賃貸管理業務の具体的な内容とは?管理形態や管理会社の役割についても解説
賃貸経営
2025.08.27
更新日 2025.08.28
賃貸経営で収益を生み出すには、管理業務の内容を正しく理解することが大切です。業務内容を理解しておかなければ、管理の質が低下して空室リスクが大きくなる可能性があります。詳しい業務内容や管理形態の違いを理解し、より良い賃貸経営につなげましょう。
賃貸物件を所有していると、入居者対応や家賃管理、設備の点検など、日常的に発生する業務に対応しなければなりません。入居者が快適に暮らせる住まいを提供し、安定した賃貸経営を行うには、管理業務の具体的な内容や管理形態を知る必要があります。
本記事では、主な賃貸業務の概要や具体的な内容、委託管理のメリット・デメリットを解説します。これから賃貸経営を始める方や現在の管理体制を見直したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
賃貸管理とは
賃貸管理とは、アパートやマンション、戸建て住宅などの賃貸物件の経営をスムーズに行うための業務です。入居者の募集や契約手続き、家賃の回収、建物設備の点検・修繕など、多岐にわたる管理業務を行います。日常的な管理業務に加え、トラブル時に迅速に対応したり、クレーム処理をしたりするのも重要な業務の一つです。
全ての管理業務をオーナーが一人で行う場合もありますが、業務の複雑さから不動産管理会社に委託するケースもあります。
賃貸管理業務の具体的な内容
賃貸管理業務は、賃貸経営を長期的に続けるために必要な業務です。徹底した管理ができなければ、クレームや退去につながる可能性があります。より多くの利益を得るには、一つひとつの業務を丁寧に進めることが大切です。
適切な管理体制を築くためにも、まずは業務内容を把握しましょう。
賃貸管理業務は、大きく分けて以下の3つです。
● 入居者募集や審査などの入居者関連業務
● 建物のメンテナンスなどに関わる管理業務
● 家賃の回収などの金銭に関わる業務
入居者募集や審査などの入居者関連業務
賃貸管理業務では、入居者募集や審査などの入居者関連業務を行います。数ある業務の中でも、物件の収益性を左右する重要な業務です。
具体的には、オーナーが賃料などの基礎的な部分を設定し、不動産会社がポータルサイトなどを通じて入居者を募集します。入居者が現れたら、オーナーは審査に通すかどうかを判断し、通ったら契約書に押印します。
入居後は、必要に応じてトラブル対応をしたり、更新時や退去時の手続きを進めたりする流れです。
建物のメンテナンスなどに関わる管理業務
入居者関連業務の他、建物のメンテナンスを実施します。
不動産は、築年数が経過するにつれて老朽化するものです。そのため、定期的に建物や設備を点検・修繕し、住民が快適に暮らせる環境を整える必要があります。
また退去時には、入居時の状態に戻す原状回復工事を実施します。原状回復工事は、清掃業者と連携しながら進める仕組みです。
さらに、共用部の掃除やごみ処理も重要な管理業務の一つです。ごみ捨てのルールを守るよう呼びかけたり、収集したごみを集積所まで運んだりします。
家賃の回収などの金銭に関わる業務
賃貸経営に関わる、金銭の管理業務も大切な業務の一つです。不動産経営では、毎月入居者から家賃や管理費などが振り込まれます。入居時は、敷金・礼金、更新時は更新料なども管理する必要があります。
これらの金銭は、経営の収益性を安定させるために確保する必要がある収入源です。万が一期日までに振り込まれなかった場合、入居者に支払うよう催促します。
賃貸管理の形態は主に2つ
賃貸管理の形態は、主に以下の2つに分けられます。
● 自主管理方式
● 委託管理方式
どちらを選ぶかによって、オーナーの業務負担や業務の範囲、収益性が大きく異なります。例えば、規模が大きいマンションを自主管理すると、いずれ業務負担が大きくなる可能性があり、管理の質が低下する可能性があります。
反対に一人で対応できるものの、委託管理方式を選ぶと管理費が大きな出費となる場合があるため注意が必要です。
適切な管理形態を選ぶには、それぞれがどのような管理体制なのか理解することが大切です。
ここからは、自主管理方式と委託管理方式についてご紹介します。
自主管理方式
自主管理方式とは、オーナーが自ら物件の管理業務を行う方式です。管理会社に業務を委託しないため、入居者の募集活動や家賃の回収・管理、建物設備の点検などを全て対応しなければなりません。物件の規模が大きいと、管理業務が手に負えなくなる可能性が高くなるのです。
委託管理方式
委託管理方式とは、不動産管理会社に管理業務を委託して物件経営を行う方式です。
委託を受けた管理会社は、共用部の掃除や設備の点検、家賃の管理など、契約書に定められた業務をオーナーや管理組合の代わりに行います。
委託管理方式は、以下の2種類に分けられます。
<全部委託>
● 全ての管理業務を委託する方式
● 経営にかかる労力や手間を削減できる
<一部委託>
● 一部の管理業務を委託する方式
● 対応可能な業務は、オーナーが行う
※参考:国土交通省.「令和5年度マンション総合調査」.”43① 管理事務の状況(その1)(参照2025-06-14)
不動産管理会社に頼らずに賃貸管理するには
「できれば不動産会社に頼らずに物件を管理したい」と考えている方も多いのではないでしょうか。
先述した通り、委託管理方式を選んでいるオーナーが全国的に多い傾向にあります。しかし、賃貸管理を効率的に進めるソフトやサービスを利用すれば、自主管理でも一定の品質を保ちながら管理業務を進められる場合もあるでしょう。
ここからは、賃貸管理をスムーズに進めるための方法を3つご紹介します。
● エクセルを活用した管理方法
● クラウドストレージサービスの利用
● 賃貸管理ソフトの活用
エクセルを活用した管理方法
コストを抑えながら賃貸物件を管理したい場合、エクセルを活用するのがおすすめです。エクセルは多くのパソコンに導入されているため、特別なソフトを購入しなくても効率的に物件情報などを管理できます。
エクセルでは、以下のようなシートを無料で作成できます。
● 物件管理シート
● 入居者情報シート
● 家賃・管理費などの金銭管理シート
● 修繕・メンテナンス管理シート
例えば、物件管理シートに物件名や所在地、築年数などを一つのシートにまとめておけば、必要な情報にすぐアクセスすることが可能です。
専用ソフトは使用感を覚えるまでに時間がかかる可能性がありますが、エクセルなら自分が管理しやすいフォーマットで作成できるため、スムーズに管理業務を始められます。
クラウドストレージサービスの利用
賃貸管理を効率的に行うには、クラウドストレージサービスの利用を検討しましょう。クラウドストレージサービスとは、インターネットを通じてデータのやり取りができるサービスのことです。
例えば、Google DriveやDropboxなどを活用すれば、物件情報や契約書類、家賃の入金記録などのデータをインターネット上に保存できます。
賃貸管理に関わるデータを紙で管理すると、欲しい情報にすぐたどり着けない可能性があります。クラウドストレージサービスを使用すれば、場所・時間問わずデータを確認できるため、急なトラブル時にもすぐに該当書類を確認可能です。
また、複数人でデータを共有・編集できるため、他の管理担当者ともすぐに連携できます。
賃貸管理ソフトの活用
賃貸管理ソフトは、物件情報や入居者データ、家賃の入金状況、契約更新の管理など、賃貸経営に必要な情報を一元的に管理できる便利なツールです。エクセルでは手間がかかる会計作業も、賃貸管理ソフトを活用すれば自動で計算してくれます。入力ミスが防止できれば、家賃の過不足や経費の計算ミスが起こりにくくなるでしょう。
また、入居時に必要な契約書類を自動生成できるソフトなら、書類作成の手間を大幅に削減できます。クラウド型のソフトであれば、外出先からでも物件情報の確認が可能です。
導入には初期費用がかかりますが、エクセルやクラウドストレージサービスにはない便利なシステムが搭載しているため、コスト以上の効果が見込めます。
管理会社に管理を委託するメリット
不動産経営に慣れていない方や本業との両立が難しい方、遠方に物件を所有している方は、管理の質を落とさないためにも委託を検討しましょう。
管理会社に管理を委託するメリットは、以下の通りです。
● 管理工数を減らせる
● 入居者満足度が向上する
● ノウハウを得られる
● 遠くの物件も管理できる
ただし、必ずしも全ての場合で委託が向いているとは限りません。物件の規模や収益状況、管理にかけられる時間などを踏まえて、委託するかどうか判断する必要があります。
適切な判断をするためにも、具体的に得られるメリットについてご紹介します。
管理工数を減らせる
委託管理を選択すると、物件の管理工数を減らせます。
賃貸管理では、入居・退去の手続きや家賃の回収、賃貸契約手続きなどを適切に進めなければなりません。自主管理の場合、それら全てを並行して進めなければならず、管理工数が多くなります。業務量が多い場合は、オーナーの負担が大きくなり、心身ともにきつくなる可能性があります。
特に副業で賃貸経営をしている場合、本業との両立が難しくなる可能性があるため注意が必要です。
委託管理なら複雑な業務を管理会社が行ってくれるため、オーナーが抱える業務量を減らせます。
入居者満足度が向上する
委託管理ならトラブルを早期に解決しやすくなるため、入居者満足の向上が期待できます。
管理を徹底していても、予期せぬときにトラブルが発生して入居者の生活に影響を及ぼす場合があります。自主管理の場合、夜間や休日にトラブルが発生すると、オーナーが現場に駆けつけて対応しなければなりません。対応に遅れると、入居者の不満や信頼低下につながる可能性があります。
しかし、24時間体制で連絡窓口を設けている管理会社に委託すれば、急なトラブルにもスムーズに対応可能です。結果として「すぐに解決してくれた」と入居者の満足度が高まり、空室リスクの軽減につながります。
ノウハウを得られる
賃貸管理に関するノウハウを得られる点も、メリットの一つです。
管理会社は数多くの賃貸管理を経験しているため、収益性の高い物件を生み出す仕組みやノウハウを豊富に持っています。
賃貸管理では、単に管理業務をこなすのではなく、空室リスクを減らしながら利益を生み出さなければなりません。知識が十分でないまま自主管理を進めると、対応の遅れや判断ミスが収益の低下につながる可能性があります。
管理会社には、不動産経営に関する法律や知識を豊富に持っている人材が在籍しているため、安定した経営を続けるための知識が自然と身に付けられるでしょう。
遠くの物件も管理できる
遠方にある物件も管理できる点は、委託管理の大きなメリットです。
管理対象の物件から離れた場所に住んでいると、日常の管理業務やトラブル時の対応がスムーズに進められない可能性があります。県外の物件を所有している場合、自宅と物件を行き来するのが大変になりがちです。
一方、委託管理なら現地対応が必要な場面でも管理会社が代行してくれるため、物件との距離を気にせず経営を続けられます。離れた場所にいながらでも安定した賃貸経営ができれば、事業拡大がしやすくなり、将来的な売却で利益を得やすくなります。
管理会社に管理を委託するデメリット
管理委託は、業務負担の軽減や入居者満足度の向上、遠方物件の管理の質向上など、多くのメリットが期待できます。しかし、その一方で以下のデメリットも考慮する必要があります。
● 管理委託費用がかかる
● 自身の管理意識が弱くなる
● 管理会社によって管理の質が左右される
適切な判断をするには、メリットだけではなくデメリットも把握することが大切です。ここでは、管理委託で生じやすい注意点や課題を解説します。
管理委託費用がかかる
管理会社に業務を委託する場合、毎月委託費用が発生します。
委託費用の相場は、家賃収入の約5%です。例えば、家賃収入が月30万円だった場合、月額の管理費用は1万5,000円です。年間18万円の支出となるため、空室が続いていて経営が不安定な場合、資金繰りが苦しくなって経営を続けられない可能性があります。
委託費用以外にも、定期的な修繕費やシステム利用料、更新時の事務手数料など、追加で発生する費用もあります。委託を検討する際は、トータルで見た費用負担がどのくらいなのか事前に確認しておきましょう。
自身の管理意識が弱くなる
全部委託にした場合、オーナーの賃貸管理に対する意識が弱くなる可能性があります。これは、物件の状況や経営状況に触れる機会が減りがちになるためです。管理意識が弱くなって入居者の声に耳を傾けられなくなると、快適な住環境を提供できなくなる可能性があります。
また、管理会社に任せたからといって経営がうまく回るとは限りません。管理の質が悪い管理会社の場合、希望と異なる条件で入居者募集をしていたり、入居者と信頼関係が構築できていなかったりする可能性があります。
管理会社に任せきりにするのではなく、経営者としての当事者意識を持って管理体制を構築することが大切です。
管理会社によって管理の質が左右される
管理会社の体制や対応力によって、管理の質が左右される点もデメリットの一つです。例えば、クレーム対応が迅速にできない管理会社の場合、入居者の不満が蓄積する可能性があります。
また、入居者対応がスムーズであっても、オーナーからの問い合わせや確認に対して返信が遅かったり、報告が不十分だったりすると良好な信頼関係が築けないケースがあります。
このような事態を避けるには、管理会社のWebサイトなどで評判や口コミ、得意分野、管理実績などを確認するのがポイントです。信頼できる管理会社と連携し、安定した賃貸経営を目指しましょう。
不動産管理会社を選ぶポイント
管理会社を選ぶ際は、以下のポイントに注目して選びましょう。
● 対応可能な管理業務
● 委託管理費
● 集客力の高さ
● トラブル時の対応力
対応可能な業務は、管理会社によってさまざまです。単に物件を管理してもらうだけなのか、入居者との仲介業務を委託するのかによって、業務負担が大きく変わります。適切な管理体制を築くためにも、しっかり確認しましょう。
また、管理委託費は無理なく支払えるかどうか判断しましょう。相場は家賃収入の約5%といわれていますが、場合によっては相場以上になる可能性があるためです。ただし、安さだけで選ばず、期待していた費用対効果が得られるかも確認しましょう。
集客力の高さも見逃せないポイントです。空室リスクを減らすためにも、その管理会社が管理している物件の入居率などをチェックしましょう。
トラブル時の対応力も忘れずに確認しましょう。トラブルを早期に解決できない場合、退去率の増加につながる可能性があります。24時間体制で夜間も対応しているか、トラブル発生の連絡を受けて1時間以内に到着できるのかなど、具体的な対応力を確認しておきましょう。
【まとめ】賃貸管理業務の業務負担が大きい場合は管理委託を検討しよう
賃貸管理業務は、入居者関連業務や金銭の管理、トラブル対応など多岐にわたります。物件の規模や入居率が高い場合、オーナーや管理組合が全ての業務を行うのは現実的ではありません。
業務負担が大きい場合は、委託管理を検討しましょう。管理工数を減らせるのはもちろん、入居者の満足度の向上やトラブル対応の迅速化ができ、収益性の高い賃貸経営につながります。業務量や物件の規模、予算に合った管理会社を選びましょう。
埼玉・東京・千葉の物件で委託管理を検討しているオーナーの方は、地域密着型経営の株式会社中央ビル管理にご相談ください。地域の特性やニーズに詳しい担当者が、ご希望に合った賃貸管理プランをご提案いたします。ぜひお気軽にご相談ください。
監修
(株)中央ビル管理 取締役 江本 昌央氏
所属/(株)中央ビル管理取締役 業務管理部部長
保有資格/ 宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士