持ち家を貸すメリットとデメリットは?売却・賃貸の判断ポイントや賃貸に出す手順も解説
賃貸経営
2025.11.26
更新日 2025.11.27
持ち家を貸すと、家賃収入を得られることや将来もう一度住む選択肢を残しておけることなど多くのメリットがあります。一方で、費用に関するデメリットもあるため、判断に迷うかもしれません。本記事では、持ち家を貸すメリット・デメリットを解説し、売却・賃貸を判断するポイントと、持ち家を貸し出す手順を紹介します。
思い出の詰まった家を簡単に手放せないからといって、空き家のままにすると建物の痛み、害虫の侵入や水回りの悪臭などの問題が発生するかもしれません。
賃貸物件として持ち家を貸すことで、家の長持ちが期待できるだけではなく、家賃収入が得られるというメリットもあります。
本記事では、持ち家を貸すメリットとデメリットを解説した上で、賃貸・売却を判断するポイントと、持ち家を貸し出す手順を紹介します。持ち家の扱いに迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
持ち家を貸す5つのメリット
持ち家に住まなくなったときは、賃貸に出すか、売却するか、あるいは空き家のままするかを決める必要があります。もし判断に迷っているのであれば、まずは持ち家を貸すメリットを理解しておくことが重要です。
賃貸物件として持ち家を貸す主なメリットは、以下の5つです。
● 不動産収入が入る
● 空き家にしておくリスクが減る
● 売却の判断を先延ばしにできる
● 将来的にもう一度住める
● 維持費を一部経費にできる
まずは、上記の5つのメリットを詳しく解説します。
1. 不動産収入が入る
持ち家を貸すことで、賃料として不動産収入が得られることがメリットです。
空き家のままにしておいた場合、固定資産税や都市計画税をはじめとする維持費はかかり続けますが、収入として入ってくるお金はありません。一方で持ち家を賃貸物件として貸し出せば、入居者がいる間は継続した収入が入ります。
築年数が古い物件の場合「それほど賃料は高くないのでは?」と思われるかもしれません。しかし、たとえ金額が高くなくても不労所得として毎月一定の金額が自動的に入ってくる状況は、資産形成の面でメリットが大きいといえます。
2. 空き家にしておくリスクが減る
賃貸物件として持ち家に人が住むことで、家の劣化を抑えられることもメリットの一つです。
持ち家が空き家になり、適切な管理が行き届かない状態になると、以下のような問題が発生する可能性があります。
● 倒壊・外壁落下
● 害虫・害獣の侵入
● 悪臭
● 不法侵入
● 景観の悪化
● 草木のはみ出し
また、定期的な換気がされないことで起こるカビの発生や雨漏りによる畳の腐食、電気設備の故障による火災なども空き家のリスクです。
賃貸に出して人が住めば、基本的には入居者によって換気や掃除が行われます。そのため、上記のようなリスクは低くなるでしょう。
3. 売却の判断を先延ばしにできる
持ち家を売却するか、保有し続けるか決めきれない場合は、賃貸物件として貸し出すことで判断を先延ばしにできます。
持ち家を売却してしまうと、同じ家を買い戻すことはほとんどできません。そのため、家への思い入れが強い場合、手放したあとに後悔する可能性があります。もし売る決心がまだできないなら、まずは賃貸に出すという選択肢を検討するのも良いでしょう。賃貸物件として家賃収入を得ながら、決心が固まるまでゆっくりと考える時間を確保できます。
4. 将来的にもう一度住める
持ち家を売却せずに賃貸物件として保有していれば、将来的にもう一度住む選択肢を残しておけます。
特に、転勤や家庭の事情で一時的に住まなくなった場合などは、持ち家を手放さずに持っておくことも検討しましょう。
また、前述のように空き家のままにしておくと、カビや雨漏り、害虫などによる設備の故障や建物の腐食が進んでしまう恐れがあります。持ち家を貸すことで、メンテナンスの行き届いた状態を維持できるのもメリットです。
5. 維持費を一部経費にできる
物件の維持にかかる費用を経費にでき、住民税や所得税の負担が減るのも持ち家を貸すメリットです。
自分が住んでいるか住んでいないかにかかわらず、持ち家を保有している限りは固定資産税や都市計画税を支払う必要があります。固定資産税の額は地域や築年数、面積によって異なりますが、2,000万〜4,000万円の新築一戸建てで平均10万〜15万円が目安とされています。
持ち家を貸した場合、支払った固定資産税や都市計画税を経費にできるため、住民税や所得税の負担を軽減できることが魅力です。
持ち家を貸す6つのデメリット
ここまでに述べてきたように、持ち家を貸すことには多くのメリットがある一方で、以下のようなデメリットがあることに注意が必要です。
● 家賃収入に税金がかかる
● ローンの切り替えが必要になることがある
● 管理や修繕に費用がかかる
● 途中で解約しにくい
● 売却時に価値が下がることがある
● 入居者のトラブル対応が必要になる
ここでは、上記の6つのデメリットを一つずつ解説します。
1. 家賃収入に税金がかかる
持ち家を貸すデメリットの一つが、家賃収入に対して税金がかかることです。
会社員の場合は給与所得に対して所得税がかかりますが、家賃収入に対しても同様に税金がかかります。家賃収入から必要経費を差し引いた利益は「不動産所得」と呼ばれ、所得税が課せられます。
また、課税所得に応じて住民税額が決まるため、家賃収入によって所得合計額が上がり、住民税が増えることにも注意が必要です。
ただし、持ち家を売却したときも税金がかかります。売却で得た利益は譲渡所得と呼ばれ、所有期間に応じた税率で課税されます。
2. ローンの切り替えが必要になることがある
貸す予定の持ち家のローン返済が終わっていない場合は、ローンの切り替えが必要になることがあります。
持ち家に自分で住む場合に利用される住宅ローンは、原則として賃貸物件では使えません。住宅ローン返済中の物件を賃貸に出すと、契約違反と判断され、違約金や一括返済を求められる場合があるため注意しましょう。
住宅ローンの返済中に持ち家を貸すことになった場合は、事業用ローンへの切り替えが必要です。ただし、金融機関によっては一時的に賃貸に出す場合であれば、住宅ローンでの返済を認めてもらえるケースもあります。
いずれにしても、金融機関に黙って住宅ローンのまま賃貸に出すとリスクがあるため、まずは相談することが重要です。
3. 管理や修繕に費用がかかる
持ち家を貸すと家賃収入が得られる一方、物件の管理や修繕に費用がかかることがデメリットです。物件や入居者の管理費や設備や建物の修繕費が継続的に発生します。
持ち家を貸すメリットとして、人に住んでもらうことで必要なメンテナンスが行き渡ると解説しましたが、同時に建物や設備の汚れ・破損などのリスクがあることにも留意しましょう。
また、空室の際も入居者募集や定期的なメンテナンスなどが必要なため、家賃収入が入らない期間も管理費が発生するデメリットもあります。
4. 途中で解約しにくい
賃貸借契約を結ぶと、原則として契約期間中の解約が難しくなることも持ち家を貸すデメリットの一つです。
賃貸借契約には定期借家契約と普通借家契約があります。どちらの契約でも、原則として貸主側から退去の強制はできません。
そのため、仮に「来年から自分で住みたい」と思ったとしても、希望する時期には家が手元に戻らない可能性があります。将来的に自分や家族が住むことが決まっており、一時的に貸し出したい場合は注意しましょう。
5. 売却時に価値が下がることがある
持ち家を賃貸に出す場合、将来の売却価格に影響する可能性があります。特に、入居者が住んだまま売却する場合は「オーナーチェンジ物件」として扱われ、買い手が投資家に限定されるため、思い通りの価格で売れないことも考えられます。
ただし、空室にして売却する場合は中古住宅として扱われることもあり、必ずしも価格が下がるとは限りません。むしろ、賃貸需要が高いエリアでは、安定した家賃収入が見込める物件として評価され、価格が上がる場合もあります。
6. 入居者のトラブル対応が必要になる
持ち家を賃貸に出す際は、入居者のトラブル対応が必要になることがあります。
入居者とオーナーの間のトラブルとしては、家賃の滞納や設備の不備・故障などが挙げられます。その他、騒音やにおいなどが原因となり、近隣住民とのトラブルが発生する可能性もあるでしょう。
入居者管理を委託している場合であれば、トラブルが発生したときに、契約の範囲で管理会社が対応してくれます。しかし、入居者管理を委託していない場合は、必要に応じてオーナーが自分で現地に出向いたり、修繕の手配をしたりして対応する必要があります。
【状況別】持ち家の売却・賃貸を判断するポイント
持ち家を売却するか賃貸に出すかの判断は、ご自身の意向の他、持ち家の状況によっても左右されます。
ここでは、持ち家の売却・賃貸を判断するためのポイントを紹介します。具体的な状況を踏まえて、賃貸と売却、どちらの方がメリットが大きいかを見ていきましょう。
1. 将来的に自分や家族が住む可能性はあるか
1つ目のポイントは、将来的に自分や家族が住む可能性があるかです。
いずれ住む可能性がある場合は、売却ではなく賃貸を選び、もう一度住む選択肢を残した方が良いでしょう。
繰り返しになりますが、家を売却すると同じ物件を再び入手するのは困難です。そのため、将来的な意向がはっきりと定まっていない間は、賃貸に出しておくことをおすすめします。
2. 継続的な収入とまとまった収入のどちらを必要としているか
2つ目は、継続的な収入とまとまった収入のどちらを必要としているかです。
継続的に収入を得たい場合は、持ち家を貸し出して家賃収入を得る方法がおすすめです。ある程度のランニングコストはかかりますが、管理費や固定資産税を経費として計上し、所得税や住民税の負担を減らしながら、長期にわたって収入を得られます。
一方で、一括でまとまった金額を受け取りたい場合は、売却した方が良いでしょう。エリアや物件によりますが、賃貸に出すと家賃収入は毎月数万~数十万円ずつの受け取りになります。売却した場合は、数千万円のお金が一度に受け取れます。
3. 同タイプの物件の需要が高いかどうか
3つ目は、同タイプの物件の需要が高いかどうかです。
持ち家を貸すか売るかを判断する際は、エリア内にある同タイプの物件の需要を確認することが重要です。
例えば、同タイプの物件で賃貸の需要が高い場合は、安定した家賃収入が期待できるため、貸し出すメリットが大きくなります。一方、賃貸の需要が低く入居者の確保に苦労しそうな地域であれば、売却した方が損失は少ないかもしれません。賃貸に出すと、入居者がいない場合でも管理費が発生し、赤字になる可能性があるためです。
4. 住宅ローンが残っているか
4つ目は、住宅ローンが残っているかです。住宅ローンの返済が終わっていない持ち家を貸す場合、一般的にはローンを事業用に切り替え、家賃収入で残債を支払っていくことになります。
ローンの返済中に持ち家を売却する場合は、売却益で残債を一括で支払うことが可能です。しかし、売却益が住宅ローンの残債を下回る場合は、差額を別途用意する必要があります。
そのため、見込まれる売却益と住宅ローンの残債を比べて、賃貸にして家賃収入で返済するか、売却して一括返済するかを判断すると良いでしょう。
5. 物件の管理に手間をかけられるか
5つ目は、物件の管理に手間をかけられるかです。
賃貸に出す場合は、どうしても物件をメンテナンスする手間がかかります。一方、売却すれば管理の手間やコストが一切かかりません。そのため、遠方にお住まいで訪問が難しい方や、管理に手間をかけたくない方にとっての選択肢の一つです。
ただし、賃貸に出す場合であっても不動産管理会社に管理を依頼すれば、オーナー自身の手間を大幅に省けます。
6. 持ち家を手放すことを決断できるか
最後に、そもそも持ち家を手放す決心ができるかどうかも大切です。
住まなくなった持ち家を、賃貸にするか売却するかは、すぐに決められないこともあるでしょう。「売却して他人の手に渡るのは抵抗がある」「かといって空き家のままにするのも気になる」など、気持ちの整理がつかないケースも少なくありません。
そのような場合は、ひとまず賃貸に出して決断を保留するのも良い方法です。
賃貸に出せば、家賃収入で維持費をまかないながら、今後の方針をゆっくり検討できます。
持ち家を貸し出す手順
持ち家を貸す場合は、オーナー自身が物件や入居者を管理しても構いません。しかし、物件や入居者を管理するときには、専門的な知識が必要となるため、人によっては大きな負担を感じるかもしれません。そのため、賃貸物件として貸す場合は、管理業務を不動産管理会社に委託するのがおすすめです。
不動産管理会社に管理業務を委託して持ち家を貸し出す際は、以下の手順で進めていきましょう。
手順1:持ち家の賃料査定を不動産会社に依頼する
まずは、持ち家の賃料査定を不動産管理会社に依頼しましょう。
賃料査定では、物件を賃貸に出したときの家賃の目安を確認することが可能です。査定によって家賃収入の目安が分かり、売却と賃貸のどちらにするかを決めるときの判断材料にもなります。
ただし、家賃は実際の物件状態や時期などさまざまな要因によって変動します。インターネット上の概算査定は、実際の物件状態や周辺状況を加味していないため、査定結果はあくまで参考として考えると良いでしょう。訪問による査定を受けると、より正確な物件の賃料目安を把握できます。
手順2:管理を依頼する不動産管理会社を選定する
持ち家を貸すことを決めたら、次に物件や入居者の管理を依頼する不動産管理会社を選定します。
不動産管理会社を選ぶ際は、管理業務の範囲を把握することが重要です。依頼したい業務に対応しているかどうか、委託契約前にしっかり確認しておきましょう。
管理会社に依頼できる代表的な業務は、以下の通りです。
● 入居者募集
● 入居審査
● 賃貸借契約の締結・更新
● 家賃の集金
● クレーム対応
● 修理対応
● 退去手続き・立ち会い
● 巡回
なお、委託する範囲によって管理形態が異なり、全ての管理業務を委託する「全部委託」と、一部の業務だけを依頼する「一部委託」に分かれます。
手順3:具体的な賃料と入居条件を決定する
持ち家の管理を委託する不動産管理会社と契約したら、入居者募集に向けて具体的な賃料や入居条件を決めていきます。
物件の賃料は査定や担当者のアドバイスを基に、以下の条件を加味して設定します。
● 立地
● 駅までの距離
● 築年数
● 階数
● 間取り
● 設備
● 周辺物件の賃料
周辺の似た間取り・築年数の物件と比較し、高過ぎない賃料にしましょう。他の物件と比べて家賃が高過ぎる場合、入居者が決まりにくくなるためです。
また、相場より安いと入居者は決まりやすくなる反面、家賃収入は少なくなり、維持費を下回る可能性があります。入居者が決まりやすいのはもちろん、オーナーも納得できるようなバランスの取れた賃料を設定することが大切です。
手順4:入居者を募集して審査する
賃料と入居条件が決まったら、不動産会社を通じて入居者を募集します。基本的に内見は不動産会社が立ち会うため、オーナーの負担はありません。ただし、物件の状態によっては、設備の修理や交換、壁紙の張替えなどのリフォームや、ハウスクリーニングが必要なケースがあります。不動産管理会社と相談し、適切に対応しましょう。
入居の申し込みが入ったら、入居審査に移ります。入居審査では、主に入居希望者の支払能力や雇用形態などをチェックします。なお、入居審査を委託したい場合は、管理業務の範囲に含まれている管理会社を選びましょう。
手順5:入居希望者と賃貸借契約を結ぶ
入居審査後は、入居希望者と賃貸借契約を締結します。業務を委託している場合、契約も不動産管理会社が代行してくれるため、オーナーが契約の場に出向く必要はありません。
【まとめ】持ち家を貸すか迷うならまずは賃料査定を依頼してみよう
持ち家を貸し出せば、将来的に自分で住む選択肢や、売却の可能性を残せます。また、家賃収入を得られるため、固定資産税やメンテナンス費などを補えることも魅力の一つです。
一方で、収入が増えることで税金の負担が大きくなったり、修繕コストが発生したりするというデメリットもあります。メリットとデメリットの両方を理解した上で、持ち家を貸すかどうか判断しましょう。
持ち家を賃貸に出すか売却するか決めるときは、まず、物件の賃料と管理コストを比べることが大切です。株式会社中央ビル管理では、無料で賃料査定を行っています。東京・埼玉・千葉エリアの物件の賃料相場を知りたい方や、持ち家を貸すかどうかで迷っている方は、ぜひ一度お問い合わせください。
監修
(株)中央ビル管理 取締役 江本 昌央氏
所属/(株)中央ビル管理取締役 業務管理部部長
保有資格/ 宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
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