建てを賃貸に出す主なメリットとして、以下の4つが挙げられます。
● 家賃収入が入る
● 将来的に自分で住める
● 売却する選択肢を残せる
● 家の劣化を抑えられる
賃貸物件として貸し出すメリットは、思い出のあるマイホームや購入したばかりの戸建てを手放すのに抵抗がある場合でも、手元に残しておけることです。継続的に家賃収入が得られるため、空き家にしておくよりお得になるケースもあります。
ここでは、上記のメリットを詳しく解説します。
家賃収入が入る
戸建てを賃貸に出すメリットは、家賃収入が得られることです。
住まなくなったとしても、固定資産税やメンテナンス費用など保有しているだけでコストがかかります。賃貸物件として貸し出す場合も管理コストはかかりますが、家賃収入が入るため、支出を賄いやすくなります。
特に戸建てはマンションやアパートと比べて敷地が広い分、家賃設定を高くできるケースもあり、入居者がいる間は継続的な収入が見込める点が魅力です。
将来的に自分で住める
将来的に自分や家族が使用できることも、戸建てを賃貸に出すメリットです。
物件を売却して手放すと、将来的に家のあるエリアに住むことになったときに、別の住まいを探さなくてはなりません。その時点では住む予定がない場合であっても、賃貸物件として保有しておけば、将来の選択肢を広げられます。
特に、転勤や家族の事情など一時的な理由で家を離れるときは、もう一度自分や家族が住む可能性を考慮して決めることが重要です。
売却する選択肢を残せる
今は売却する決断をできない場合でも、将来的に物件を売る選択肢を残せることも、戸建てを賃貸に出すメリットの一つです。
「思い出のマイホームを手放す決心がつかない」「再開発が進んでいるエリアだから売り時を見極めたい」など、さまざまな事情で売却のタイミングに悩む方もいます。賃貸に出して維持管理しておけば、決断を急ぐ必要がなくなり、じっくりとライフプランについて考える時間を確保できます。
家の劣化の進行を抑えられる
賃貸に出して人に住んでもらうことで、建物や設備の劣化を抑えられるメリットもあります。
長期的に空き家のまま放置すると、換気や掃除が行われないことで、建物や設備の劣化が早まると考えられています。また空き家になって人の目が届きにくくなり、不法侵入や不法投棄などのリスクが高まることにも注意が必要です。
賃貸物件として戸建てに人が住むようになれば、定期的に換気や掃除が行われ、防犯性も高まります。オーナー自身が巡回したりメンテナンスしたりする手間も省けるでしょう。
戸建てを賃貸に出すデメリット
住まなくなった戸建てを賃貸に出すメリットは多くありますが、以下のようなデメリットもあることを押さえておきましょう。
● 空室時は家賃収入を得られない
● 物件管理の手間がかかる
● 修繕やリフォームの費用がかかる
● 確定申告が必要になる
物件を売却した場合とは異なり、不要な管理の手間や修繕費用がかかったり、家賃収入があると確定申告が必要になったりすることに注意が必要です。それぞれのデメリットを詳しく解説します。
空室時は家賃収入を得られない
物件が空室の期間は家賃収入が入らず、管理コストがかかることがデメリットです。
戸建てを賃貸に出したとしても、いつも入居者がいるとは限りません。エリアによっては戸建て賃貸の需要が低く、なかなか入居者が決まらない可能性もあります。
入居者がいない間にも、不動産会社に依頼している物件管理などの委託費用の支払いは継続する必要があります。赤字になるのを避けるため、設備を新しくしたりリフォームしたりと、入居希望者を集める工夫が必要です。
物件管理の手間がかかる
戸建てを賃貸に出すときは、入居者への対応や物件の維持管理の手間がかかることもデメリットの一つです。特に、物件が遠方ですぐに対応できないなど、物理的にオーナー自身が管理できないケースもあります。
管理の手間を省きたい場合や遠方ですぐに駆けつけられない場合でも、不動産会社に管理を依頼していれば、トラブル対応で入居者と直接やりとりする必要はありません。
対応業務の範囲によっては、貸主自身が修理対応のため設備を確認しに行ったり、業者を手配したりしなくてはいけないことがあります。物件の管理に手間をかけたくない場合は、入居者対応を全面的に任せられる不動産会社に依頼するのがおすすめです。
修繕やリフォームの費用がかかる
築年数や設備が古い戸建てでは、賃貸に出す前に修繕やリフォームのために、まとまった費用が必要になることがデメリットです。
戸建ては部屋数が多く、外壁や屋根など管理すべき範囲が広いため、マンションやアパートの一室を修繕・リフォームするより大規模な工事になり、費用も高額になるケースがあります。
費用がかかるからと古いまま貸し出すと、借り手が見つかりにくくなり、空室期間が長くなるリスクにつながります。また入居者が入った後も定期的な修繕や点検が必要です。
戸建ては、単身向けのマンションやアパートよりも入居期間が長くなりやすく、経年劣化により退去時の原状回復費用も高額になる可能性があります。
確定申告が必要になる
戸建てを賃貸に出して家賃収入を得た場合、確定申告の手間がかかるケースがあります。家賃収入は「不動産所得」に分類され、会社員が会社から受け取る「給与所得」とは別に所得税を納めなくてはいけません。
確定申告が必要になるのは、家賃収入から管理費や修繕費などの経費を差し引いた不動産所得が年間20万円を超えるときです。給与所得者の場合、給与額によっては20万円以下でも確定申告が必要なことがあります(※)。
該当する場合は、必要書類の準備や経費の取りまとめなどを行った上で、確定申告の手続きが必要です。
※参考:国税庁.「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」(参照2025-09-24)
戸建てを賃貸に出すときの注意点
戸建てを賃貸に出すときは、以下のようにアパートやマンションなどの集合住宅とは異なるポイントに注意しましょう。
● 住宅ローンを組んでいる金融機関に相談が必要になる
● コストに対する利益が見合わないことがある
● 需要の少ないエリアは空室リスクが高まる
● アパートやマンションとは異なる設備が求められる
ここでは、戸建てを貸し出す前に押さえておきたいポイントを詳しく解説します。
住宅ローンを組んでいる金融機関に相談が必要になる
賃貸に出す戸建ての住宅ローンが残っている場合は、そのままでは貸し出せません。
住宅ローンは、自分や家族が住むための住宅を購入する費用を借りることです。賃貸用物件の購入費用には当てられないため、賃貸に出す場合は不動産投資ローンに借り換えることになります。
ただし、転勤や家族の事情などの理由で一時的に賃貸に出す場合は、住宅ローンのまま借り続けられることがあります。そのため、まずは住宅ローンを組んでいる金融機関に相談しましょう。
また年末調整や確定申告で住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用を受けている場合は、賃貸に出している間は控除を受けられなくなります。再び自分で住むときに条件を満たすと、もう一度控除が適用されることもあるため、手続き方法や条件を確認しておくと良いでしょう。
コストに対する利益が見合わないことがある
戸建てを賃貸に出すためには、主に以下のようなコストがかかります。
【貸し出し前】
・リフォーム費
・設備費
・ハウスクリーニング費
・広告宣伝費
【入居中】
・損害保険料
・修繕費
・管理手数料
【退去後】
・原状回復費
特に、マンションやアパートより部屋数が多く、外壁や庭、屋根など管理する範囲が広い戸建ての場合、修繕やリフォームにかかる費用が大きくなりがちです。
空室期間が長くなったり、相場の都合で家賃設定が低かったりすると、コストを家賃収入で十分には賄えないかもしれません。
需要の少ないエリアは空室リスクが高まる
戸建て賃貸の需要が少ないエリアでは空室リスクが高まり、思うように家賃収入を得られない可能性があります。
戸建て物件の需要は、地域や立地によって需要が大きく変わることに注意が必要です。戸建て賃貸はファミリー層からのニーズが高く、学校やスーパーマーケット、公園からの距離が重視される傾向にあります。
もちろん、需要が少ないと考えられるエリアであっても、戸建て賃貸を探している人が見つかる可能性もないとは言い切れません。需要だけにとらわれるのではなく、人気設備の導入やリフォームなどの空室対策を取ることが重要です。
アパートやマンションとは異なる設備が求められる
戸建て賃貸は、アパートやマンションとは異なる設備を求められることがあります。
例えば、アパートやマンションでは、オートロックや宅配ボックスなどが人気の設備です。一方、戸建て賃貸はファミリー層が中心となって住む傾向にあるため、お風呂の追いだき機能やシステムキッチンといった暮らしをサポートする設備にも人気が集まっています。
また防犯カメラや人感センサー付きの屋外照明、TVモニター付きインターフォンなどの設備によって付加価値を高めることで、他の物件と差別化できます。
【まとめ】戸建てを賃貸に出す場合は実績豊富な不動産屋に相談するのがおすすめ
住まなくなった戸建て住宅を賃貸に出せば、家賃収入を得ながら、家の劣化を防げるメリットがあります。将来的には自分で住むことや売却も可能なため、結論を急ぎたくないときに一時的に貸し出す選択肢もあります。
戸建て住宅を賃貸物件として貸し出す場合、アパートやマンションとはニーズが異なる点に注意が必要です。求められる設備や条件が異なるため、入居者の募集や物件の管理は、戸建て賃貸管理の実績が豊富な不動産会社を選びましょう。
自分では住まない戸建て住宅を賃貸に出すか、売却するか迷っている場合も、まずは気軽に不動産会社に相談するのがおすすめです。物件によって異なるメリット・デメリットを踏まえて、今後の方針を相談できます。
株式会社中央ビル管理では、戸建て賃貸の管理や空室対策を行っています。住まなくなった戸建ての管理もサポートしているので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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(株)中央ビル管理 取締役 江本 昌央氏
所属/(株)中央ビル管理取締役 業務管理部部長
保有資格/ 宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
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