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賃貸管理コラム

アパート経営帳簿はどう付ける? 青色申告と白色申告の違いや帳簿の作成手順を紹介

賃貸経営

2026.08.05

更新日 2026.08.06

アパート経営帳簿はどう付ける? 青色申告と白色申告の違いや帳簿の作成手順を紹介

アパートの経営を行っている場合、帳簿を付けて確定申告を行う必要があります。

帳簿をきちんと付けていなければ正確な申告を行えず、知らない間に損をしていたり、逆に過少申告を疑われてペナルティが発生したりする恐れがあります。帳簿の付け方は青色申告と白色申告で異なるため、どちらの方法で確定申告をするか、あらかじめ決めた上で適切な帳簿を作成しましょう。

本記事ではアパート経営における帳簿の役割や、白色申告と青色申告の違い、帳簿作成の手順をまとめました。

アパート経営における帳簿の役割と重要性

アパート経営における帳簿には、以下4つの重要な役割があります。

● 決算書・確定申告書の作成
● 経営状況の把握
● 税務調査対策
● 融資・支援対策

決算書・確定申告書の作成

帳簿は収支内訳書や損益計算書、貸借対照表といった決算書を作成するために活用するものです。これらの書類を基に、白色申告または青色申告を行うことになるため、アパート経営をしている方にとっては必須の書類です。

なお、帳簿の内容に誤りがあると、連鎖的に決算書や確定申告書にもミスが生じるため注意しましょう。

経営状況の把握

帳簿には、収入や経費に関連する項目が詳細に記されるため、後から見直したときにアパート経営の状況を正確に把握しやすくなります。

例えば、経費が収入を圧迫していると感じた場合、帳簿を見れば、どこにどれだけの経費がかかっているのか、無駄な出費はないかなどをチェックできます。

税務調査対策

正しく帳簿を作成していれば、税務調査が入った際、申告内容の正当性を証明できます。税務調査では、帳簿の記録と証憑書類を照らし合わせることで、取引の事実を確認したり、経費の妥当性をチェックしたりするためです。

なお、帳簿を適切に作成していない場合は正当性を証明できず、過少申告加算税や延滞税の対象になったり、青色申告の承認を取り消されたりするリスクがあります。

融資・支援対策

融資や補助金、助成金といった支援を利用するには、正確な決算書や確定申告書の提出が必要です。

帳簿をきちんと付けていなければ、決算書や確定申告書の正確性に欠けるため、審査で不利になる可能性があります。

事業所得・不動産所得のある人は帳簿の記帳・保存義務がある

ここまで帳簿の重要性について説明してきましたが、必要性の有無にかかわらず、事業や不動産所得がある全ての方は、記帳および帳簿書類の保存が義務づけられています(※)。

なお、記帳・帳簿書類の保存義務は個人または法人や、所得税の申告の有無に関係なく義務づけられるものです。そのためアパート経営を始めたら、初年度から帳簿を正しく記帳し、適切な方法で保存することを心掛けましょう。

※ 参考:国税庁.「事業所得や不動産所得等のある方には帳簿の記帳・保存義務があります!」.,(参照 2026-04-20).

確定申告の種類と帳簿の付け方の違い

アパート経営者が行う確定申告には、白色申告と青色申告の2種類があります。白色申告と青色申告では帳簿の付け方が異なるため、申告方法を選んでから、それぞれに適した帳簿の作成方法をチェックしましょう。

ここでは、白色申告と青色申告の基礎知識と帳簿の付け方の違いについて解説します。

白色申告の基礎知識と帳簿の付け方

白色申告とは、簡易な方法による記帳が認められている申告方法です。ここでいう簡易な方法による記帳は単式簿記のことで、一つの取引において一つの記録のみを行うところが特徴です。

例えば、3月1日に不動産管理業務に使用するパソコンを9.5万円で購入した場合、以下のように記帳します。

日付/3月1日
勘定科目/消耗品費
収入/-
支出/9.5万円
摘要/パソコン代



このように、いくらお金が入ってきたかまたは出ていったかをシンプルに記録するため、家計簿やお小遣い帳のような感覚で記帳できます。また後述する青色申告に比べると、以下のようなメリットがあります。

● 申請が不要
● 確定申告時の提出書類や保存帳簿が少ない


白色申告は特に申請を行う必要はなく、確定申告の際は所得税及び復興特別所得税の申告書と収支内訳書を提出すればOKです。また保存義務がある帳簿には、収入金額や必要経費を記載した法定帳簿と、業務に関して作成した法定帳簿以外の帳簿(任意帳簿)があります。

このように白色申告は、確定申告に関連する手間を省けるという利点がある一方、青色申告よりも適用される控除が少ないというデメリットがあります。

青色申告の基礎知識と帳簿の付け方

青色申告とは、日々の取引を複式簿記と呼ばれる形式で記帳する申告方法です。複式簿記とは、一つの取引を原因と結果の両面から記録する記帳方法で、資産の増加や負債の減少は借方、資産の減少や負債の増加は貸方に記載します。

例えば、3月1日に不動産管理業務に使用するパソコンを9.5万円で購入した場合、以下のように記帳します。

日付/3月1日
借方/消耗品費9.5万円
貸方/現金9.5万円
摘要/パソコン代


単式簿記に比べると記帳の手間は増えますが、お金の流れがより詳細に分かるようになるため、経営状況を正確に把握できるというメリットがあります。また複式簿記による青色申告には主に以下のような税制上のメリット(特典)があります(※1)。

1. 要件を満たすことで、所得額から最高55万円(電子帳簿保存またはe-Taxによる電子申告を行っている場合は、65万円)の特別控除を受けられる
2. 家族に支払う給与を必要経費に算入できる(青色事業専従者給与)
3. 赤字を前年や翌年の所得金額から差し引ける(純損失の繰り越しと繰り戻し)
4. 家賃の未回収リスクに備える貸倒引当金を経費として計上できる


1の控除額は、最高55万円(e-Taxによる電子申告を行っている場合は、65万円)と10万円の2パターンがあります。このうち55万円(または65万円)の控除を受けるには、不動産貸し付けが「事業的規模」で行われている必要があります(※2)。

不動産貸し付けが事業として行われているか否かの基準は以下の通りです(※2)。

● 貸間、アパートなどの場合は独立した室数がおおむね10室以上であること
● 独立家屋の貸し付けについてはおおむね5棟以上であること


上記のいずれにも該当しない場合は事業的規模とは見なされず、青色申告特別控除額は10万円にとどまるため注意しましょう。ただし、不動産貸し付けが事業的規模に満たなくても、他の事業所得があり、かつ青色申告特別控除額55万円の条件を満たしている場合は、不動産所得を含めて最高55万円の控除を受けられるケースもあります。

白色申告にも2に相当する控除として「事業専従者控除額」という制度がありますが、必要経費として差し引けるのは、配偶者の場合は最高86万円、15歳以上のその他の親族の場合は最高50万円までにとどまります(※3)。

一方、青色事業専従者給与は算入できる必要経費に一律の上限は設けられておらず、仕事内容に見合った適正な金額であれば経費にできるため、白色申告よりも恩恵が大きいといえるでしょう。

なお、これら「青色事業専従者給与」や「事業専従者控除」といった家族への給与・控除の特例を適用できるのは、アパート経営が「事業的規模(原則5棟10室以上)」で行われている場合に限られます(※3)。

4の貸倒引当金とは、何らかの理由で債権回収が不可能になるリスクに備え、あらかじめ損失の見込額を計上する引当金のことです。


不動産所得のみを得ているアパート経営者の場合、事業所得の青色申告者のように年末の債権(未収家賃など)に対して一律5.5%といった一括での計上は原則として認められていません。しかし、家賃滞納が長期化し回収が極めて困難であるなど、特定の厳しい条件を満たした場合には、その未収家賃に限り「個別評価」の貸倒引当金として必要経費に計上できる可能性があります(※1)。

このように、青色申告は白色申告に比べると税制上で大きな優遇を受けられますが、申告を行うにはあらかじめ所得税の青色申告承認申請書を納税地の所轄税務署長に提出し、承認を受けなければなりません。

承認申請は、青色申告をしようとする年の3月15日までに行う必要があるため、不動産所得の申告を青色申告で行いたい場合は早めに申請しておきましょう。なお、その年の1月16日以後、新たに事業を開始した場合や、不動産の貸し付けを行った場合は、その事業開始灯の日から2カ月以内に申請すれば問題ありません(※4)。

※1 参考:国税庁.「No.2070 青色申告制度」(参照 2026-04-20).


※2 参考:国税庁.「No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分」. ,(参照 2026-04-20).


※3 参考:国税庁.「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」.,(参照 2026-04-20).


※4 参考:国税庁.「はじめてみませんか?青色申告」(参照 2026-04-20)




アパート経営の帳簿の作成手順

ここからは、アパート経営の帳簿を複式簿記で付ける場合の基本的な流れを説明します。

取引内容を整理する

まず、領収書や通帳などから取引内容を整理します。具体的にチェックすべき項目は以下の通りです。

● 取引のあった日付
● 取引先の名称
● 取引内容
● 取引金額
● 摘要


取引金額については、税込金額と税抜金額を区別しておきましょう。なお、現金払いとクレジットカード払いでは記帳の仕方が異なるため、領収書は支払い方法ごとに分けて整理しておくのがおすすめです。

取引内容を記帳する

次に、整理した取引内容を帳簿に記帳します。帳簿には作成しなければならない仕訳帳や総勘定元帳といった主要簿の他、現金出納帳や売掛帳・買掛帳、経費帳、固定資産台帳、債権債務等記入帳といった事業の実態に応じて作成する補助簿があります。

まずは日々の取引を日付順に記録する仕訳帳から記帳していきましょう。左から順に、取引のあった日付→借方科目→借方金額→貸方科目→貸方金額→摘要の順に、整理した取引内容を帳簿に付けていきましょう。その後、仕訳帳に基づいて総勘定元帳を作成します。

総勘定元帳は、家賃収入や修繕費といった勘定科目ごとに取引内容を記録する帳簿のことです。総勘定元帳を作成すれば、それぞれの勘定科目ごとの増減や残高などを把握できるようになります。

主要簿の記帳を終えたら、必要に応じて補助簿の作成を行います。主な補助簿の特徴や記帳の方法は、以下の通りです。

現金出納帳

現金出納帳は、事業用の現金の入出金を管理するために作成する帳簿です。お金の出入りがあった日付順に、取引内容と入金額、出金額、残高を記帳します。入金は家賃収入など、出金は経費の支払いなどに区分して記帳するのが基本です。

売掛帳・買掛帳

売掛帳は、未収家賃を管理する役割を持ちます。家賃が発生した日付順に、部屋番号や賃借人の氏名、対象となる賃貸月、家賃額(売上金額)、受入金額、差引残高を記帳していき、家賃の滞納がないかどうかを確認しましょう。

一方の買掛帳は、支払いの事実や残高を管理するために活用します。修繕費や管理委託費など、アパート経営において発生した必要経費のうち、未払いとなっているものを取引先(管理会社や施工業者など)ごとに記録します。

経費帳

経費帳は、修繕費や損害保険料、固定資産税などの租税公課といった必要経費を科目ごとに管理する帳簿です。費用の支払いがあった日付順に、取引内容や支払金額を記帳していきます。

固定資産台帳

固定資産台帳は、アパートの建物や付属設備などの資産状況や減価償却費を管理する帳簿です。資産の取得日や取得価額、耐用年数、本年分の減価償却費などを記帳していきます。

債権債務等記入帳

青色申告でで55万円または65万円の特別控除(複式簿記の適用)を受けるには、これまで紹介した帳簿に加えて、取引の実態に応じて以下のような帳簿も作成・整理しておく必要があります。


● 預金出納帳(銀行口座のお金の出入りを記録・管理する帳簿)
● 債権債務等記入帳(ローンなどの負債や未収金を管理する帳簿)


試算表、損益計算書、貸借対照表を作成する

試算表とは、勘定ごとの残高を記載するものです。ここで記載した勘定科目や金額は、そのまま損益計算書や貸借対照表に移行します。

損益計算書には家賃収入などの収益の他、減価償却費や修繕費などの必要経費、青色申告特別控除前の所得金額などを記載します。

一方の貸借対照表には、現金や売掛金、事業主貸、事業主借、元入金などを記帳するのが基本です。

なお、損益計算書は「原価費用 + 利益と収益」の合計と「収益」の合計が一致し、貸借対照表は「資産の部」の合計と「負債の部 + 純資産の部」の合計がそれぞれ一致する仕組みになっています。

利益・損失を計算する

損益計算書から年間の利益や損失を計算します。利益よりも損失が大きかった場合、青色申告なら純損失を翌年以降3年間にわたって各年分の所得金額から控除できます(※)。

※ 参考:国税庁.「No.2070 青色申告制度」. ,(参照 2026-4-21).

【まとめ】アパート経営の帳簿作成を効率化したいのなら不動産管理会社(マンション管理会社)からサポートを受けよう

アパート経営で家賃収入を得ている方は、帳簿の記帳・保存義務があります。帳簿の付け方は申告の仕方によって異なるため、申告方法に適した記帳のやり方を覚えておきましょう。

特別控除や青色事業専従者給与、純損失の繰り越しと繰り戻しといった恩恵を受けたい場合は青色申告がおすすめです。しかし、複式簿記は白色申告の単式簿記に比べてやや複雑で手間がかかります。


帳簿作成を少しでも効率化したいのなら、家賃収入や管理費、修繕費などの経費をまとめた月次報告書を作成・提出してくれるマンション管理会社のサポートを受けることを検討してみてはいかがでしょうか。


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※本コラムでご紹介している青色申告の特別控除、専従者給与、貸倒引当金などの税務・会計に関する記載は、一般的な制度の概要をご案内するものです。実際の適用要件や控除額の計算、および確定申告における個別具体的な判断につきましては、必ず所轄の税務署または顧問税理士などの専門家にご相談ください。

監修

(株)中央ビル管理 取締役 江本 昌央氏

所属/(株)中央ビル管理取締役 業務管理部部長 
保有資格/ 宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士

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