【オーナーさま向け】マンションの管理会社が苦情の対応をしてくれない場合の対処法を解説
賃貸経営
2026.03.10
更新日 2026.03.11
マンションの管理会社は、建物の維持や入居者からの苦情対応などを担う、日常生活の安心を支える重要な存在です。管理会社がしっかりと業務を果たせば、オーナーは安心して物件を任せられ、入居者も快適な生活を送れます。
一方で現実には「苦情への対応が遅い」「依頼しても何もしてくれない」といった不満も少なくありません。対応が後手に回ることで入居者の不信感を招き、退去や損害賠償請求、さらには悪評の拡散といった深刻なリスクへ発展する可能性があります。オーナーにとっては、安定した収益と資産価値の維持に直結する問題です。
本記事では、苦情対応が不十分な場合に生じる問題点、実際に多い苦情事例、管理会社の対応が悪いときの正しい対処法、さらに管理会社を変更する際の手順までを体系的に解説します。読み進めることで「信頼できる管理会社を選び、資産価値を守る行動」を意識できるようになるはずです。
マンションの管理会社がなかなか対応してくれずお悩みの方は、ぜひ最後まで読んで、参考にしてみてください。
目次
マンションの管理会社の苦情への対応が不十分だとどうなる?
入居者から苦情を寄せられた際にマンションの管理会社が十分な対応をしない場合、さまざまなリスクが発生する可能性があります。入居者の不満が蓄積すれば退去や損害賠償に発展する恐れがあり、オーナーの収益にも直結するでしょう。管理会社にとっても信頼関係の悪化やトラブルの長期化を招きやすく、資産価値全体に悪影響を及ぼすことになりかねません。
管理会社の対応不足が引き起こす、よくあるトラブルを4つご紹介します。
入居者の退去につながる
管理会社の対応が遅い、あるいは不十分な状態が続くと、入居者の生活満足度は遅かれ早かれ低下していきます。例えば騒音問題や共用部の不具合を放置したままでは、入居者は「ここでは安心して暮らせない」と感じることが増えるでしょう。その結果、更新を待たずに退去してしまうケースも少なくありません。
マンション経営では、退去が増えるとその分空室リスクが高まり、オーナーの賃料収入が減少します。空室が長期化すれば募集コストやリフォーム費用も必要となり、収益性が大きく損なわれるでしょう。つまり、苦情への対応不足はオーナーの経営に直結する問題と言えます。
入居者から仮住まい費用を請求される可能性がある
水漏れや排水トラブル、深刻な騒音といった被害が放置され、入居者の生活に明らかな悪影響があるような場合、管理会社の対応が問われます。対応が十分でなければ、入居者が仮住まい先の家賃や引っ越し費用を管理会社やオーナーに請求する可能性もあるでしょう。
実際に水漏れが長期間改善されず、入居者がホテルや短期賃貸で生活せざるを得なくなり、その費用の損害賠償を請求された事例も存在しています。対応が遅れれば遅れる程請求額が膨らみ、オーナーにとって大きな負担となるため注意が必要です。
入居者が公的機関に報告することがある
管理会社が動いてくれない場合、入居者が消費生活センターなどの外部機関に相談するかもしれません。これらの機関は入居者からの苦情受付を行い、場合によっては管理会社へ改善を促すよう指導することもあります。
行政や業界団体から指導を受ければ、管理会社は信頼を大きく損ないますし、オーナーにとっても法的トラブルに発展する可能性が出てきます。事態が表面化する前に誠実に対応することが、余計なリスクを避ける上で不可欠です。
※参考:独立行政法人 国民生活センター.「全国の消費生活センター等」(参照2025-08-27)
悪い評判が広がる
近年は口コミサイトやSNSが普及しており、管理会社や物件に対する評価は簡単に広まります。苦情にきちんと対応しない管理会社は、「管理がずさんだ」「対応が遅い」といったネガティブな書き込みをされやすく、地域での評判を下げてしまうのです。
評判が悪化すれば新規の入居者募集にも悪影響が出ます。内見に来た人がインターネット上の口コミを確認し、「ここはやめておこう」と判断すれば、空室リスクがさらに高まるでしょう。こうした連鎖を防ぐためにも、日常的な苦情対応は欠かせません。
マンションの管理会社への実際の苦情事例
管理会社に寄せられる苦情は、入居者の生活に直結するものが多いのが特徴です。水漏れや害虫といった緊急対応が必要な問題から、防犯や騒音など日常的な安心に関わるものまで幅広く存在します。
ここでは代表的な事例を取り上げます。対応が遅れるとどのような影響が出るかを確認していきましょう。
水道管や給排水管の劣化による水漏れ
水道管や給排水管の劣化によって水漏れが発生するケースは、管理会社への苦情の中でも特に多い事例です。水漏れは放置すれば建物の内部にまで影響し、壁や床の腐食、カビの発生など二次的な被害に発展します。
特に夜間や休日に発生した場合などは対応が後手に回りやすく、対応が遅れると入居者が生活できないほどの被害になるかもしれません。緊急性が高いため、管理会社には迅速な修繕対応と専門業者の手配が求められます。
上の階からの水漏れ
上階からの水漏れは、天井や壁にシミを作り、下階の入居者に大きな被害を与えます。水道トラブルの中でも特に原因調査に時間がかかりやすく、修繕が遅れれば家具や電化製品の破損といった二次被害につながるでしょう。
また責任の所在が上階の入居者・オーナー・管理会社のどこにあるかを明確にしないと、トラブルが長期化する恐れがあります。管理会社が迅速かつ的確に対応しなければ、先述のように被害者から損害賠償を請求されるリスクもゼロではありません。
鳩の騒音・ふん害
マンションでは、ベランダや屋上に鳩が集まることによる騒音やふん害の苦情も多く寄せられます。鳩のふんには細菌や寄生虫が含まれることがあり、放置すれば健康被害の可能性が高まります。またふんは酸性が強いため、外壁や金属部分を劣化させる原因にもなるでしょう。
このような被害を防ぐには、防鳥ネットの設置や忌避剤の利用などの対策が必要
です。管理会社が適切に対応しなければ、入居者の衛生環境や建物の資産価値に悪影響を及ぼす恐れがあります。
害虫の発生
ゴキブリやシロアリなどの害虫被害は、生活の快適さを損なうだけではなく、建物の構造にも影響を与えます。特にシロアリは木材を食害するため、苦情が出ているにもかかわらず放置する期間が長くなると、その分修繕に多額の費用がかかるでしょう。
害虫トラブルを防ぐには、定期的な清掃や消毒の実施、発生した場合の早急な駆除が欠かせません。管理会社がこうした対応を怠ると、入居者の不満が高まり、退去につながる可能性もあります。
不審者の侵入対策・防犯
オートロックの不具合や監視カメラの未設置など、セキュリティ対策が不十分な場合、不審者の侵入が発生しやすくなります。こうしたトラブルは入居者の安心感を大きく損ない、マンション全体の評価を下げる要因の一つです。
苦情が挙げられた際はもちろん、具体的な苦情が出ていなくとも、管理会社は防犯カメラの設置や定期的な設備点検を通じて安全性を高める必要があります。セキュリティが甘い状態を放置すれば、空き巣や犯罪の被害に直結し、オーナーの資産価値にも深刻なダメージを与えることになるでしょう。
清掃不備や共用部の美観低下
管理会社への苦情の中には、エントランスや廊下、ゴミ置き場といった共用部分の清掃が行き届いていないという内容も多く見られます。美観が損なわれると入居者の不満が募るだけではなく、物件全体の第一印象が悪化します。
共用部の状態は内見時に目に入りやすいため、新規入居希望者の判断にも直結するはずです。汚れや臭いが放置されていれば「管理が行き届いていないマンション」と見なされ、入居を避けられる可能性があります。
入居者同士のトラブル
マンションでは、騒音や悪臭、共用部分の使い方を巡る摩擦など、入居者同士のトラブルが発生するケースもあります。特にゴミ出しルールの違反や共用スペースの私物放置といった問題は、生活環境に直結するため住民間の感情的な対立を招きやすいです。
本来であれば苦情を受けた管理会社が間に入り、双方の意見を聞いて調整することが望ましいですが、対応してくれない場合はトラブルが長期化する恐れがあります。
マンションの管理会社の対応が悪い場合の対処法
管理会社の対応が不十分なまま放置すると、入居者の不満が高まり、オーナーの経営や資産価値にも影響します。そのため、問題が生じた際は段階的に対処することが重要です。
ここでは、マンションの管理会社の対応が悪い場合にオーナーとしてどのように対処すれば良いかを示す、具体的な対処法を紹介します。
まずは対応してほしい旨を伝える
第一の対処法となるのは、マンションの管理会社へ冷静に改善を求めることです。感情的にならず、具体的に「どのような問題があり、いつまでにどう改善してほしいのか」を明示することが大切です。電話だけではなくメールや書面で依頼内容を残しておけば、後にトラブルが長期化した場合でも証拠として活用できます。
また問題が発生した日時や状況を写真や動画で記録しておくと、管理会社に説明する際に説得力が増します。誠実に要望を伝えた上で改善されるかどうかを確認することが、次の対応につながるポイントです。
管理会社の担当者を変更してもらう
同じ管理会社でも担当者によって対応の質が異なる場合があります。連絡をしても反応が遅い、説明が不十分だと感じる場合は、担当者の変更を依頼してみましょう。オーナーとして正式に申し出れば、会社側が担当を替えてくれるケースは珍しくありません。
担当者が変わるだけで対応がスムーズになり、トラブルが早期に解決することもあります。まずは「別の担当者に引き継いでもらえないか」と相談してみると良いでしょう。
管理会社の責任範囲を確認する
苦情が改善されない原因の一つに、そもそも苦情の内容が、管理会社が対応すべき問題ではない可能性があります。例えば専有部分に関する設備の不具合はオーナーの責任となる場合が多く、管理会社には修繕義務がないこともあります。
そのため契約書を見直し、管理会社とオーナーそれぞれの役割を整理することが重要です。責任範囲を正しく把握すれば、無駄な依頼や誤解を防ぎ、円滑な解決につながります。
また、現在の契約内容から改善すべき点がないかを確認することも大切です。
第三者機関へ相談する
解決が難しい場合は、オーナーから中立的な第三者機関に相談する方法もあります。相談先にはさまざまなものがあり、先述した消費生活センターなどの他、マンションが所属している協会などへ相談するのも良いでしょう。公的機関や業界団体に相談することで、管理会社に改善を促すきっかけとなる効果も期待できます。
ここで、相談先の例を4つご紹介します。
【消費生活センター】
消費生活センターは、全国各地に設置されている公的な相談窓口です。マンションの管理会社との契約内容や料金トラブルといった生活に関わる幅広い問題について、相談員が助言や情報提供を行ってくれます。必要に応じて、より専門的な相談窓口を紹介してもらえるのも特徴です。
※参考:独立行政法人 国民生活センター.「全国の消費生活センター等」(参照2025-08-27)
【埼玉県 住まい相談プラザ】
埼玉県 住まい相談プラザは埼玉県住宅供給公社が運営する窓口で、マンション管理や修繕計画、管理組合運営などに関する相談に対応しています。弁護士やマンション管理士による専門相談日も設けられており、具体的な事例に沿った助言を受けられるのが特徴です。県内のオーナーにとって利用しやすい相談先と言えます。
※参考:埼玉県住宅供給公社.「住まい相談プラザのご案内」(参照2025-08-27)
【弁護士会の法律相談センター】
弁護士会の法律相談センターは、各地の弁護士会が運営している相談窓口で、マンション管理会社との契約トラブルや損害賠償請求といった法的な問題について相談できます。弁護士が直接対応するため、契約の解釈や法的責任の有無について具体的な助言を受けられる点が特徴です。初回は低額で相談できる制度を設けている弁護士会もあります。
※参考:弁護士会の法律相談センター.「法律相談センターについて」(参照2025-08-27).
管理会社を別の会社に変更する
何度要望を伝えても改善が見られない場合、最終手段として管理会社を変更する方法があります。新しい管理会社に切り替えれば、対応の質が改善され、入居者満足度の向上や資産価値の維持につながるでしょう。
ただし、変更には手間やコストがかかる点も理解しておかなければなりません。新会社との契約条件を精査し、管理委託費やサービス内容を比較した上で決定することが大切です。長期的に見れば、信頼できる管理会社に委託することはオーナーの安心と収益の安定に直結するため、検討する価値は十分にあります。
マンションの管理会社変更までの全手順を紹介
管理会社を変更する際は、段階を踏んで計画的に進めることが大切です。やみくもに解約するとトラブルが長期化する恐れがあるため、時系列で流れを把握し、必要な準備を整えておく必要があります。ここでは、スムーズに進めるための手順を解説します。
現在の管理会社の問題点を整理
管理会社を変更する前に、まずは現状の問題点を整理することが重要です。苦情や不満をただ感覚的に伝えるのではなく、対応が遅れた日時、修繕費用のトラブル、担当者の態度などを具体的に記録しておきましょう。
これらの事実をリスト化すれば、改善要求の根拠としても活用できます。
管理会社の選定と各社への見積もりを依頼
新しい管理会社候補を探します。知人や同業者からの紹介、インターネット検索、専門相談窓口の利用など、複数の方法で候補をリストアップするのが効果的です。
候補が見つかったら、必ず複数社に見積もりを依頼しましょう。依頼時には業務範囲や管理戸数、緊急対応体制などの条件を提示し、比較しやすい形で情報を集めると良いです。
見積もり金額と提案内容を比較検討する
集まった見積もりは、単に金額の多寡だけで判断するのではなく、サービス内容や対応力を含めて総合的に比較することが重要です。日常清掃や修繕対応、緊急時の対応体制といった基本サービスはもちろん、担当者の経験や説明の分かりやすさ、住民対応の姿勢なども大切な判断材料となります。
さらに、委託料と業務範囲のバランスが妥当かどうかも確認する必要があります。安い金額でも対応が限定的であれば、結局追加費用が発生する可能性がありますし、逆に高額でもサービスが充実していれば入居者満足度の向上につながる場合もあります。また、管理戸数や過去のトラブル解決実績など、その会社がどの程度のノウハウを持っているかも比較ポイントの一つです。
管理委託契約書の内容を確認する
候補を絞り込んだら、契約書の内容を入念に確認しましょう。特に注視すべき項目は契約期間、解約条件、業務範囲、費用の内訳です。
曖昧な表現や不明確な部分があれば、契約前に修正を依頼することが不可欠です。場合によってはマンション管理士や弁護士など専門家の助言を得て、リスクを避けながら契約を進めるのも有効です。
現在の管理会社との管理委託契約を解約する
現管理会社に解約の意思を伝えます。解約通知は書面で行うのが一般的で、契約書に記載された猶予期間を守ることが必要です。
違約金の有無や通知の期限などを事前に確認しておけば、余計なトラブルを避けられます。誠実な交渉を行い、円滑な解約につなげましょう。
新しい管理会社と管理委託契約を締結する
解約手続きと並行して、新しい管理会社との契約を結びます。契約締結時には費用や業務範囲、担当者体制などを確認し、引継ぎスケジュールを契約内容に盛り込んでおくことが大切です。
細部を曖昧にしたまま契約すると、将来的に再びトラブルが発生する可能性があります。担当者との打ち合わせを重ね、納得できる形で契約を整えることが安心につながるはずです。
新しい管理会社への管理引継ぎを行う
契約が完了したら、その後は管理業務の引継ぎです。具体的には、過去の修繕履歴、各種契約書などの資料を整理し、新しい会社に渡す必要があります。
引継ぎが不十分だと将来的に修繕や管理の対応に支障が出る可能性があります。スムーズな引継ぎのためには、チェックリストを作成して項目ごとに確認しながら進める方法が有効です。スムーズな引継ぎは、今後の管理体制の安定に直結するでしょう。
まとめ
マンションの管理会社が苦情対応を怠れば、入居者の退去や評判の悪化、さらには損害賠償を請求されるような深刻なリスクにつながります。放置すればオーナーの収益や物件としての資産価値を大きく損なう恐れがあるため、決して軽視できません。
本記事で紹介した水漏れや騒音、害虫など実際の苦情事例をしっかりと理解しておくことで、オーナーは早めに適切な対応を取れるようになります。さらに、管理会社の対応が悪い場合の具体的な対処法を把握しておけば、問題を長引かせず主体的に行動できるでしょう。
また管理会社を変更する際の流れを把握しておくことは、将来的な安心につながります。段階を踏んで手続きを進めれば、スムーズに新しい管理体制へ移行でき、入居者の満足度や物件の価値を守ることが可能です。
信頼できる管理会社を選ぶことこそが、資産価値維持の重要なカギです。管理体制に不安を感じているオーナーさまは、一度専門家に相談し、より良い管理会社を検討してみてください。
中央ビル管理では、営業エリアを拠点から車で1時間以内に駆け付けられる地域に限定し、安心できる管理体制を構築しています。入居者の苦情にしっかりと向き合う管理会社をお探しの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
監修
(株)中央ビル管理 取締役 江本 昌央氏
所属/(株)中央ビル管理取締役 業務管理部部長
保有資格/ 宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
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